ゴールによって変わる速読技術の使いこなし方

速読を身につけると、何か読書とか学習の問題が一気に解決してしまうような気がしてしまうかも知れません。
 
しかし、修得できても、それをどう活用したら読書として価値が上がるのかが分からないという人も多いようです。
 
以前、子ども向け速読のFCを展開する会社の社長さんから「なぜ、うちは速読を採用して10年も経つのに、速読が成績につながらないのでしょうか?」と、真顔で相談されたことがあります。
 
実に悩ましいところですね。(^^;
指導者すらそこを理解しておらず「速読を身につければ何とかなるだろう」と思っているわけです。(身についているかどうか不明ですが。)
 
ですから、私が速読技術の指導をする際には、必ず「読書それ自体のとらえ方」を変えていけるように配慮しています。

実際、ゴールが変われば速読技術の使い方はまったく変わります。スピードもフォーカスも。
そこを明確に意識して、戦略的に読まなければならないのです。

なぜ読むのか?「Why」から考える。

あなたは速読を「何のため」に身につけたいと思いますか?
あるいは、何のために身につけましたか?
 
「速く読むため」というのは、もちろん意味のない答えです。
「何のために速く読みたいのか?」という問いですから。
 
ひとことで「読書」といっても、その中身は様々です。
 
私が社会人向けにご指導させていただいている「ビジネス速読」、すなわち「投資としての読書」を前提としても本当に様々なんですね。
 
読みたいものも違う。
読んで手に入れたい成果も違う。
 
大事なことは「自分の内なるゴールに近づくために、最適な本を、最適なフォーカス、最適な読み方で読む」ことです。

『小倉昌男の経営学』をどう読むか?

例えば、ビジネス書の世界で名著と呼ばれる『小倉昌男 経営学』

  
アマゾンのレビューが93個ついていて、その8割近くが「☆5つ」という名著。
 
同じ本を読んでも「☆5つ」つける人がいる一方で、「☆1つ」という人もいます。「☆5つ」を付けている人でも、その評価の視点は様々です。

To haveスタンスで読む

この本を「クロネコヤマトの宅急便を作った歴史」、あるいは「小倉氏の戦いの人生の歴史」として読めば、ストーリーとして楽しめます。
頭で理解して、心で楽しむような読書ですね。
 
1ページ6~9秒の速読であれば、この本を楽しむことは十分に可能です。
しかし、この読み方は完全に「頭」に入れるものになってしまいます。知識を手に入れる、ストーリーを楽しむための読書。
 
これを「To haveの読書」と呼びます。
 
この読み方だと、どこか「あくまで他人事」、自分の外側にあるストーリーを楽しむような読み方になってしまいます。「すごい人だね」という感想も、「今のクロネコヤマトの実態と違うじゃないか」という批判も、同じこの他人事スタンスから生まれます。

To beスタンスで読む

もし、これをすべて自分事として読んだらどうでしょう?
 
小倉氏の人生を追体験し、危機的状況に頭を悩ませ、突破口を探り、立ちはだかる巨大な壁に戦いを挑む…。
その時々に「自分だったら、この後、どうできただろう?」とシミュレーションをしながら。
 
もしこの本を心と頭をフルに使って読もうとするなら、きっと読み終わった後、脳細胞、魂の一部がすっかり変わったような疑似体験ができるはずです。
 
そして残念ながら、そこには「速さ」なんて概念は一切持ち込めません。
 
これを「To beの読書」と呼びます。

本の価値は読む方向性(To have / To be)とフォーカスで決まる

同じ本であっても、「何のために読むのか」が変われば、「どう読むか」も、まったく変わってしまうわけです。
 
冒頭の「マネジメントの三角形」は、それを図で表したもの。

最初に必要なのは、「今の自分に必要なものは何だろう?」という問題意識であり、そこで設定した目的にふさわしいフォーカスと、それに適した読み方を選択する技術です。
 
あなたが「読書を通じて、どんな自分になりたいか」という成長のデザインを描いていれば、同じ本でも、このように読み方をまったく変えることが可能です。
 
もちろん、読書にどのような方向性があって、それにふさわしい読み方というものがどういうものか理解しておく必要があります。
 
速読技術は、この「デザイン」があって初めて役に立つ「ツールの1つ」に過ぎません。
 
トレーニングによって集中力を研ぎ澄ますことで『ビジョナリーカンパニー』のような名著を1ページ6秒のペースで読むことは可能です。ただ、それで「あー、分かった」と言って終わらせてしまうと、実は超もったいないことをしている可能性があるわけです。
 
30分で1通り読み終えた後、どのような方向性で読み重ねるか?
 
そこが問われます。
 
まずは成長のデザインを描くこと。
そして、それにふさわしい読み方を設定すること。
 
ふさわしい読み方の選択肢を広げ、得られる効果を最大化するためにこそ、速読の技術を有効活用したいところですね。(^^*
 
2014年の1月に受講(1年ぶりの再受講)してくださった方が、3日間講座終了後の「集中サポート」の最後に、こんな感想を書いてくださいました。

講座を受けて、文字を読む行為に、
こんなにも選択肢と人生をデザインする可能性があったことに
ただただ驚きました。
 
また今回は、本を読んで得られる成果が、
読み方(体の使い方と心構え)によって大きく違うことを
実感しました。

この方が書いてくださっているように、技術のレベルを上げることで、読書の可能性が大きく広がっていくものです。でも、それは読む目的とそれに応じた読み方の選択ができてこそ、本当の意味で価値のある読書に変わっていくのです。
  
さて、あなたはすべての本を同じように読んでいませんか?
 
心を奮わせるべき名著、著者の人生を追体験すべき価値のある本を「頭で分かっただけ」で満足してしまっていませんか?
 
ぜひ、自分の読書のあり方を点検してみてください!

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