速読をマスターする上で「絶対にやっちゃいけないトレーニング」のツートップと呼ぶべきものがあります。
それは、
- 視点(目)を高速に動かす
- 視野を広げる
という2つです。
これらは「やっても無駄」という話ではなく「これをやると害がある」つまり「これをやっていると、速読がマスターできない」というシロモノですので要注意です。
他に「害はないけど意味がない」のが「10倍速音声を聴く」とか「右脳処理のためにイメージに変換する練習」といったあたりですね…。
正しい「速読のための視野」の考え方
でも、視野が狭いと読書スピードが遅くなることは間違いありません。
しかもスピードだけでなく、理解も落ちます。
では、「視野」についてどのように考えればいいのか、そして、速読に活かせる視野をどう作ったら良いか、その考え方を説明します。
視野作りを3段階で進める
視野は単に広ければいいというわけではありません。
そもそも、脳は「情報処理にちょうど良い視野」を作っているのですよ。それを無理に広げたところで処理できないのですよ。
次のような3ステップで、下の階層から順にトレーニングをして「速読に活かせる視野」を作っていく必要があります。

1.瞑想状態をつくる
瞑想状態、いわゆるシータ波状態というのは、集中力を増すだけでなく、脳を、高速かつ連続して入力される情報をスムーズに処理できる状態にしてくれるということが分かっています。
また、「しっかり読もう」とか「速く読みたい」という意識は、往々にしてストレスを生み、視野を狭くする方向に働きます。
そこで、瞑想状態を作って、視野をニュートラルな状態にする前提を作る必要があるわけです。
2.俯瞰の視野づくり+視野のモニタリング
瞑想状態ができたら、次に「俯瞰の視野」を作ります。別の言葉でいうと「観の目付」の見方です。
宮本武蔵が『五輪書』で著した言葉ですが、スポーツなどでは当然のものとして重視される見方であり、この視野で情報を捉えると、その反応スピードが向上するのです。
この視野は「視野を広げる」のではなく「視野を絞り込まず、楽に(やや、ぼーっと)見る」ことで実現します。
そして、この視野の状態をモニタリングする練習をします。
自分の視野がどれくらい広がっているのか、どのように見えているのか…といったことです。
モニタリングできていないものは、コントロールの対象になりませんので、「意味に反応できる視野のコントロール」の大前提を作るわけです。
3.意味に反応する視野・意識の調整
俯瞰の視野で文字を捉えたからといって、それで文字を処理(=理解)できるわけではありません。
あくまで文章は1次元の情報であり、リニアにしか流れていかないからです。
そこで、この俯瞰の視野の中で、「文字情報に反応できる視野」を作っていきます。
ただし、「視野」を作ることはできないので、実際には「「文字情報に反応できる意識」をコントロールすることになります。この意識の強さは「文字を読み取ろうとする意識の強さ」であり「情報に対する能動的意識の強さ」でもあります。

これを「意識による情報の入力レベル」と呼んでいます。
ということで、速読トレーニングにおける「視野の広がり」は瞑想状態作りからはじまり、俯瞰の視野(観の目付)を実現し、その中で「文章に反応できる意識の状態」をコントロールする練習によって実現するわけです。
速読のための視野作りの解説
その視野作りについて、映像で解説してみましたので、ぜひご視聴ください。

