トップにペヤングの写真を貼っておいて「焼きそばUFO」とは、こはいかに!とツッコミが入りそうな気配満載ですが、今日は「焼きそばUFOの速読」のお話。
「読書力」研究のための参考文献を探し求めた先に…
最近、子ども達の読書能力を高めるために、どんな取り組みをさせたらいいのかということを研究しています。
日本で発行されている読書に関する文献も徹底的に手に入れて読んでいるのですが、どうしても限界があります。
それは、そもそも「読書力」に関する教育界の共通言語となるものがないためです。
そこで、海外(主にUSA)の文献を取り寄せて読むことになります。
その中に、興味深い1冊があったのでご紹介します。
実用性、日常の中で活かせる読書力を高める!
私の頭では、どうしても「読書力」というと「本を読む」というところから離れられません。
ですが、海外の読書力(reading literacy)は、何も書籍を読み解く力に限定せず、雑誌やパンフレットなど、日常的に触れる文書を読む力、整理統合・活用する力を指すわけです。
もちろん、そもそもの読書力・読解力にフォーカスしたワークもたくさんあります。
それは学校教育レベルでは必須のものですよね。
ただ、その場合も「読解力」と「論理力」などが不可分のものとして扱われているようです。
私自身、もう少し幅を作って研究&教材開発をせねばと思っています。
日清焼きそばUFOのふたを速読せよ!
さて、取り寄せた文献の中に「日本語の速読」という、日本語を学ぶ外国人向けの書籍がありました。
SkimmingやScanningといった「効率的な情報処理」としての読書技術を学ぶテキストなのですが、実に様々なコンテンツが収録されています。
- 東京駅近くの「丸の内オアゾ」のフロアガイド
- 雑誌の電車内つり広告
- 文具メーカーのカタログ
- 葛西臨海水族館のWebサイト
などなど
まぁ、なんとも様々な情報を読ませ、その後に情報を的確に捉えられているかテストをするという趣向です。
その中に「焼きそばUFOのふたに書かれている説明を速読する」というテストがありました。
右側には「重要な単語」が掲載されており、独特の言い回しが何を意味するのか分かるようになっています。
そして、日本人なら当たり前の手順などについて7つの設問が用意されており、間違いなくUFOを作ることができるか、何か問題があったときに問い合わせを入れられるか、テストしています。
日本語初心者の外国人と、小中学生
ある意味で、日本語を習い始めてまもない外国人と、日本語は分かるけど情報処理力が未熟な日本の小中学生は、ある部分、同じようなものでトレーニングしてもいいのかも知れませんね。
もちろん、ベースとなるスキーマの違いは十分に配慮しなければなりませんが。
日本の子どもは情報収集が苦手?
2015年3月25日の日経新聞朝刊にこんな記事がありました。
■ネットで情報収集 子どもは苦手
子どもはインターネットで複数のウェブページから必要な情報を探し出すのが苦手──。文部科学省が小5と中2を対象に初めて実施した「情報活用能力調査」からこんな傾向が浮かび上がった。
(中略)
…あらかじめ整理された情報を読み取る問題は正答率が高かったが、複数のページから目的に応じて情報を探し出す問題の正答率は低かった。
この調査では海外の子ども達との比較はないわけですが、ひょっとすると大きく水をあけられているかも知れませんね。
このあたりも読書力、読解力を育むプログラムとしては視野に入れておかなければと思いました。