随分前のフォーカス・リーディング集中講座の懇親会で、
こんな質問をくださった方がおられました。
「岩波新書を1日1冊ペースで読む人がいるという話を
なさっていましたが、
そんなに速く、たくさん読んで何か意味があるんですか?
私には、読みながらじっくり考えるという時間が必ず必要です。
それ抜きに何か得られるんでしょうか?」
実際、過去の受講者さんで
岩波新書をほぼ20分で
読めるようになった方がおられました。
(もともと読書力の高い人でした。)
そして、その方は1年半ほど、
平日ほぼ毎日1冊読んでいらっしゃったんですよ。
その話をしたところ、上のような質問がでたわけです。
なるほど。
その疑問、とてもまっとうです。
せっかく学問的な本を読んでいるのであれば、
その問題意識を共有し、
自分なりに仮説を立てながらロジックを先読みして、
著者の出した仮説に、時には異論を唱え、
さらにそこから新たに出てくる問題について
思考を展開する・・・
そんな読書をしたくなるかも知れません。
ただ、それですら
「そういう読み方をしたい人もいる」
に過ぎません。
同じ本だからといって、
皆が同じ読み方をするわけではありません。
著者の思考の跡をたどり、
著者の思考力を自分にインストールするような
「考える読書」を求める人もいるでしょう。
著者が出した結論のみを受け取り、
それらを情報として活用することで
自分の視野に写る世界を、より鮮明に描こうとか、
思考と判断のスピードと質を上げようとか、
そういう「知るための読書」を求める人もいるでしょう。
あるいは、著者の言葉の中から
自分の行動指針となるような、
あるいは、新たな行動のヒントとなるような
言葉を見つけ出したいという
「行動を変える(行動する)ための読書」人もいるでしょう。
読書にはそんな3つの方向性があるわけで、
どんな本を、どんなふうに読むかは、
その人の読書デザイン、生活のデザインにかかっています。
[blogcard url=”https://www.office-srr.com/column/3-directions-to-read-a-book/”]
速読は、読書の問題をすべて解決する万能ツールではありません。
速読とは、あくまで
「速さ(と質・深さのバランス)をコントロールする読み方」
であるべきであって、
それをどう活用するかは、その人次第。
そのためにも!
まずは読書デザインを点検し、
どんな読書によって、どんな価値を積み上げられたら
自分はもっと成長できるだろうか?
そんなふうに考えてみてください。