速読の「落とし穴」、どうしたら回避できる?【#3/3】

落とし穴の存在が分かった。落とし穴が存在する理由も分かった。・・・とすれば、それを避けるのは難しくありません。
 
すべて、これまでに解説したことを裏返して考えればいいだけなのです。
 
ここから書くことは、多分、速読に初めて触れる人にとっては「何、当たり前のこと言ってるの?」という話。しかし、速読についての情報をすでに持っていた人にとっては、ちょっとしたパラダイムシフト(考えの根本からの大激変)と感じるかも知れません。。。

速読は「超能力」ではなく「読書技術」という前提を作る

あなたが「すごい能力を手に入れたい」、「右脳開発とか写真記憶とかに興味がある」のであれば、ここからの話は無意味です。あくまで充実した読書のための速読技術を前提としており、読書の効率なり、効果なりを高めたいという目的で考えています。
 
そうすると、次のような話が当然のこととして浮かんできます。

■ちょっと「入力」の部分を変えたからといって、読書が劇的に変わるなんてことはない。

想像してみてください。もし(某教室が言うように)3分で簡単に2倍になるなんてことが本当だとしたら、もうあなたの周りには「速読実践者だらけ」になっているはず・・・。

■読書とヒトコトで言っても、いろいろな読み物、いろいろな用途、場面がある。

ライトノベルを読む、学術書を読む、資格試験のテキストで学ぶ…いろいろな読書があります。すべてを同じように(しかも速く)読めるのか、それで成果につながるのかとクールに考えましょう。

■それまでの読書量や様々な経験値が影響してくる。

どんなに読書が好きな小学生でも、ビジネスや営業経験が豊富な社会人には「ビジネス書」を読む場面ではかないません。同じ社会人でも読書経験が少ない人は豊富な人には理解の質もスピードもかないません。同じトレーニングを同じようにして、同じ成果が上がるなんていう幻想は捨てなければいけません。

昔、「寺田さんの速読には「夢」がなさすぎる。」と批判されたことがありましたっけ・・・。

×「なぜ速読が可能なのか?」
 ⇒ ○「どうしたら速読が可能になるか?」

これまでの速読の理論といえば「脳」の可能性を前提として「脳には、情報を超高速に処理する力があるのです」という話しか出てきませんでした。「シナプス結合が…」とか、「右脳(潜在意識)は…」といったような話です。
 
そこでは「なぜ速読が可能なのか?」について、脳の機能から説明するスタイルが主流でした。実際、速読の本といえば「脳科学的(に見せかけた)な説明」と「成功者の体験談」と、トレーニングのやり方しか書かれていませんでした。
 
しかし、
脳に可能性があること(脳にすごい機能が備わっていること)
と、
私たちに可能なこと(実際に、どの程度まで脳の潜在力を引き出せるかということ)
の間には、無限の隔たりが存在します。
 
脳の可能性が無限だとしても、実際の読書力には大きな差があるし、高等数学が解ける人もいれば、小学校の分数の計算に悩む人もいます。
 
もし数学の講座で「脳の可能性は無限大だから、誰でも高等数学は解けます!」とか、野球教室で「誰でもイチローのようになれます!」なんて言われたら、「そりゃ可能性はゼロじゃないだろうけど・・・」とトホホ感で一杯になるのではないでしょうか。
 
考えるべきは「今の自分が読書のレベルを上げ、読書スピードを上げて行くには、どのようなステップを踏んでいかなければならないのか」ということなのです。

「読書とは何か?」そして「意識で読み解くメカニズムは?」と考えましょう!

脳のことを云々しても、脳の使い方なんてものは分かりません。しかし、本の内容を「読み進める作業」については意識でコントロール可能です。そして、そのときの目の使い方や意識の使い方は、眼科的な研究や認知科学的な研究で解明されている部分も多いものです。
 
そういう「読書という知的作業のパターン」や「普通の読書のメカニズム」から速読を考えると、おのずと答えが見えきます。

私たちが文字情報を読むときの目の使い方を知り、それを矯正し最適化する

まず、目の使い方。これについては、ぜひお手元に書籍『フォーカス・リーディング』、P54の章(「がんばって読もう」と思うと本は頭に入らない」)をお読みください。
 
☆読書における視野・視点のイメージ(書籍をお読みいただくのが手っ取り早いかも…)

※15分前後のあたりが目・視点の動きに関する解説です。
 
視野・視点の使い方を知った上で、それを矯正するトレーニングは絶対に必要です。普段通りの読み方(目の使い方)では、どうしても非効率な読み方にならざるをえないからです。
 
やみくもにスピードを上げようと思っても、そもそもコントロールできていなければどうしようもありません。陸上競技でも、速く走るためには、まずフォームの矯正を丁寧にしますよね? それと同じだと思ってください。

「文章を読む」作業を「本を読む」作業にシフトし、
最適な読書法を構築する

文字を読み取る作業と文・文章を読み取る作業もまったくレベルが違うものであることはご理解いただけるでしょうか? 幼稚園児でもひらがななら読めますが、文になると意味が分からなくなることがあります。
 
同じように文章が読めることと、本が読めることはまったく異質なものなのです。ですから、「本を読む」ために必要なテクニックも同時に学んでいく必要があります。また、そもそも読書経験値が少ない人は、基礎トレとして「丁寧な読書」をしていく必要も出てくるかも知れません。

×「よく分からないけどできた」
 ⇒ ○「意識的にコントロールできる」

仕事でも何でもそうですが「よく分からないけどできた」というのは次につながりません。速読も同じこと。
「よく分からないけど速く読めた」というのは、環境が変わり、意識が変わると(速く読もう⇔成果を上げよう)使い物になりません。どういう状況で、どうしたら目指すような状態になれるのかを徹底的に自分のものにしなければなりません。

「手軽に」を断念する

読書が手軽に劇的に変わるはずがない、ということを前提にしてください。
 
その上で、算数や数学、あるいは音楽やスポーツと同じように正しいメソッドで、スマートな方法、効率的な方法を身につけていくという発想を持ってみてください。
 
 
 
いかがでしょうか? ちょいと長くなりましたが、速読の落とし穴にはまらないためには、速読を何か特殊技術と考えるのではなく、読書の1つのオプションとしてとらえ、スポーツや音楽あるいは数学と同じように、しっかり手順を追ってレベルアップを図るべきものととらえればいいわけです。
 
もし、あなたが実際に速読トレをやってみてだめだった・・・という経験をお持ちであれば、そういう視点で、自分のやってきたトレーニングを問い直してみてください。
 
(速読の罠を避けるための基礎知識 全3回シリーズ完結)

蛇足的補足

教室選びのポイントをお伝えしています。
近くの教室に通ってみたいなーとお考えの方はご一読を。

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