こんにちは。読書と学習法のナビゲーター、寺田です。
日本の学校教育には決定的に読書指導/教育が欠けています。
それで私たちは、これといった戦略もテクニックもなく、
感覚的に読んでしまいがちです。
もちろん、「何も考えずに読んでいる」ことは
少ないでしょうし、実際、アンケートをしてみると、
様々なストラテジーを駆使しているものです。
例えば、
- 難しいところでは、ペースを落として丁寧に読む。
- 理解できなかったと感じたら、ちょっと戻って読み直す。
- 重要と思ったところに線を引きながら読む。
これらも立派な読書ストラテジーです。
“Verbal protocols of reading”(Pressley&Afflerbach, 1995)によれば、「予測・推測」、「重要情報の特定」、「推論」、「統合」、「理解モニタリングに基づく読解プロセスの変更」、「解釈」といった様々なストラテジーを読書前、中、後に活用しているとされています。
ただ、感覚的(無意識的)にやっていることは
コントロールできないものですし、
それが本当に効果的に使えているのか、
実際に効果の上がるやり方なのかも
評価できません。
何かを改善するためには、
- 1.意識的な取り組みにすること。
- 2.取り組みの結果を確認すること。
- 3.結果の確認からフィードバックを分析的に手に入れること。
が必要なのです。
1の意図的な活用については”Handbook of Reading Research, Volume III”(Alexander & Jetton, 2000)より。ぶっちゃけ「意識的」でなければ、ストラテジーとは言えないというお話。
2, 3についてはドラッカーの著作から「フィードバック分析」のこと。
そして、当然と言えば当然なのですが、
読書ストラテジーを意識的に活用している人ほど
読書の理解は高くなります。
そして、面白いことに「読書ストラテジーを使いましょう」と指示したり(※1)、
「どのような読書ストラテジーがあるか」という知識を学ぶだけでも(※2)、
理解が促進されることが分かっているのです。
※1:このあたり、様々な心理学研究で示されていることですが、具体的にどのような実験が行われたのかは未確認です。
詳しくは「読解方略の指導」(犬塚美輪,2013)。
※2:”The effects of updating ability and knowledge of reading strategies on reading comprehension”(Marloes, Muijselaar & Peter, 2015)
つまるところ、読書というのは漫然と読むものではなく、
- テーマにまつわる前提知識の整え方
- 読み重ね方
- ミクロレベル(単語、文脈)の理解の深め方
- マクロレベル(構造、ロジック)の理解の深め方、構築の仕方
といったことを理解した上で少しずつ実践し、
自分なりにどのような理解が高まったのかを
意識的にモニタリングしながら
読んでいく必要があるというわけです。
上に紹介した学術論文には、
読書ストラテジーの知識を持っていることが
高い理解度につながっているという研究結果が示されています。
であれば、読書ストラテジーとは何か、
どのような方法があるのかってことを
学んでみる価値はありそうだぞ、と。
もちろん、少しずつ意識して使っていくことは
重要ですがね。
もし、「読書ストラテジー」について
学んでみたいという場合は、
ダイレクト出版の
「フォーカス・リーディング読書法講座」
をどうぞ。
残念ながら、先進国で恐らくは唯一日本だけが
「読書教育」という概念を持っておらず、
書籍などを見わたしても、学術的な観点から書かれた
分かりやすい読書法の本は存在しません。
(完全な学術的な資料としての書籍はありますが…)
がんばって、2019年の秋には、
上記、ダイレクト出版の教材の内容を
さらに分かりやすい書籍として出版したいと
考えております。
それまでは動画教材をご利用くださいませ。