子どもにとっての速読トレーニングの意味(パソコン画面を眺めるトレーニングは有効?)

「この教室は、なぜパソコンを使わないのですか?」
 
今年の春に体験講座を受講した方に、そんな質問をいただきました。
 
その方は、大手の学習塾が採用している速読講座が、のきなみ「パソコン画面を眺めているだけでいい」としているのを見て、「速読トレーニングというのは、パソコンを使うものだ」とお考えだったようです。
 
もちろん、ことのばもパソコンをまったく使っていないわけではありません。
月4週のうち、第4週は「パソコントレーニングの日(30分限定)」。
 
パソコンでのトレーニングも「やり方次第」だというスタンスなのです。

パソコントレーニングのメリット

パソコンでしかやれないこと、パソコンならではのメリットというのは、限定的ではありますが確かにあります。「使った方がよりメリットがある」といえるのは次の2つです。

1.パソコンの方がトレーニングの効果が上がるものがある

眼機能の向上レベル、情報への反応スピードなどのブラッシュアップとテストは、パソコンソフトウェアの方が効果的におこなえます。そこで、ことのばでは次の3つの演習をさせています。

  • 1.アイボール(Eye Balls)トレーニング瞬間視、跳躍運動のトレーニング&テスト
  • 2.視野拡大(ナンバーサーチ)トレーニング意識の使い方による視野のコントロールのトレーニング&テスト
  • 3.イメージ記憶トレーニングフラッシュカード式の記憶トレーニング&テスト

これ以外にも「パソコンでも可能」なものがありますが、教授法、トレーニング法として総合的に考えると、メリットよりもデメリットが大きいと判断しています。
ただ、デメリットを補う方法も開発可能でしょうから、「やり方次第」なのかも知れませんね。

2.受講生一人一人の個人データがストックできる

私の教室は1教室、1講師しかないため必要ありませんが、上記のトレーニングに関するデータの他、読書演習の数値などをパソコンで記録することで、子ども達の状況を細やかにチェックすることが可能になりそうです。

子どもにとっての速読トレーニングとは…

大人であれ子どもであれ速読をマスターするためには、次の3つの要素をブラッシュアップする必要があります。

1.読書(理解)のデータベース(=スキーマ)

当たり前ですが、まったく知らないこと、体験したことがないことは、ゆっくり読んでもなかなか理解できません。
「読んで分かる」ためには、少なくとも

  • (1)日本語の文法(作法)
  • (2)コンテンツの書かれた社会的、歴史的背景
  • (3)書かれているテーマに関して前提となる知識

という3つが必要です。
 
文章を読む経験を積んでいくことで、脳の中にコンテンツそれ自体と、文章の読み方そのものに関する「スキーマ」と呼ばれるデータベース(長期記憶)が作られていきます。
これが十分に作られていることが速読の大前提なのです。

2.集中力、眼・視野・意識のコントロール力

1の前提の上に、文字をとらえる意識のコントロール力を高めることが速読力の鍵となります。
 
これを喩えていうなら、「上手に、スピーディーに食べるために箸の使い方をトレーニングする」ようなものです。
 
2〜4歳くらいまでは、指の使い方が不器用ですので、なかなか箸を上手に使えません。
箸を上手に(自由自在に)動かせるようになった上で、食材、料理ごとの独特の使い方を、実際の食事を通じて体で覚えていくことになります。
 
「指の器用な使いこなし」が「眼のコントロール力」。
「箸の上手な使いこなし」が「視野のコントロール力」。
「食材、料理ごとの箸の使いこなし」が「速読力・読書力」。
 
こう考えていただくといいでしょう。

速読するためには能動的に「眼・視野を使いこなす」必要があります。
一方、パソコンの画面を流れる文字を眺めるのは受動的に「眼が勝手に動いている」状態です。
これがパソコンのトレーニングに意味がないとする理由の1つです。

3.読む際のフォーカス(どういう読み方をするか)

1のスキーマと、2の眼などのコントロール力を高めることでも、ある程度のスピードアップが実現します。
ですが、この「フォーカス」という発想があると、読み方を意図的、主体的にコントロールできるようになり、勉強の効率、効果を上げやすくなります。
 
簡単にいえば、「ざっと目を通す」のと「一言一句を吟味する」のとで「スピードと理解度のバランス」を変えようという発想です。
 
速読というのは「とにかく速く!」ではなく「状況と目的にふさわしい速さと理解度のバランスで読む」ことに価値があるというのが「ことのば流」です。

速読トレーニングというのは結局、、、

速読トレーニングというのは、子ども達にとって

  • 自分の体の感覚と対話し、使いこなすトレーニングであり、
  • 書籍、あるいは著者と対話を繰り返しながら、
  • よりよく、よりスムーズに理解するトレーニングなのです。
     

ま、箸を使いこなすこととか、スポーツや音楽に習熟することとか、そういうこととまったく同じだということですね。(^^*
 
教育の世界に、一瞬で劇的に「力」が上がるような魔法はありません。ほんの少し、子どもの力がよりよく発揮できるようにするノウハウがあり、それを使いこなせるようにするための指導メソッドがあるだけです。
 
そういう「堅実で、本当に力になる速読講座」、「子どもの読書のストレスがとれて、もっともっと本を読みたくなるような速読スキル」をさらに改良し、ご提案していきたいと思っています。

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