読書量が質につながらないのは「ゾンビ的読書」が原因かもよ?

本をいくら読んでも、読書力が上がらないなんて、どこのホラーでしょうか…。
でも、この怪談話、日本中のあちこちで夜な夜な語られておりまして…
 
もしあなたが、「本を読んでいるのに読書力が上がらない…」と悩んでいるしたら、それはゾンビの呪いかも知れません…。

ゾンビって、ほら、意志なく勝手に動きだして…。
自動操縦のように、撃たれても、身体が壊れても、狙った獲物に…。
 
 
あなたの読書は、そんなゾンビのような状態になっていないでしょうか?

ゾンビ的読書とは何か?

「あらゆる学力の基本は国語です。どんどん読書をさせましょう!」とかいう言葉を真に受けて、たくさん本を読ませたら成績ダウン…。そんなホラーな話も、実際起こります。
 
ここで疑うべきは、「ひょっとすると、その読書はゾンビになっているのかも知れない」ということ。
すべてが自動化されて、満身創痍でも、何かを失っても、まったく頓着せずにゴールに突き進む読書。これこそがゾンビ的読書です。
 
そして、実に多くの人の読書が、このゾンビになってしまっているのです。
その特徴はざっくり言ってしまうと、

自動操縦かのような、何の意図もない、ただ目指すゴールに向かって突き進む読み方になっている

ということ。
そして、このような呪いが生まれる原因は次の2つの要素がありそうです。

A.なんとなくでも読めてしまうものしか読んでいない

本を読んで過ごす時間が楽しい、だから読みたいという想いは確かにあるわけです。いや、場合によっては読まなければならないと思っているから読んでいるってこともあるかも知れませんが。
 
「楽しい」を優先すると、自然と「無理なく読める」本を選びがちです。これは大人も子どもも。もしあなたが難しそうな本、漢字や専門用語が多い本、イラストや図解が少ない本をスルーしてしまう傾向にあるとしたら、すでにゾンビの呪いはすぐそこに…
 
物語であれば、知らない言葉がなく、流れの中でなんとなくストーリーが楽しめれば、それ以上のことが気にならない…。
説明的な文章(たとえば自己啓発とかビジネスとか)であれば、とりあえず知らない概念がなければ、どんどん進んでいきますし、そこに自分がなんとなく思っていたことが明快な言葉で断言されていたりすると、我が意を得たり!的に喜んでしまいます。
 
しかも、そういう本に読み慣れてくると、読むペースも上がります。すいすい読めます。特段の意図も戦略もなく、漫然と「なんとなく」読めてしまうところが、ゾンビののろいの始まりなのです。

B.《仕掛けられた違和感》も、《分からない違和感》も、なんとなくスルーしている

物語にせよ説明的な文章にせよ、様々に張りめぐらされた伏線が少しずつ回収されていくところに面白さがあるものです。仕掛けられたギャップに、次に起こる何かを予感したり…。
 
ですが、ゾンビの呪いにとらわれている人は、今目の前にある言葉の処理に没頭しており、そんな楽しみをことごとくスルーしていきます。それどころか、本当は知らない概念が書かれているのに、並んでいる言葉を知っているというだけで、分かっていないことに気づかずにスルーしていきます。

「なんとなく」の量は質に転化しない

よく「量をこなせば、質に転化する」なんて、耳障りのいい激励の言葉を耳にしますが、そんな都合のいいことはありません。量稽古が質に転化するのは、それが負荷がかかった、意図的な稽古だった時だけなのです。
 
ゾンビの呪いを振り払って、読書力を高めたいと思ったら、どうしたらいいのか? ── これはなかなか難題です。読書力というのは、そもそもかなり複雑な要素が絡む問題であって、そうそう単純化して「こうしたらいいよ!」と言い辛いものだからです。
 
ただ、そのスタートラインとして1つ提案したいのは、「なんとなく最後まで読み切る」というゾンの呪いから逃れましょう、ということ。
決して難しい本を読みましょう、ということではありません。難しい本を読んだとしても、この指示語は何を指しているのか、今のこの話は前に出てきた伏線とどう絡んでいるのか、この話は自分の知っていることと同じなのか…そんなことに一切気を留めず、なんとなく読んでしまえば、それはやはりゾンビの呪いの中にあります。

能動的、意図的に読む

能動的で、意図的な作業でなければ、やったことからのフィードバックが得られません。意図があるから、意図にそぐわないことに気づきます。能動的だから手応えを感じます。そういうフィードバックを受け取れる状態で、量をこなすとスキルが進化します。
 
この能動的アクションと、それに対するフィードバックこそが、新たな気づきを手に入れ、進化をもたらす要因なのです。

負荷のかかるものを、負荷を感じながら読む

簡単なタスクだと、すでに持っているスキルで十分に対応できてしまい、自動的、無意識的に、つまり「なんとなく」でこなせてしまいます。
負荷を感じ、これを読みこなすにはどういう工夫が必要なのか?と考えながら読むことで、そこに戦略が生まれます。読書が得意な人というのは、この戦略をたくさん、意図的かつ自由自在に使っていることが分かっています。
 
さらに、知らない言葉や概念と出会い、それらとじっくり格闘した体験が、語いや思考力を高めてくれます。

理解のモニタリングがゾンビ撃退の第一歩!

何はともあれ、読書の中で自分と対話し、自分(の理解)をモニタリングする習慣を身につけたいところです。いわゆるメタ認知的な気づきを得られる読み方です。
このモニタリングができるようになることで、そこで生まれてくる違和感やもやもやを解消し、よりよく理解するために戦略的に読む習慣を持つことが可能になります。
 
では、どうしたらモニタリングができるようになるのでしょうか?

読み方の観点と戦略を明らかにして読もう!

単純な話として「なんとなく」を撃退するには「明確な意図」を持たせることが一番です。どういう読み方をしたらいいのかという読み方の観点・ポイントを明らかにして読む、という作業。

  • 前の章と次の章はどうつながっているのか考え、全体の論理構造を考えながら読む。
  • シーンに描かれた登場人物の心情はどう動いているのか想像しながら読む。
  • 接続詞の前後で、何がどう接続され、何がどう対比されているのか検証しながら読む。
  • 書かれていることが、自分の知っていることとどう結びつくのか、その異同を考えながら読む。

考えてみたら、国語の授業でやっていたような作業なのですが…。自分が大好きなジャンルや作家の、楽しく読める本ばかりを「ただ、楽しむ!」という目的で読むようになると、すべてがキレイに忘れ去られるということでしょうか。
 
また、読み方のスキルや戦略に焦点を合わせた観点でもいいでしょう。例えば

  • 頭の中で「読む目的」「読んだ後の成果」を意識する。
  • 理解や記憶をよくするためにノート(メモ)をとるようにする。
  • 理解や記憶をよくするために本に直接線を引いたり、書き込んだりする。
  • 全体像を知るために、まず書籍全体を下読みしてから読書に取りかかる。

こういったものが挙げられます。
 
そのような自分の読み方(行動)を測るための観点のことを「規準」(評価のためのものさし)と呼びます。
進化を早めたいなら、「何をどう意図的におこなうか」という規準作りが非常に重要です。
 
例えば子どもたちへの読解指導であれば、「指示語が何を指すか、的確な把握できているか考える」という規準を用意します。そして、子どもたちに、指示語に○をつけながら数回読み返すよう指示します。そういう作業を繰り返しながら、徐々にそういう理解を確かなものにするための戦略を使いこなせるように導くのです。
  
規準を持った上で能動的に取り組んでいくと、規準に関連する能力が高まるだけでなく、自分との対話する能力(モニタリング能力)が上がりますので、読みながら気づくことが増えていきます。
 
実際、アメリカの読書教育研究で「読書ストラテジーを知っているだけで、読書力が向上する」という結果も示されています。
モニタリング機能が発動するようになると、ちょっと難しめの本を読む際に、能動的、戦略的に読もうとする意識が発動し始めます。こうなると、読書の進化は間違いなく加速します。

最初は読みやすい本でいい!

読書に慣れていないうちは、読みやすい本でいいと思うワケです。楽しめない本は、モチベーションが下がり、そもそも読書から離れてしまいそうです。
でも、せっかく読むんですから、ちゃんと自分の進化が実感できるような読み方をしたいと思いませんか?
 
そのために・・・まずは「なんとなく」をやめてみませんか?というのが、今回の私からの提案です。

  • 一瞬一瞬、一文一文を、意図を持って読む。
  • 今、この一文が何を伝えようとしているのか、前後の文脈と照らし合わせながら読む。
  • 自分の分からないところを、把握しながら読む。

 
そのためにも、読書ストラテジーを学びましょう。
自分の読書が能動的で、何か目的志向のものに変わるように。
常に自分の内面の動きをモニタリングできるように。
 
それだけで読書は間違いなく変わります。
読書の質を高めたければ「ゾンビの呪い」から、読書を解放すべし ── これこそが、読書力アップの前提条件であることは間違いありません。
 
いざ、ゾンビ的読書の大征伐へ!

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