なぜ読書は成果や成長に結びつかないのか?

とても残念なことですが、
大人の学びは、基本的に身につかないようにできています。
 
がんばって本を読んだり、セミナーに参加したりしているけど、
1年前と比べて、それほど成長できている実感がない…
 
そんな悩み、相談をよくお聞きします。
 
あなたはどうでしょう?
 
ぜひ、この1年間を振り返りつつ、考えてみてください。

  • 自分が1年前に目指した高さに、自分は立っているのか?
  • 自分が憧れたロールモデル(メンターと仰ぐ人など)が、自分の今の年齢だった頃の高さを想像してみて、その高さに立っていると確信できるか?
  • 同じ年齢、同期入社の人たちと比べて、明らかに高い視点からものを見、思考し、発信できているだろうか?

コロンブスのお陰で卵が立った?── それは成長なのか?

いや、成果は感じていますよ、とあなたは言うかも知れません。
 
「ノウハウ書を読んで、やれなかったことがスムーズにできるようになりましたよ。」
 
── それは素晴らしいことです。
 
が! これは成長でも何でもありません。
 
コロンブスの卵の逸話を読んで、卵を立てられたとしても ──
偉かったのはコロンブス、ですよね?
 
あなたは基本的に何も変わっていないんです。
新しいパソコンを買ってきて仕事の効率が上がったとしても、あなたの成長と無関係。
それと同じこと。
 
では、そもそも「成長」って、何がどうなることなのか?
 
ここでは、次の2つを「成長」の定義として考えることにします。

それまで見ることができなかった視野で物事をとらえ、できなかった発想と思考で判断し、できなかったことができるようになること。

様々な情報、知識を学び、思考法を手に入れた結果、より高いレベルの判断が下せるようになる、とか。あるいは、これまで到底無理と思っていたビジネススキームを構築して、恐れることなく新しいマーケットに挑戦していける、とか。

「できる」ことについて、そのプロセスをコントロールしておこなえるようになること。

「教えられたとおりにやってできた」ではなく、ぶつかる問題について主体的に判断し、再現性高く実行できる状態、そのプロセスと結果を意識的にコントロールできる状態ですね。

では、どうしたら読書などの学びを通じて「成長」にたどり着けるのか、見てみましょう!

読書が「成果」へ、そして「成長」へ結びつくプロセスとは?

何かを学び、その成果として何かを達成すること、
そしてそれを越えて成長を手に入れること。
 
そのためには必ず、ある一定のプロセスを経なければなりません。
 
それを簡単に図で表したのがこちら。(⇓)

「学び」を成果、成長につなぐ5段階

読書にせよ、何らかスキル系のセミナーにせよ、「学び」の手応えには何段階かあります。
 
低い段階で満足してしまうと、成長はおろか成果すらつかめずに終わってしまいます。

1.【反応/蒔】のステージ…手に入るもの:気分(feelin’good)

新しい学びに向かい合って、まず全体を概観した状態(SEEING)です。
本を1度だけ読んだ状態はこのステージ。まだタネを蒔いたに過ぎません。
確かな理解・記憶が得られたわけではありませんが、新しい知識やスキルを学んだ手応え、学んだという充実感を覚えることがあります。
ここで満足して新しい学びに飛びついてしまうと「いい感じ(気分)」で終わり、何の成果も手に入れることができません。
【例】かけ算の九九で、かけ算とは何かを理解し、一通りの九九を教わった状態。

2.【学習/育】のステージ…手に入るもの:型どおりの記憶、技術(startin’good)

記憶の精緻化の段階です。予断と先入観を排除して、たんたんと同じ本を何度も繰り返し読み、曖昧な知識、不明な部分を「分かった」状態に変えていきます。
スキルであれば、型どおりのトレーニングを淡々と繰り返し、身体で覚える段階です。
その結果、新しい知識やスキルが、ひとまず理解できた状態が手に入ります。
ただし、「入れた」だけであって「取り出せる」ことが保障されていない状態であり、取り出せたとしても、型どおりの出力、ぼんやりした曖昧さの残る状態です。
【例】かけ算で、「ににんがし、にさんがろく…」と声に出して繰り返している状態。

3.【行動/実】のステージ…手に入るもの:十分な知識、スキルのコントロール力

入力したものをヒント、もしくは材料にして実践を繰り返す段階です。
手に入れたい目的に応じて、負荷の低い出力(想起)、スキルであれば結果を気にせず様々なバリエーションで実践します。
学んだことが、ようやく行動に移され、それが結晶化(CRYSTALLIZING)しつつあるところ。
最初は「型どおり」の模倣レベル、知識の受け売りからスタートしますが、徐々に違う角度、違うシチュエーションでの出力が可能になっていきます。
これを経て、知識を適用し物事を解釈したり、スキルであればコントロールされた状態で一定の成果を上げられる状態になります。
【例】かけ算で「2×2=[ ]、2×3=[ ]…」というような型どおりの出力を経て、ランダムな問題を解いている状態。

4.【成果・業績】のステージ…手に入るもの:狙った成果、業績の向上(good)

学んだ知識を「受け売り」的に出力できるだけでなく、それを活用して問題解決に当たれる段階です。
スキルであれば、現場での実戦経験によって、半ば自動化されており、また意識的に狙った成果を出せるようになります。
自分なりの「ひとまずの完成された知識・スキル」が出来上がります。(PROTOTYPING)
「成長したな」と実感できるのは、ここを完了した段階、次の5に突入した段階です。
【例】かけ算で、文章問題が解け、実生活でもかけ算が活用できる状態。

5.【深化・成長】のステージ…手に入るもの:成長、文化変容(great)

Uプロセスを終えて、新しい課題にチャレンジすべく、次のステージに入ります。
ここまで来た段階で、すでに学びが自分の血肉になり、思考のレベル、文化のレベルで変容しています。

良好から偉大へ ~ good to great~

名著『ビジョナリーカンパニー2』の冒頭で、著者コリンズは『良好は偉大の敵である。』と語りました。
 
僕ら個人にとっても同じコトが言えます。
 
僕らの成長の敵は常に「今の満足」です。
 
レベル3、つまり「言われた通りにやったらできた」で満足して立ち止まるから
それが自分のものにならないし、習慣として定着もしません。
 
最悪なのは「読んだ満足感」、「新しい知性を手に入れた気分」という
feelin’goodで満足して立ち止まってしまうこと。

 
本を1度しか読まないというのは、論外中の論外なのです。
 
目の前のgood、すなわち成長とは異質の、日常のちょっとした成果についての満足と、
feelin’good、すなわち「学んだ!」というリターンを確認しないままの自己満足。

 
これをいかに排除するか?
 
そここそがリアルな成長を手に入れる上で最大の問題なんですね。

レベル5の学びを目指そう!

もし、5まで到達できていないようなら、
明日から、学びの到達目標を見直してみましょう。
 

1.学ぶ目的、手に入れたい自分の成長した姿をリアルにイメージする。

その本を読むことで何を手に入れ、どんな自分になるのか?── その目的と、通過点としての目標を明確な言葉、測定可能な形で設定しましょう。
★参考記事:「2013年、間違いなく目標を達成するための4つの工夫」

2.本を読んだら、「今後、実践すること」をTo do/To beリストに書き入れる。

「読書」というのは、Uプロセスの左側に過ぎません。1回読んで満足せず、何度も読んで、理解を確かにしましょう。
その上で、プロセスを出力に移す必要があります。
日々の仕事の中で意識すべきこと、特に何かアクションを起こすことがあればTo doリストへ!

3.フィードバックを手に入れよう!

成果を上げ、成長につなぐ唯一の方法は、自分がこうなりたいと描いた期待と、その後の自分が手に入れた結果を照合し、そこからフィードバックを手に入れることです。
日報を活用するもよし、クレドカードなどに「今月のテーマ」を書き込むもよし。
★参考記事:「あなたが作りたいのはどっちのメモ?」

ぜひ、一度、自分の学びへの姿勢と、学びの目標設定を見直し、本当に「成果」「成長」を手に入れられるシステムを作りましょう。
 
くれぐれも「いい感じ(feelin’good)」で終わらないようご注意を!

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