「いい本だった!」と思えた本でも、人に語ろうとするとチグハグになる…そんな経験を持っている人は多いのではないでしょうか。
基本的に「理解した!」という手応えは、リアルタイム+直後だけのものであって、数日経たずに忘れてしまうもの。
理解と記憶は別モノ!
このことは肝に銘じておきたいところ。
ですが、自己投資としての読書を考えるなら、当然、長期で記憶に残しておきたいわけです。
そして、本を読むときに、ちょっとした気遣いができると、驚くほど理解が深くなり、記憶にも残るようになることが科学的な研究で分かっています。
その「科学的な本の読み方のコツ」をお伝えします。
なぜ、読んだ本の記憶が残らないのか?
そもそも、人間の記憶はそれほど強固ではありません。伝言ゲームを思い浮かべていただければ、そのはかなさは分かると思います。実際、ある程度の長文になると、印象だけを残して記憶から消えていくとされています。
①自分の記憶と結びつかない情報は忘れる
まず、記憶というのは「自分のもともと持っている知識・体験などの記憶と結びついて残る」もの。
ですから、自分と縁遠い話とか初めて聞くような話はやはり残りづらい。何かしら、自分の知識や体験と結びつけることを意識したいところです。
②全体の構造を整理しなかった本は忘れる
そして、本というのは複数の章から成り立っています。この「章」はそれぞれが独立した話(テーマ)について書かれており、それらが全体としてつながりあって一冊の本の主張を構成しています。
そのことを無視して、最初から最後まで通して読んでしまうと、読んでいる最中の「今、読んでいる部分」は理解できても、全体の中での位置づけとか、前後の結びつきが構築できず、後から読む内容に、前の内容が上書きされてしまうような状態になります。
③復習しなければ忘れる
最後に、当たり前の話なのですが、復習しないものは忘れ去られます。学校のテスト勉強もそうでしたよね?
ただし、復習というのは「読み直す」ことではありません。読み直しても記憶には残りづらいことも心理学的な調査で明らかにされています。復習とは、ずばり「思い出す」作業なんですね。
④脳みそか心が動かなかった作品は忘れる
それが文学作品であれ漫画であれ、言葉を深く体験し、心揺さぶられ、人生を振り返ることを余儀なくされるような作品など脳みそなり魂なりを揺り動かす体験をした場合には忘れようがありません。
気楽に読んで楽しめて、「へー、そうだったんだ」と単に知らなかったことを知り、「そうだよねー」と既に知っていたことを確認するレベルの作業は、単なる表面的な体験で終わってしまい忘れます。
⑤ノートにメモしても無駄
いや、ノートにメモしています──そういうハイレベルな反論をする人がいるかも知れません。
確かに、それは素晴らしいことだと思います。ですが、本を読みながら言葉を抜き出して来て書き写すだけのノートだと記憶には残りません。
自己投資というからには「リターンが返ってくる」ことを想定しているはず。それは「ノートを開けば書いてある」レベルではなく、自由自在に意識に昇ってきて、思考に幅を作ってくれるようなアクティブな(アクティベートされた)知識になってこそ、「投資のリターンが得られた」といえるのではないでしょうか。
どうしたら記憶に残せるのか?
ここからは、どうしたら記憶に残せるのか?という本題に突入です。
本当に「ちょっとした」作業を加えることで、読んだ内容を記憶に留めるのが楽になります。
ぜひお試しを。
1.読み始める前に「タイトル(テーマ)」と問題意識をつなぐ
何らか問題意識があったからこそ手に取った本だとは思うのですが、読み始めるときはなんとなく読んでしまいがちです。
記憶は「関係性」の中で残るものなので、「自分の問題意識・課題意識との関係」を明確に、言葉で確認してみてください。
自分が既に何を知っていて、何を新たに学びたいと思っているのか ── これらを言葉にして書き留めておくだけで、学びが自分の中に強く位置づけられるものです。
2.章の始まりで「この章のキーワード」を確認する
その本のテーマと、今から読もうとしている章がどのような関係にあるのかを確認します。
そして、章のタイトルから「その章でユニークな言葉(キーワード)」を拾い出してメモしてみてください。
ここでキーワードを書きとめる作業は、意識・無意識のアンテナを立てる作業になります。これは紙にペン(鉛筆)で言葉を書く作業が、毛様体賦活系(RAS)と呼ばれる情報のアンテナにキーワードをセットする作業になるとされています。
3.章ごとにキーワードを書きとめる《リハーサル》
章を読み終わったところで、その章のキーワードをメモしてみてください。(下読みという位置づけなら1語、理解読みとしての位置づけなら3-7語。)
今、読んだばかりの内容とはいえ、その内容を思い出そうとすると、なかなか出てこないものです。そういう場合は、ざっと中身を振り返って、ポイントを再確認しましょう。
これは「軽い復習」(リハーサル)としての効果が期待でき、全体の記憶をより強くしてくれます。
4.一冊読み終わったところでメモを追加する
一冊読み終わった段階で、今、読んだ内容で憶えていることや、特に気になったことなどを、先ほどメモした「章のキーワード」と関連させるつもりで書きとめてみてください。これは一種のRetrieval Practice(想起演習)の効果があります。
5.さらに記憶の効果を高めるための「次の一手」
さらに記憶への定着を期待するなら、もう少し脳みそに負荷をかけてみましょう。
5-1.重ね読みをしてメモを書き足す
重ね読み(理解読み、高い理解での読み重ね)をおこない、先ほどメモした用紙に「その章のポイント」と「元々自分が知っていたこと、実例」などを書き足してみてください。
記憶に残す効果が高いのは、①単語でのメモより、文や図・イラストでのメモ、②自分の言葉に置き換えて整理したメモ、③自分の知っていたことと関連付けたメモ、といったところ。これらは、メモを通じて自分の脳みそを使っており、自分の記憶(知識・体験)と書籍を関連付ける効果があります。
なお、メモするのは章ごとでも、一冊まるごと読んだ後でもどちらでも問題ありません。
5-2.読み終えた後、時間をおいて想起メモ
これもRetrieval Practice(想起演習)の効果が大いに期待できます。
やるのは直後ではなく、それなりに時間をおいてからが理想です。最低1時間。もしくは他の作業をした後が理想です。ギリギリなんとか思い出せるタイミングでの想起作業(Retrieval Practice)が効果的なのです。
さらに、自分の言葉で一冊の内容を要約して文章化すると理想的です!
もう1つ付け加えるなら、その後でもう1回、読み重ねると記憶の効果が高まると考えられています(retrieval and relearning)。
5-3.さらに時間をおいて「メタ」なメモを取る
5-2までは「本」の内容のメモでしたが、それを越えて、その本の内容も参照しつつ、新たに「メタ」なテーマでブログを書いたり、アイディアメモを作ったりすると、一層、自分の知識の構造の中に新しい知識を配置し、ある意味で、自分の知識の構造の再構築が行われます。
こうなると、その知識はもう完全にあなたの知識の一部になってしまっており、なかなか忘れなくなります。
とはいえ、それが日常的な思考や発信などの作業の中であまり使われないようなものであれば、やはり時間とともに薄れていくことは間違いありません。
読書のリターンをチェックする習慣を作ろう!
以上、読書で学んだ知識を、自分の知識の一部として定着させるためのコツというか作業について紹介してみました。
さらに「本当にリターンがあったのか」を確認する習慣を作りましょう。半年、一年経った頃に「この本から自分は何を学び、知識構造や思考回路がどう変化し、どう成長できたのか?」と問いかけるわけです。
そして、その時に「この本から、こういうことを学んだ」と明確なリターンを意識できるようであれば最高です!
そのためにも、この記事で紹介したような作業を、読書の一部として採り入れてみてください。




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