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“章末まとめ”はナゼ「便利」だが「役立たず」なのか?

イマドキのビジネス書や自己啓発書というのは、「章のまとめ」が添えられていて、読み終わった段階で総復習ができるようになっているものも多いものです。

速読(フォーカス・リーディング)講座でも、「スキミングした後で、まとめを読むと頭が整理される感じがあって、すごく楽です」という感想をよくうかがいます。

ひょっとすると、本文を軽く流し読みして、「まとめ」を丁寧に読み「タイパだ!」と感じている人もいるかも知れません。

しかし、多くの人が「効果的!」と感じるものは、だいたい科学的には「効果なし」とされるものが多いもので…
この「章のまとめを読んで納得(満足)する」ことも、実は学習効率・学習効果という点で「やっちゃダメなやつなのですよ…

この記事では、章末まとめを読むのがなぜダメなのか、読書の学習効果を高めたいと思ったら何をすべきか?── 解説してみようと思います。

目次

「章のまとめ」はなぜダメなのか?

まず学んだ」っていう状態はどういう状態かという話を確認しましょう。
「本を読んで学べた」という場合、「十分に理解できた」ということと「記憶に残って、後で必要な時に出力できる」という2つの要素で成立します。

この「十分に理解できた」ことと「記憶に残った」ということは、あまり関係ありません。理解できたとしても、文章は読んだそばから忘却の一途をたどります。極端な例ではありますが、「伝言ゲーム」というのはこの人間の記憶のもろさを利用したゲームでもあるわけです。
特に長い文章を読んだ場合、「印象」だけを残して忘れてしまうとされています。

「章末まとめ」は確かに理解を促進してくれる気がしますよね? 「いい復習になった」的に。
しかし、この「いい復習になった」という「理解した気分」「整理された気分」が問題です。

もう一つ「記憶に残す」ことも考えなければならないわけです。
実は残念なことに、文章を何回も読んだからといって記憶に残るわけではないのですよ…

学びのための読書には何が必要か?

何回も読んだからといって記憶に残るわけではない── 身に覚えがあるのでは?
例えば、学生時代。一度、教科書を読んだら、テスト問題が解けるようになったでしょうか?── なりませんでしたよね?
じゃぁ、3回連続して読んだら?── 実はほとんど記憶は強化されないことが分かっています。

「章末まとめ」を読んでも同じなんですよ。
直後くらいなら、まとめに書いてあったポイントと、そこに紐付いている印象的な部分を思い出せるかも知れません。
でも、まもなくその記憶は取り出せなくなります。

なぜそんなことが起こるのか?
実はある程度の長期で記憶に残そうと思ったら、「脳に負荷をかける」必要があるのです。

「まとめを読む」作業は…

  1. 自分の頭でまとめていないので、まったく負荷がかかっていない
  2. 再提示されたものを確認しているだけなので、やっぱり負荷がかかっていない

こういう問題があるのですよ。

数学のテスト勉強で、問題を解かずに模範解答だけを理解しても、実際のところ解けるようになりませんよね?
それと同じなんですよ。

  1. 自分の頭でまとめることで、脳に負荷かけつつ「内容を整理し、まとめる」体験をする
  2. 再提示されたものを確認するのではなく、何が書かれていたか思い出してみる

こういう作業を自分の脳みそを使っておこなってこそ、記憶に残るものなのです。

なぜ「章末まとめを読む」は「やっちゃダメなヤツ」なのか?

そういうわけで、章末のまとめを読んだとしても「理解した気分」にはなれても、脳に負荷がかかっていないので学習として成立していないわけです。

成立していないだけなら「±0」でしかありませんが、実はこれ、実質的にはマイナスなのですよ。
その理由とは…

  1. 「まとめ」を読んでしまうと、思い出す作業をしなくなる
  2. 自分が本当に理解できているか、思い出しながら確認する(リハーサルする)機会がないため、理解の確かさ(あるいは理解のあやふやさ)が実感できないままになる

例えば演劇や音楽の舞台に立つなら、直前にリハーサル(or ゲネプロ)をして、ちゃんと流れを把握できているか確認しますよね? それと同じことを読書でもする必要があるのです。

ちゃんと分かっているか確認するために、
章を読み終わったら簡単に思い出してみる(リハーサルする)

自分の理解の甘いところ、薄いところを発見するためにリハーサルすること。これこそが、読書で「学んだ」状態を作る上で必須の作業なのですよ。

寺田

本人なりに「分かった」と思ったことが、問われてみると意外と分かっていないぞってことは、意外と多いものです!

「章末まとめ」を読む代わりに、あなたがすべきこと

では、本当の意味で「学んだ!」といえる状態にするには、どのような作業が必要なのかというと…

  • 章を読み終わったら本を閉じる
  • その章で書かれていたことを思い出しながら、ポイントになりそうなキーワードを3から7語ほど書き出す
  • 短文(120文字以内)で、「章のまとめ」を自分で書いてみる
  • 「章末まとめ」があるなら、それで答え合わせをする

こういうステップなのです。

重要なことは、能動的に出力する機会を作ること。
これは学習ストラテジーでいう「リハーサル方略(rehearsal strategy)」であり「想記演習(retrieval practice)」として、理解の曖昧な点を明らかにし、記憶を強化する効果が期待できる素晴らしい方法なのです!

実はすごい「章末のまとめ作り」の効果

上記のステップは「曖昧な理解」を打破し、「長く残る記憶」を助けてくれます。

そもそも「章」ごとに、いちいち「まとめ」を作るのには理由があります。
それは、「章」には、それぞれにテーマと論点(問題意識)が設定されており、章の理解を確かなものにすることが、書籍全体の理解を構築する上でとても重要な役割を持っているのですよ。

もちろん、その大前提として書籍のテーマ、問題意識(論点)」を明確にしておく必要があることは言うまでもありません。
書籍全体で何か1つのことを主張するために、すべての章をつかってロジックを構成しているのです。その大きなロジックを理解するためにも、基本パーツとしての章を確実に理解しておこう、というわけです。

でも、やってみると分かるのですが、思い出して書くのって大変ですよね?
だからこそ「直後ですら、ちゃんと思い出せないレベル」であることを自覚できるわけです。

安易・簡単にできることは力になっていないことを理解して、あえて力になる道を選びましょう!

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