【速報】大学生を対象とした速読研究の滑り出しは…

こんにちは。読書と学習法のナビゲーター、寺田です。
 
先週からスタートした、九州大学大学院・博士課程の研究として開催する「3日間集中講座+2週間のオンラインサポート」。
 
受講してくれた20名の大学生諸君は、読書を激変するプロセスを楽しんでくれているようです。(^^)
もちろんその一方で、これまで新書や学術書をほとんど読んだことのない学生さんは、「濃い内容の文章になると速読できない!」という現実に、やや衝撃を受けているようです。
 
速読はスポーツと同じですから、今の自分の基礎体力や基礎的スキルに応じたトレーニングを積んでいかなければなりません。何かトレーニングをちょっとやったら、突然天才になるような魔法はありません。
特に「新書」や学術書などを避けてきた人にとって、文字がぎっしり詰まっているだけでも、ストレスになります。

投稿の中にあるPRSというのは、それぞれPreview(下読み)、Read(理解読み、重ね読み)、Summarize(全体の振り返り)の略であり、読書ストラテジーあるいは戦略的読書アルゴリズムと呼ばれるものの一種「PQRS」(QはQuestioning)の、各段階を示します。

ちなみに、この学生さんの別のツイートがこちら。

読みやすい自己啓発書、ノウハウ書なら十分に処理できています。新書には、もう少し「慣れ」が必要ってことなんです。なので、あとは経験値を積み上げていってもらうしかありませんね。(^^)
ま、そのためのサポート期間ですし。

20名の速読トレーニングの結果

今回、実は事前に申し込んでくれた人は40名くらいだったのですが、申し込んだまま連絡が取れない人が13人いて、27人でスタートすることになりました。
しかし、当日ドタキャンした学生さんが、なんと6人! さらに講座中に身内に不幸があった方もいらっしゃって、最終的には20人となりました。
最後までがんばってくれた人たちには、本当に納得いく読書が手に入るまで、なんとか頑張って欲しいものです。
 
さて、その20人の学生さんの成果ですが・・・

読書スピードの変化

講座開始時点の読書スピードと、3日間講座終了時点での読書スピードを比較したグラフがこちら。

自己啓発書:土井英司著『伝説の社員になれ』
岩波新書:志水宏吉著『学力を育てる』
Pre:講座初日の朝のテスト(プレテスト)
Pst:講座最終日の夕方のテスト(ポストテスト)
数値は「1分あたりに読み進めることができた文字数」を表し、書籍ごとに最初の10ページの文字数を平均し、「この書籍は1ページあたり○文字」という概数を算出し、3分間で読み進められたページ数と掛け合わせることで算出しています(当然、それを3で割った数値です)。

どちらの本も「日常的におこなっている、満足のいく理解を手に入れる読み方」という指定での読み方で読んでもらったときの読書スピードです。しかし、だからといって、これで国語の試験のような理解・記憶テストをおこなって、一読してテストの問題が解けるとか、そういう成果ではありません。
あくまで「主観的に、十分に理解できたと思える読み方」に過ぎません。
 
これとは別に科学的な内容に関するエッセイ(約5000文字くらい)を読み、その後、テキストを見直さないでテストを受けてもらって、どのくらい理解できて、それを憶えているかというテストも受けてもらっておりますが、その採点と集計・分析は終わっておりません。その分析結果が出たら、またお伝えしたいと思います。

ひとまずの速読技術修得率は100%

フォーカス・リーディングにおける「速読修得」の基準は、

読みやすい本、2冊を読んだスピードが3倍程度以上の伸びを示した。

もしくは

概要把握のスキミングで、200ページの書籍を30分以内で読み終えられて、書籍(ストーリー)の流れ(構造)をおよそ理解できている。(ただし、メモを活用してもよい。理解については主観に任せる。)

としています。
どちらも「客観的・科学的」という観点からすると、かなり怪しい成果と言えなくもありません。

理解を主観で判断する理由

なぜ、「かなり怪しい成果」と自覚しているものを、研究で採用しているのか? ─ これには理由があります。
そもそも「客観的な理解評価」というものは測定が非常に難しいと考えています。読んだ後で、内容の理解・記憶についてテストしたらいいのか? これが1つの評価法であることは間違いありません。
 
しかし、その理解が「もともと知っていたこと」なのか、「ちょっと確認したらガッテンできた」というものか、「知らなかったことを、読むことで十分に理解できた」のか判断が付きません。読書の理解というのは、文章の読解によって得たものと、もともとの既有知識の融合した産物だからです。
 
それに(これが重要な理由なのですが)、日常的な学習に使う読書というのは、「どれだけ理解したか」はもちろん重要ですが、それよりも「どういうフォーカスで、どのような読み方をするか」という主体的なコントロール力をこそ重視すべきであり、そのあらかじめ設定した理解度やフォーカスと、実際に読み終えた段階での手応えから、「この後、どう処理すべきか」を考えることが重要であると考えるからです。

この研究での「理解テスト」

とはいえ、この研究で理解テストをしないというわけではありません。中公新書から理系的なエッセイの本を用意し、それをおよそ10ページ程度読んでもらい、その理解度テストをおこなっています。
ただし「1回読んで、その記憶の程度をテストする」というものではなく、制限時間内に自由に何度でも読み、その理解をテストしています。
制限時間は、500文字につき1分で設定しています。これは2018年度におこなった講座の結果から考えると、速読トレーニングをしていない学生でも、2回通り読めるペースです。ただ、内容がやや込み入ったものであり、「これからテストをします」という宣言が心理的にプレッシャーを与え、読書スピードを落とすことも考えられます。
なにしろ、そういう基準で制限時間を設定し、速読トレーニングの前後で、読み方と理解度がどのように変化したかを確かめようというわけです。
 
ちなみに、テストは「受講1週間前」「受講初日」「受講最終日」「受講2週間後」の4回おこなうことにしています。

そういうわけで、このテストで「速読および読書ストラテジーを学ぶことで、読書がどう変わるのか」ということが数値として(ある程度)分かるものと思います。
 
ただ、あくまで「速読と読書ストラテジーを学ぶことで、読書がどう変わるのか」であって、「速読で、どれだけ高速かつ正確に読めるのか」ということは計れません。それは、私の興味でもないし、上述の通り厳密に「速読による通読で(1回読んだだけで)どれだけ正確に理解し、記憶できたか」ということを測定することは難しいと考えています。
 
速読をマスターする理由としては、時間の短縮、効率アップということももちろん重要な要素ですが、読書が効果的になり、ストレスなく学びに向かうことができ、実際に成果・成長につながっていくということの方が断然大きいと考えています。
 
私にとって速読技術というのは、「自己成長のための自己教育力を高めるスキル」なのです。
 
というわけで、相当長くなりましたが、速読研究の速報でした!


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