「私にとって読書とは、
それまで未知であった世界を
想像しあるいは空想し、
時には一体となって考えあるいは反発し、
やがて既知の世界として
私の中に沈めてゆく行為である。」
── 池内 了著『読むことと想像すること』
本を読む時、書かれた文字が意味を伴って
私たちの頭の中に入ってくる・・・
・・・のではありません。
眼に映った文字情報に反応して、
私たちの脳が、その文字・言葉に結びついた
体験を引っ張り出し、文脈に沿って新しい世界、
新しいストーリーを構築していくわけです。
素直にイメージにでき、自分の体験の中に
織り込んでいけるものあり。
時には躊躇(ちゅうちょ)し、反発しながらも、
だからこその新しい体験が生まれ、
新しい輝きを放つ縦糸、横糸として
織り込まれていくものもあり。
いずれにせよ、十分に咀嚼し、
自分の体験から生まれる記憶の中に、
バーチャルながら一つの体験として
位置づけられたとき、
その読書は初めて成就したと
いえるのかも知れません。
そして、そんな読書が体験できたとき、
私たちはすでに、読む前の自分とは違う自分に
なっているはずです。
知識云々ではなく、脳みそ、神経結合、マインドといったもの、
そのものが再新再生するような読書をたしなみたいものですね。(^^)