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1冊1分とか3分とか…
右脳を活性化するとか…
速読がいかに簡単に天才になれる(近づける)かという詐欺的なマジックワードが、いろいろな速読講座・教室のHPなどで主張されています。
学習塾だったら「入試で有利!」とかね。
そんな、簡単に天才になれたり、成績が上がったりするなら、日本の教育力も安心ですが…
現実には、速読を採用した学習塾の成績が上がった事実はありませんし、私立学校の進学成績が向上した事実もありません。
そんなこんなで、
速読って、どう考えても詐欺ですよね?
速読ってうさんくさすぎだろ!
こういう罵倒をネット上ではよくいただきます。(苦笑)
YouTubeの動画でも何度コメントとして書かれたか…!
先日も頂戴しました。はい。
今日の「速読は詐欺」罵倒コメント
おっしゃりたいことはよーく分かります。
えぇ。
私自身、速読業界の詐欺状態を健全化したいと思って、あれこれやっておりますので。でも、今のところ・・・
実際のところ、日本や世界に存在する速読メソッドはほとんど例外なく詐欺と考えて間違いありません。
ここで「速読教室は詐欺」という場合、次のような点へのツッコミを含んでいます。
- 採用しているメソッドが非科学的で、とても速読を修得できるものになっていない。
例:視点を高速に移動させる、視野を拡大する、右脳を活性化する、写真として取り込む、潜在意識にダイレクトに… - 寺田の元に来て、速読を修得させられない…という相談を持ちかけた実績があるのに、宣伝だけはしっかりすごいことを主張している。
- 「速読できる人がいる」ことと、「自分の教室のメソッドで速読をマスターさせられる」ということ、さらには「誰でもマスターさせられる」こととを意図的に結びつけて説明している。
- 講座でうまくいっていないことを、すごい実績であるかのように紹介している。
まぁ、ずばり裁判を起こせば勝てるようなレベルの詐欺ばかりです。
「科学的」をうたい、大学と共同研究しているところも詐欺?
どこも科学的なテイストで宣伝していますし、すべてをひとくくりにして断言することは難しいのですが、代表的なものとして、『速読の科学』という書籍を挙げてみます。
この本は《科学的な手法で、速読できる人のことを研究したよ!》というものに過ぎず、科学的に速読のメソッドが解明されたというものではありません。
そして、この本には書かれていませんが、別の脳科学的な実験に、その教室での訓練経験が6.2~8.2年にも及ぶ3人の方が参加していらっしゃいます。
結果、普通の人の倍くらいのスピードで読めていますが、理解テストの成績が悪く、研究論文の結論には次のように記されています。
With regard to speed-reading, on the other hand, the results revealed rather poor performance in the Park-Sasaki trainees. That is, the negative speed-accuracy correlation involving both untrained participants and the trainees suggested a speed-accuracy trade-off.
▼寺田の適当な意訳▼ 速読については、結果を見る限り、佐々木・パク式の訓練者は、どちらかといえば成績が悪く、これは結局「速さと理解の正確さは逆相関になる」ということを示しているといっていい。
“Reading Speed, Comprehension and Eye Movements While Reading Japanese Novels”
出典はこちらの論文。
確かに、7年以上トレーニングをした結果、5000文字/分くらいで読めるようになって、理解度テストもちょっと悪いくらいって人も1人います。
そういうできた人の特殊な例をもって「ほら、科学的に検証できたでしょ?」っていうのは、やっぱり詐欺だと思うんです。
私たちも、こういう↓「科学的とは何か」という見方は知っておいた方がいいでしょうね。
出典:http://d.hatena.ne.jp/usausa1975/20140624/
実際、○○大学の△△教授と共同で研究を…などと歌っている教室もあるのですが、その教室の正しさを証明する論文は、今のところ出てきていません。
むしろ、現段階で「速読は詐欺」が学術界の定説です。詳しく知りたい方は、下記、Rayner教授らのメタ分析研究を読んでみてください。
では、フォーカス・リーディングは科学的か?
ここが一番イタいところなのですが、実はフォーカス・リーディングの研究も、まったくもって科学的とは言えません。
- 被験者が意欲的な大学生である。
- 対照群を設定していない。
- 読書スピードに対応させた読書理解度を測るテストをしていない(主観的な理解度で測定している)。
- 利益相反の問題はストレートに残る。
- 再現性がない(寺田以外の指導者がいない)。
- さらに究極的なことを言えば、なぜフォーカス・リーディングを修得できるのか、科学的に説明できない。
最後のものがもっとも私の頭を悩ませる部分でして、速読を修得できるリクツを90%までは説明できるのですが、残り10%のピースが埋まりません!
なので、この20年、ずーっと、こううそぶいております。
速読は科学ではなく、技術です。
科学的に説明できないけど、技術的には確実に修得させられます。
うーん。悩ましい…。
ただ、フォーカス・リーディングというのは《理解も記憶も良好に保ったまま、読書スピードをアップ!》とか、全然うたっておりませんので、その点はご理解を…。
- 速読可能なのは、自分のスキーマ(脳のデータベース)次第。
- 速読したら記憶も理解も損なわれるから、最低3回読もう。さらにノートも取ろう。
- 速く読むことよりも、読書の目的とか、アルゴリズム上の位置づけに応じて、ふさわしい理解・スピードのバランスで読もう。
これがフォーカス・リーディングの基本スタンスです。
とはいえ、もう少し精進して、「速読」の部分も科学的に説明できるよう学術的な研究を進め、
と豪語できるようにしたいと思います。
それまでは、生暖かく見守っていただければ幸いです。
まっとうな速読技術を学んでみませんか?
現在、フォーカス・リーディングは九州大学大学院・博士課程(教授ストラテジー論研究室)で「読書教育研究」として研究しています。
2023年までには博士号を取るぞ…という意気込みで、研究&論文執筆に邁進中です。
そういわけで、まだ「科学的」とは言いがたいのですが、まっとうな速読のノウハウを学んでみたいとお考えでしたら、無料のメール講座(動画講座)に登録してみてください。(解除はいつでも可能です。)
速読の詐欺に騙されないために…!
動画で速読詐欺の見抜き方を解説しています。お時間のある時にでもご視聴ください。