「読書の後の出力には、何をしたらいいでしょう?」
速読講座の受講者さんから、よくいただくご質問です。
読書を入力とすると、「出力」というのはざっくりと3つの方向性が考えられます。
- To have:知識・知恵としての出力
- To do:行動としての出力
- To be:生き方・思考回路への反映
実はこれって、「本の読み方の3方向」の裏返しですね。(^^)
実際のところでは、ビジネス系の書籍を読もうという方の場合、
多くの方が「To have」か「To do」に向かいます。
そして、To doに向かう場合でも、いったんは自分の知識として整理してストックし、
しかる後に行動に反映させていくということも多いでしょう。
では、知性の向かう出力作業というのは、どんな作業なんでしょう?
ブログに書いたら出力作業なんでしょうか?
まぁ、出力ではありますし、外の世界への発信であることは確かですが。
では、と考えます。
本を読んだ後にブログを書く作業。
vs
本を読みながら考え事をしたり、独り言をつぶやいたりする作業。
本を読みながら行間に書き込んで、意見を整理する作業。
本質的に、どんな違いがあるんでしょう?
単に外に開かれた出力か、自分だけの世界での出力かという違い?
ビジネス書ブームの終焉とともに随分と減った印象ではありますが、
出力と称してブログに書く人を未だに見かけます。
別にブログに書くことを否定する気はありません。
でも、もし、あなたが「学習者」なら考え直してみて欲しいんですよ。
- 安易に本に書かれていたことをコピペレベルで抜き書きして満足してない?
- 表面的で薄っぺらな感想を書いて終わらせてない?
それじゃ、学びは深まらないでしょって。
「出力」という形式にとらわれない!
確かにブログに書けば、外に向けて発信されるわけだから形式的にはアウトプット。
でも、それで何が得られるんでしょう?
そここそが問われるはずです。
これはノートに書き留めるのもそう。
そのブログ記事、ノート整理のファンクション(役割・機能・期待するメリット)は何だっけ?
そんな問いかけはしておいた方がよさそうです。
特に、あなたが何らか「発信者」のポジションにいるのでなければ。
つまり、あなたが私と同じように「学んでいる人」であり、「成長途上の人」であれば。
学ぶのであれば、学ぶのにふさわしいやり方ってのがあるわけですよ。はい。
たとえば本からの学びのプロセスを考えてみる
本から何かを学ぶプロセスは、およそ次の5つのステップに整理できます。
1.選書(何を読むか決め、選び取る、あるいは読まないことを決める)
2.入力(内容の受容・理解、狭義の読書)
3.処理・整理(本の理解を自分の知的体系、経験と統合、活用の方向性決定)
4.実践(出力)(行動に移す、人に伝える・人とコミュニケーションをとる、思考に使う)
5.反省・フィードバック(失敗や成功の体験を知的体系にフィードバックし再構成する)
広義のアウトプットとは、このうちの4を指します。
ブログを書くというのは「3」です。
書くという作業を通じて自分の意見を整理したり、
理解を深めたり、そんな処理・整理の作業。
それを「発信だ!」って気負っちゃうと、
形だけ取り繕ってしまうかも知れませんね。
きっと、あなたもこんな体験を持っているはずです。
「(ブログやノートに)書くことで、問題意識が明確になる」
「(ブログやノートに)書くことで、自分の理解が整理され、
欠けている部分が見えてきます」
だとすると、それは「出力」ではなく、「処理・整理」の過程。
もし、その先に本当の意味での出力、
すなわち自分の意見や判断のスピードアップがなければ、
単なる時間の無駄。自己満足。
ブログはサーバーの肥やしにしかなりません。
では、本当の意味での「4.実践(出力)」とは何かというと、
- 自分の文脈(知の体系)の中に統合された形で発信する。
- 仕事や生活の現場で、その知識や情報を活用し判断する。
そんなお話。
本を読んで終わらせず、自分の意見を整理したり、
学んだことを再確認、再統合したりするきっかけとして
ブログ発信を使えるといいですね。
アタマの中が整理できる上に、他者からつっこみがもらえるかも!
私も引き続き、自分の学びの整理としてブログを日刊で書いていこうと思います。