【速読】「本をたくさん読んでも賢くなれない」とか、どういうこと?【多読】

こんにちは。読書と学習法のナビゲーター、寺田です。

【本日のお話】

  • 本をたくさん読むと賢くなれると一般に言われますが、実は嘘ですよ、というお話
  • でも、たくさん読んで賢くなるために2つのことを大事にするといいですよ、というお話

速読的「1日10冊」の謎読書

昔から「本をたくさん読んだら賢くなれる」という妄想を煽って、速読業界はお客を獲得してきました。
 
なんか「速読多読したら頭が良くなるぞ」的な煽りですね。
 
そういえば、修得率が1%いかず、修得までに数年以上の修行が必要と言われる速読教室の受講生さんも、ある時、誇らしげに語ってくれたことがありましたっけ。

速読マスター氏
毎日10冊コンスタントに読んでいますが、1冊だいたい1分しかかかりません。
寺田
へー、それはすごい!
今度、実演して、読んだ本の内容を語って見せてくださいよ。
速読マスター氏
それはできません。人に語れるような記憶は残らないんです。
でも、自分の中には残っていると確信しています。
寺田
・・・💦

人に語れるような理解も記憶も残っていないといいながら、自分の中には入っていると確信できる根拠は何なんだ?って感じです。こういうのを盲信というのでしょうか…。
 
ちなみに、その教室で8年くらい修行していた人が「私は1冊1分(12万文字/分)で読めます。娯楽の読書だったら1ページ4~6秒くらいです。」という自己申告の元で科学的な実験をしたら、1ページ6秒くらいかかったそうです。(それでも十分に速いんですが。ちなみに、同じ実験に参加した6年以上修行してた人たちは速読できなかった=スピードはやや速かったけど、あまりよく理解が出来ていなかった=そうです!⇒論文

速読がつくる多読は人を幸せにするのか?

どういうスピードで読んでも、もちろんそれは自由ですよ。えぇ。
でも、「速く読めればたくさん読めるでしょ?」的な煽りはどうなんだろうって思うわけです。
問題は1ページ6秒で何を読んで、何を学び取り、何をどう変えてきたのか?── そんなことだと思うわけですよ。教育者を名乗る者として気になるのは。
趣味で速読やってます!ということなら、別にそんなツッコミはいらないと思うのですが、多くの速読教室は「速読を身につけたたくさん本を読んだら頭よくなるぜ!」的な宣伝をしまくっていますからね…。
 
そもそもそんな「残っていない」「取り出せない」速読で何かメリットがあるのか?
そんな速読でたくさんの本を読んだとして何かいいことあるのか?
 
そんなラディカルでベーシックなツッコミを入れましょうよ、なんて業界の片隅で思う日々でございます。

教育業界にはびこる「まずは量」信仰の間違い

こういう盲信、妄言レベルの多読信仰は論外としても、義務教育などでも、とにかく本を読ませようという量を指標とした評価が横行しがちです。
 
ですが、実際のところ、量を追求するとこういうことが起こります。

 
このグラフは、ベネッセ教育研究所が発表しているものなのですが、週1冊ペースをピークに、読む本の量が増えるほどに成績が下がる傾向にあります。

他の研究によれば小学校高学年以降は読書量と語彙力が相関しないという結果になっており、2016年に実施されたベネッセと朝日新聞共同の「語彙調査」の結果を見ても、高校生で週1冊読む子と週2冊読む子とを較べると、週1の子の方が語彙力が高いという結果が出ています。(それを越えると、またやや高くなっていますし、そもそも調査した語彙の種類が微妙なものですので、あまり当てにはなりませんが。)

読書を「力」に変える鍵

ここで重要なことがあります。
 
それは語彙力の決め手は「量」じゃないということ。
語彙は量ではなく、「幅」で決まるんです。幅を作るのには量も要りますから、正確には「幅のある量」ってこと。
 
社会人でいえば、読みやすいビジネス書とか自己啓発書ばかり読んでいても、絶対に語彙力は上がりません。「語彙力を高める本」とか読んでも、もちろん高まりません。単語帳だけで単語の勉強しても、英語の会話とか作文とか読解とか、全然出来ませんよね?
語彙というものは、とりわけ低頻出語彙と呼ばれるものは、それが使われるような書籍を大量にたしなんでいく中でしか身につかないものなのです。

このあたり、興味がある方はこちらの論文などいかがでしょう?
「読書習慣が語彙知識に及ぼす影響」

読解力アップのために、量をこなすことよりも大切なこと

まぁ、語彙が学力とか賢さと相関しているだろうという前提で語っていますが、語彙に限らず「読解」能力も同じことがいえそうです。
ただし、こちらは「読書の幅」というよりも「効果的な学び方」を学ぶべきという話ですね。
 
出典は2009年に出されたPISAの結果を受けてのレポート。

OECD, PISA 2009 Results, volume III: Learning to Learn, 2010 p. 98.

Reading a lot is not enough: students who read a lot but who do not understand how to learn effectively perform worse in reading than students who read less but understand what effective learning entails.
▼寺田のてきとー訳
たくさん読むだけでは十分とは言えない。たくさん読んでいても、効果的な学び方を知らない生徒は、その逆の生徒と較べて成績が芳しくない。

This confirms previous research that while enjoying reading is a necessary step towards becoming a better reader, it is not sufficient if it does not go hand-in-hand with a good understanding of how to use reading to learn effectively.
▼寺田のてきとー訳
このことで、前の調査結果が確かめられたことになる。すなわち、よりレベルの高い読み手を目指す上で、読書を楽しむことが必要でありつつ、効果的な学びを実現するために、どう読んだらいいのかしっかりと理解するということが伴っていなければ、それは不十分だということだ。

こういう事実をきちんと踏まえず「まず読もう」、「とにかく読もう」というのは、はっきりいって馬鹿げています。
 
小学校の先生は、まず読書感想文とか書かせる前に、本の読み方を教えましょうよ。あと、作文の書き方も。
そういう基本的なリテラシーの指導がない先進国って、多分、日本だけなんですよ。だから「読めば読むほどに頭が悪くなる」的な謎事態が起こるんです。

結論:読書で賢くなりたいあなたへ

少しでも自分の価値を高めたい、この時代を賢く勝ち抜いていきたいとお考えのあなた!
まずは「読書法」を学びましょう。
 
筋トレの仕方を知らずに筋トレをしてもマッチョには慣れないし、ダイエットの仕方を知らずに美しく痩せることは不可能です。
読書だって同じですよ?
 
そして、多読を煽る教育業界速読業界の皆さんへ。
読書に量を求めるなら、量を煽るなら、その前にちゃんとした読書教育を授けましょうよ、教育者のみなさん!

宣伝!速読&読書講座やります!

12月8日 13:00-16:00 in 東京・八重洲
速読&読書戦略基礎講座

関連するエントリー

  1. メモを無駄にしないために意識すべき4つのベクトル

  2. リバウンドを回避するには?

  3. 資格試験学習でストレスと時間を激減させる速読活用法

  4. 大学時代で身につけておきたい!「学習メタスキル」としての速読…

  5. まだまだサバイバルする「紙の本」のこと

  6. 読書で想像力は鍛えられるのか?

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

Optionally add an image (JPEG only)