速読トレーニングにかかる時間ってどれくらい?

速読をマスターしたい!と思って、必死に速読トレーニングに取り組んでみたけど、なかなかうまくいかない…そういうことはよくあります。
 
いったい何が原因なのか?
 
そこをしっかりとつかんでおかないと、無駄な時間とエネルギーを使うことになってしまいます。
省エネ、高効率、時短を目指して速読トレーニングに取り組んで、結果として真逆の方向に進んでしまってはもったいない。
「一攫千金を狙って宝くじ!」は、まだ「夢」という報酬がありますし、「当たればめっけもん」くらいの気楽さもありますが、実利を求める速読でそれは…ですからね。

メソッドと努力は「正しい方向」に向かっているか?

何ごとも「正しいメソッド」と「正しい、継続的な努力」の掛け算で成果が決まります。
 
正しいメソッドとは、正しい理論(科学)適切な指導メソッド(技術)
取り組んでいるメソッドは信頼に値するのか、指導者は十分な力量を持っているか、ですね。
 
スポーツであれば、基本的な理論にはそれほど大きな差がありません。
指導とプレーのスタイルが自分に合っているか、指導者のプレーヤーとしての実績はどうか、指導実績はどうか、というところが問題になります。
 
速読の場合、そもそも理論とメソッドが破綻していることも多いので注意が必要です。
理論が破綻し、指導の方法論もでたらめでは「正しい努力」も成り立ちません。
 
これまで、7つの速読教室(流派)から相談を受けてきました。
どこも理論がそもそも破綻しているので、メソッドもおかしい。当然、指導技術も何もありません。
みなさん、看板では堂々と「誰でも速読をマスターできます」と宣伝していますが、インストラクターも速読できない場合がほとんどです。
 
ただ、そういう詐欺メソッドでも速読をマスターできてしまう人がいるんですよ。
そういう人の口コミで惑わされることがあります。その点は注意が必要です。

どんな流派で学んでも、速読をマスターできる人

実は、どんな適当なメソッドでも、それでマスターできてしまう人がいます。
どんな人かというと、継続的に年平均100冊以上読んできた人です。
詐欺速読教室は、ごくまれに存在する、そういう修得者の読書(速読)を分析してモデル・メソッドを組み立て、その人の成果を大々的に宣伝します。

なぜ、読書家は簡単に速読をマスターできるのか?

速読のレベル(速さ・質)は
【読書経験値(スキーマ)】×【体の使い方(集中力・眼のコントロール)】×【フォーカス】
という式で表すことができます。
この最初の項、読書経験値が大きいと、速読修得にすごく有利なのです。
 
まず、経験値が高くスキーマ(認知の枠組み)が大きくなることで、瞬時に処理できる情報が多くなります。
さらに読書の過程で、集中力や眼・意識の使い方を体が覚えているのです。これは、日頃、屋外で走り回って遊んでいる人はスポーツをやらせても上達が早いというのと同じ理屈です。
 
読書量が多いということは、最初の2つの項のレベルがもともと高いんですね。
 
だから、ちょっと視野の使い方や意識の状態を変えるトレーニングをしたら、それまでとまったく違うレベルの読書が手に入ってしまうものなのです。
(詳しく知りたい方はこちらのコラムをどうぞ。⇒速読の都市伝説が生まれた原因) 

速読修得には、果たして何時間くらいのトレーニングが必要なのか?

では、普通の人が努力して速読をマスターしようとすると、いったい何時間くらいのトレーニングが必要なのか?
誰しも気になるところだと思います。
 
私はこれまで3日間集中講座と通信講座で1700人を超える方々を一人で指導してきました。
基本的に、お客様一人ひとりと対話しながら、トレーニング内容を個別に微調整しながら指導しますので、「挫折」はほとんどありません。
 
その指導を通じて、私は「速読修得にかかる時間」について、1つの明確な答えを持っています。
 
それは30時間です。
 
3日間のレッスンでは、宿題も含めて1日に7~8時間のトレーニングをおこなうことになります。
その合計がだいたい20時間少々。
事後2~3週間の自主トレ(読書実践演習)が30分×16~20コマで、およそ8時間前後。
 
自宅でのトレーニングだと、「正しいやり方」が担保できませんし、前にやってから次に取り組むまでに時間が空いてしまい、感覚がうまく積み上がらないことがあります。(楽器でもスポーツでも1日さぼると、取り戻すのに3日かかると言われますよね。)
ですから、自宅でぼちぼちやると、倍くらいの時間をかけることになると考えていいでしょう。
 
ちなみに、プロレベルに到達するためには、だいたい1万時間の努力が必要だとする「1万時間の法則」が、一時期話題になったことがあります。
それに対して、TEDでは「何かをマスターするのに必要なのは20時間」という内容のプレゼンが話題になりました。
 
別にプロを目指すのでなければ、最低ラインが20時間。
 
そこで得た技術をブラッシュアップするのに「+10時間」と考えてると、「30時間」という数字は、非常に現実的な時間だといっていいのではないでしょうか。

速読修得に、さらに10日〜3ヶ月ほどかかってしまうケース

「講座の3日間だけ」ではまったくものにできなかった方も一定割合いらっしゃいます。
 
それは、読書数が極端に少ない人。
上記の逆で、修得するのに時間とエネルギーが余計にかかります。
 
※指導者の話を聞かないとか指導を受け入れないために修得できない人も1年に1~2人いらっしゃいますが、今回は論点とずれるため割愛します。
 
そのために用意しているのが「3週間の事後サポート+1年間の無料サポート」なのです。
「3日間だけ」でダメでも、正しい方法で、正しい努力を積み上げれば、ほとんどの場合、10日から最長でも3ヶ月ほどの自主トレで他の方と同じレベルに到達できるものです。

さらに長い時間(期間)がかかる人

しかし、中には修得までに1年半かかったという方もいらっしゃいます。
また、1年半かかってなお「速読にはいたらなかったけど、ようやく人並みに本が読めるようになった」という方もおられました。
 
そういう速読修得に難儀した方のケースをご紹介します。

1.「精読・熟読」に強烈な執着があり、読み方を変えられない場合

読書経験値の問題でも、頭の回転の問題でもなく、単に「執着」が強すぎるとしか考えられないケース。
なかなか習慣が抜けきれず、新しい視野・意識の使い方を受け入れられないわけです。
 
ある受講者さんは、毎日30分ほどトレーニングを続けて4ヶ月かかりました。
「1時間で1冊読めるようになりました。新幹線の東京〜名古屋間で文庫1冊を読み終えられたときは感動しました。」と報告がありました。
「頭脳」は優秀で、ドイツ語の医薬品に関する文献だったかマニュアルだったかの翻訳・校正をお仕事になさっていたと記憶しています。仕事で1文字ずつ丁寧に確認するような読み方の習慣が染み付いていた、と話していらっしゃいました。

2.いわゆる「難読症」の症状があり、文章の読解に困難を抱えている場合

過去に3名の例がありました。
うち1名は「文字だけでなく、あらゆるものを両目で見ることができない」という症状。「受験勉強は片目でテキストを音読して録音し、それを繰り返し聞くことでクリアしました」ということでした。
3日間の速読レッスンだけでは、「両目で見る」こともクリアできず、事後サポートも途中で断念なさいました。
 
それ以外の2名は「小学校時代から国語・読書が大の苦手」だったとのこと。
 
うちお一人は、やはり3日間講座ではほとんど成果が上がりませんでしたが、なんと1年半にわたって岩波新書を5回読み重ねて理解を深めるトレーニングを続けた結果(フォローアップ講座も熱心に参加してくださいました)、たいていのビジネス書なら10分で概要把握、20分程度で丁寧な読書、新書なら1冊40分で丁寧に読めるようになりました。
 
ただ、ビジネス書、新書、エッセイはスムーズに読めるようになったのですが、登場人物が多数登場する小説は、相変わらずまったく読めないとのことでした。
 
もう1人からは、速読講座の受講の相談を受けましたが「ゆっくり読書の経験を」とアドバイスを差し上げました。
トラックの運転手さんだったので、ダッシュボードに本と辞書を常に入れておいて、パーキングで休む時に読書をするようにし、わからない言葉があったら辞書を引く。運転中は朗読を聞いて、言葉・文章を耳から入れるようにしていただきました。
 
この方も1年半ほどの地道な取り組みの結果、「ストレスなく本を読めるようになった」とのこと。
 
子供の頃からのコンプレックス、苦手なことを地道で息の長い取り組みで克服なさったわけです。
素晴らしいことですね!

3.難読症ではないが、とにかく本を読まずに過ごしてきたという場合

本を読んだ量が「ほぼゼロ」という方は、やはり速読トレーニングで途方に暮れます。
単なる文章読解と違って、主張があり、論拠があり、事実があり、それらが複合的に層をなして大きな流れを作るわけです。
それを処理した経験がない人が、ちょっと集中力を上げたからといって、スムーズに処理できるようになるはずがありません。
 
「専門学校(資格試験)のテキストなら読んでいます」
「雑誌なら読みます」
 
こういう人も、「本」を読んでいないと同じことです。
短文の処理の延長上には、長文読解、書籍の読解はありません。
 
ただ、こういう方は単に「本を読む」ことに慣れさえすればいいわけです。
 
ある方は速読トレーニングと並行して、2ヶ月間、小学生向けの小説の重ね読みを徹底的におこない、マスターに至りました。
 
またある方は、内容の薄いビジネス書を一節ごと(数ページ)に何度も読み重ね、徐々に「一冊」につないでいきました。1年半かかりましたが、ビジネス書だけでなく、小説も読めるようになりました。(ただし、速読のトレーニングはしていません。)
 
ちなみに「ほぼゼロ」というのは「年に2~3冊」くらいを含みます。「一気に本を読み通した経験がない」という意味で、だいたい「経験値ゼロ」に近いのです。
 
これまでの指導経験でいうと、だいたい3〜6ヶ月、重ね読みのトレーニングをすることで、速読をマスターするベースが出来上がります。

読書経験は豊富なのに、まったく速読ができない場合

上の3つにまったく該当しないのに速読がまったくマスターできないという方もおられます。
強烈に「心理的なリミッター」が発動してしまっている場合です。
 
これについては、また別の機会に。

結局、速読にかかる時間(期間)は…

ざっくり整理すると、こんな感じです。

1.そこそこの読書経験を持っている人

月1冊でも本を読む習慣がある人。
ただし、ノウハウ系のビジネス書しか読まず、しかも学生時代にほとんど本を読んで来なかった人は、次の「2」の扱いになります。
 
標準的な「3日間+3週間集中サポート」で約30時間のトレーニングと読書演習でマスター可能です。

2.読書が苦手な人、読書量が「年0〜3冊」という人

速読については1と同じですが、「読書力のベース」を作るために、3ヶ月以上の読書トレーニングをどうぞ。
この読書トレーニングは、速読講座を受ける前でも後でも問題ありません。

3.読書量が非常に多い人

速読トレーニングの20時間さえ取り組めれば、だいたいそれで完成してしまいます。

4.詐欺速読メソッドで、むちゃくちゃな癖を身につけてしまった人

妙な教室で得体の知れない速読トレーニングをさせられた経験がある場合は、そこで身につけてしまった癖をリセットするための作業が必要になる場合があります。
(速読修得にもならないけど害もない、というところもあります。)
 
 
 
ということで、長くなりましたが「速読をマスターするために、どのくらいの時間が必要か」について書いてみました。
 
最後に補足をしておくと、「今まで自分が読んでこなかったような、レベルの高い本」に挑むためには、上記の倍の時間、さらに高度なトレーニングをおこなう必要があります。
 
あと、「思考・思索しながら読む」場合には、速読が出る幕がありません。当たり前ですが!

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