こんにちは。読書と学習法のナビゲーター、寺田です。
速読講座に限りませんけど、サイトを見ると
「受講者の声」とか「受講後の成果」みたいなデータが
誇らしげに紹介されていますよね。
うちもありますが…
あの手のデータは、基本的に眉に唾して読むべきだよ、
というお話です。
この記事の目次
Before-Afterの「その後」はどうなる?
実は今日、8月から10月まで、
月1回×3ヶ月の講座の集中サポート期間が終わりまして、
受講者さん達全員に、動画で「今後の読書について」の
アドバイスをお送りしました。
コツコツと3週間、本を読み続けた人は、
たいていの場合、最終日の最後の読書スピード測定よりも
レベルアップしています。
それでいて、「速く読める本」と「ゆっくりしか読めない本」も
経験の中で見えてきますし、現実的な速さも分かってきます。
ここで重要なことは、「レベルアップ=速さアップ」ではない、
ということなんです。
例えば・・・
読書経験豊富な方の例
【読書経験】
中学・高校・大学を通じて、年間約50冊程度
ここ3年間は、小説や新書を年間100冊程度
3日間講座のデータ
- 読んだ本:アンソニー・ロビンズ著『アンソニー・ロビンズの運命を動かす』
- 【初日(トレーニング前)】約560文字/分(理解度85%)
- 【最終日】約6700文字/分(理解度80%)
- ※理解度は自己申告
3週間の集中サポートの終盤のデータ
- 読んだ本:御手洗瑞子著『気仙沼ニッティング物語:いいものを編む会社』(217p)
- 【下読み】なし
- 【本ちゃん読み】約20分(理解度85%)
- 読んだ本:マイケル・サンデル著『これからの正義の話をしよう』(400p)
- 【下読み】約30分(理解度25%)
- 【本ちゃん読み】約60分(理解度60%)
コメント
レッスン最終日の読み方が、スピード重視の軽い読み方になっていることが分かります。まぁ、読みやすい自己啓発書だったということもありますよね。
対して、レッスン終盤のデータを見ると、同じレベルか、もう少し情報が多めの本でも、ビジネス系だと1ページ6秒弱(4500-5000文字/分)で十分読める状態。
最終日よりも、スピードはやや控えめですが、理解度が若干上がっています。(5%の差という自己評価ですが、手応えに差があったってことですね。)
そして、サンデル教授の本は、もともと速読しても意味がない本ですが、文字も多く、内容も難しいと「歯が立たない」状態であることが分かります。
これについて、ご本人はこう感想を書いていらっしゃいます。
・理解度も低くなりましたが、この本は自分ときちんと向き合って読むべき本だなと、改めていろいろなことを考えさせられました。
・速読技術を習得できたおかげで意図を持って本を読むことができるようになりました。
これが、ある意味で「健全で、真っ当な評価(速読の効用)」と言っていいでしょう。
読書経験が乏しい方の例
【読書経験】
中学・高校を通じて、年間約5冊程度
ここ3年間はビジネス書を年間5冊程度
3日間講座のデータ
- 読んだ本:初日:不明、 最終日:『革命のファンファーレ』
- 【初日(トレーニング前)】約600文字/分(理解度50%)
- 【最終日】約8000文字/分(理解度80%)
- ※理解度は自己申告
3週間の集中サポートの終盤のデータ
- 読んだ本:平井周平著『なぜ9割の会社のホームページは失敗しているのか』(189p)
- 【下読み】なし
- 【本ちゃん読み】約35分(理解度80%)
- ※その他の書籍についてもだいたい同じくらい
コメント
レッスン最終日は、2ヶ月間の集大成として「読むぞ!」と気合いを入れていらっしゃったのだと思います。
読みやすい、楽しい本ですし。
速読演習の測定のための本(読書)ですから、細かいことは気にならなかったでしょうし。
でも、現実的に読書経験を積み上げていったら、だいたい1ページを9~10秒程度で読むのが一番、心地よく、理解度も上がるという結論に至ったわけです。
数値は落ち着いていますが、その分「使いこなせている」という状態です。
これを「レベルアップした」と呼んでいるわけです。
以下、ご本人の談です。
慣れていない本は、メモしたり線を引いて理解度を上げたり、本の趣旨を見失わないようにする。
いままで専門書以外はほとんど読まなかった自分が、月に10冊前後かそれ以上の本を積極的に読むようになり、カバンに本が入っていないと不安なくらいになりました。
講座直後のデータはメガ盛りMAXと心得よ!
うちの講座でも、一応【講座の成果】として「最終日のデータ」を公開しますが、
それはある種「追い風参考記録」としてご覧ください。
実践を重ねていくうちに、スピードは現実的なところに落ち着いていきますが、
その分、「使いこなせる状態」になっていくものです。
そして、それこそが読書技術として何より重要なことだと考えています。
無駄にスピードを求める速読に意味はありません。
地に足の着いた、目的や状況に応じてコントロールできる技術、
速さを効果的に使いこなしうる速読戦略だけが、
あなたの知性を高めてくれるのです。
ということで。
蛇足その1
私が15年前に受けた速読講座では、
そのペースでページをどんどんめくっていってください!
と言われて、必死でめくらされ、最後に
と指示されたことが・・・。
もちろん、その講座のサイトでは、その数値(約60,000文字/分)が
記録として公開されています。(理解度を書く欄なし。)
いやー、まさに「闇」ですね!(笑)
蛇足その2
私の知り合いが受講したある講座では、
6秒だけ読書スピードを測定したそうです。
最後は「では、今日の成果を6秒試しましょう!」といって、
思いっきりスピードアップして読むのだそうですよ。
6秒しか読まないので、そもそも理解度なんて概念は
存在しません。
短時間なので誤差も大きくなり、結果としてすごい伸び率に…(汗)
これもまた、「嘘はついてないけど深い闇」というところで…。