相手のアタマと心に刺さるコトバは、どうしたら生み出せるか?

こんにちは。読書と学習法のナビゲーター、寺田です。
 
昨日、今日と修士論文の内容検討会が続いております。
 
しかし、論文の世界って、なんでわざわざ小難しく、分かりづらい表現をするんでしょうね。(^^;
 
何かの事実を間違いなく伝えるための文章ですから、読み手によって伝わり方が変わるのは困りものです。そういう意味でも曖昧ないコトバは使えないわけですが…。それでも、もっと読みやすい文章にできないものかと考え込んでしまいます。
 
何らかのコミュニケーションを意図した文章というのは次の要素を踏まえて書くものなので、それに「ふさわしい」ことが何より大切。

  • 読み手は誰か?
  • その人はどういう思い、悩み、願望を持っているか?
  • その人はどんな言葉を使うのか? どんな言葉で悩み、願望をつぶやいているのか?
  • その人はどんな結果を手に入れたいと思っているのか?

 
書きながら、論文を読む人のことを想像していましたが、ある意味で、論文のカタッ苦しい文章も理に適っているのでしょうか・・・
 
 
それはともかくとして、人と適切なコミュニケーションをとり、相手に、こちらの意図した行動を取ってもらおうと思ったら、しっかりと言葉を選ばなければなりません。
 
いや、正確に言えば言葉を選ぶ」だけでは足りないわけで、「言葉の使い方」を考える必要があります
 
私は、この「言葉の選び方」と「言葉の使い方」の基本を、『プロパガンダ』という書籍で学びました。

 
この本の最初の章では、歴史に残る説得の理論を展開したアリストテレスの言葉を紹介しつつ、こう解説しています。

説得に三つの側面があることが認識されていた。説得の源泉(エトス)メッセージ(ロゴス)受け手の感情(パトス)である。
(中略)
演説内容を書く人は、説得的な文章を構成するために、論理的な議論を展開すること、要点をはっきりさせるために鮮やかな歴史的あるいは創造的事例を使うべきことを示唆した。また、聴衆がもともと抱いている信念にうまく適合するように手を入れておくべきだと考えた。
── 『プロパガンダ』(P.21)より
(※引用文中の太字と色はブログ著者による)

私はチラシを書くにせよ、メルマガを書くにせよ、この話を常に強く頭に置いています。
 
 
そして、この『プロパガンダ』という本には、催眠術師のトーク、ナチスドイツの政治的宣伝(プロパガンダ)、名弁護士、名セールスマンなどの事例を具体的に出しながら、相手を上手に説得する手法について、非常に緻密に解説してくれています。
 
具体例の1つ1つが、非常に納得感が高く、例えば、1つの事実を伝えるために、どのような表現を選ぶべきかということについて、第2章にこんな例が示されています。

あなたがアメリカ合衆国大統領になったと仮定してほしい。今、600人が死に至るかもしれない珍しい伝染病が発生し、国中が緊張している。あなたのトップアドバイザーは、この伝染病を克服するために2つのプログラムを用意し、能力の限りを尽くして、それぞれのプログラムが実行された場合の結果を予測した。
(1)プログラムAが採用されれば、200人の命が助かるだろう。
(2)プログラムBが採用されれば600人の命が助かる確率は三分の一、誰も助からない確率は三分の二である。

 
さあ大統領、あなたはどちらのプログラムを選びますか。
(中略)
しかし、アドバイザーが次のようなプログラムを提示したらどうだろうか。
(1)プログラムAが採用されれば、400人が死ぬだろう。
(2)プログラムBが採用されれば、誰も死なない可能性は三分の一で、600人が死ぬ可能性は三分の二である。

 
いかがでしょうか?
 
実は前の(1)(2)の話の内容と、後の(1)(2)の話の内容は表現が裏表になっているだけで、どちらの(1)も、どちらの(2)も、同じこと(確率)を表現しています。
 
にも関わらず、前者の説明だと、この文章を読んだ人の72%が(1)のプログラムAを選び、後者の説明だと、78%が(2)のプログラムBを選んだと言います。
 
真実は何かということよりも、どんな印象を与えるか読み手の頭の中にどんな絵を絵が描かせるかということが、相手を動かす上ではとても重要だというわけです。
 
 
それ以外にも、話の展開、提示する順番次第で相手の頭の中の状態がまったく変わってしまうこと、表現をリアルにするだけで反応が高まることなどが、これでもかというくらい丁寧かつ具体的に述べられています。
 
 
この『プロパガンダ』に語られる心理技術を、「セールス(広告)」に限定して具体的に解説したのが『現代広告の心理技術101』という本。
現代広告の心理技術101
 
タイトルにあるように101個の心理原則を解説しながら、具体的にどのような広告コピーが人を動かすのか、その実例を複数示してくれています。
 
冒頭の「原則1」から、これを読んだら、本当に枕を買い直したくなりますし、ダイソンのハンディクリーナーで毎日、布団と枕を掃除したくなります。(苦笑)
 
そして、この本を読むと、私のコピーライティングの2人の師匠(H氏とF氏)が作るチラシやランディングページの秘密が完全に理解できます。 
 
もちろん、だからといって、2人のように書けるわけではありませんが、少なくとも分析できるようにはなりますし、自分で同じことを再現する手がかりは手に入ります。
 
 
とはいえ、この心理テクニックは、あくまで最初に書いたように「読み手は誰か?」「どんな思いや悩みを持っているのか?」が正しくつかめていて初めて有効になるもの。
 
どうしたら読み手の頭と心に刺さる言葉が生み出せるかといえば、それはまず、相手の心を読み、共感を誘い、こちらの言葉に興味を向けてもらうことです。
 
ちょっと前にお薦めしたことのあるエベン・ペーガンの本では次のような言葉で、このことを表現しています。
エベン・ペーガン

顧客の頭のなかに忍び込め!

 
この本は、自分の得意なことをどうやって売れるデジタル商品としてプロデュースしていくのかということについて、その手法を基礎から丁寧に語っているのですが、なんと言ってもその中核はこの言葉に代表されるマーケティングのノウハウだといって過言ではありません。
エベンは「顧客の頭の中の会話に参加しなさい」と勧め、その方法について一つの章をまるまる投じて解説してくれています。(第5章)
 
売れる商品、売れるコピーを作りたいと思ったら、上に紹介したような心理テクニックを学ぶのと同時に、読み手の頭の中を想像し、読み手の身になりきって、まずはその心情に共感し、そして共感してもらえる言葉を、相手の使うボキャブラリーでもって表現しなければならないってわけですね。
 
ということで、お薦めの3冊の教科書です。
エベン・ペーガン現代広告の心理技術101
 

 
もし、ここで紹介したあらゆる原点にあるアリストテレスの『弁論術』を読んでみようかって思ったら、こちらからどうぞ。(^^)
アリストテレス『弁論術』

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