読んだ後の”記憶”を強化する、読書中のちょっとした作業

本を読むときに、ちょっとした気遣いができると、驚くほど理解が深くなり、記憶にも残るようになるもの。
その「本の読み方のコツ」をお伝えします。

「本を読んだ」と「記憶した」は別物

本を一冊読んでも、なかなか頭に残りません。
これは「理解する」ことと「記憶する」ことが別物だから、ある意味で仕方がない問題です。
 
しかし、これって「読書」を考える上で、すごく重大な問題だと思うワケです。
 
だって、私たちが「この本を読んだ」という場合、単に「物理的に印字された文字を網膜に写し取った」というような、そんなけったいなニュアンスで語ることはなく、「この本を理解した」「理解したものは、自分の中に残っている」という表明をしているはずだし、それを自分自身にも期待しているはずなのです。
 
そう。ここで語りたいのは将来への投資としての読書のこと。
 
でも、3日経過したら内容を忘れていて、「読んだ時の興奮」とか「読んだ時の学んだ気分」とか、そういうものしか残っていないとしたら、それはゲームをして時間をつぶしたのと、あまり変わりがない単なる消費行動になってしまいます。

読書体験そのものに価値があるのでは?

「いや、読んだ体験を通じて、脳みそは1mmでも変化したはずだ」
 
とうそぶくのは簡単です。
ですが、それが言えるのは、言葉を深く体験するような作品であったり(それが文学作品であれ、漫画であれ)、心揺さぶられ、人生を振り返ることを余儀なくされるような作品であったり、そういった脳みそなり魂なりを揺り動かす体験をしたのであれば、ということ。
 
気楽に読んで楽しめて、「へー、そうだったんだ」と単に知らなかったことを知り、「そうだよねー」と既に知っていたことを確認して喜んでいるレベルの作業は、単なる表面的な体験で終わってしまい、3日以上経過して思い出すことはありませんし、もし憶えていることがあったとしたら、それは元々知っていたことに、新しいバリエションが付け加わったに過ぎません。
脳みそ(というか、あなたの脳内の知識の構造)は負荷のかかる作業をして初めて、変わりうるのです。

ノートにメモを残した!は有効か

「いや、ノートにメモしています」
 
そういうハイレベルな反論をする人がいるかも知れません。
 
確かに、それは素晴らしいことだと思います!
私もノート作りは実践しています。
 
こんな感じです。

ですが、それも問題があって、書き方によっては記憶に残らないし、ノートを見直さないと思い出せない知識は、自分の思考の中で活かされることはありません。自由自在に意識に昇ってきて、思考に幅を作ってくれるようなアクティブな(アクティベートされた)知識になってこそ、「投資のリターンが得られた」といえるのです。
 
そのためには、ノートのとり方も工夫する必要があります。
例えば、こんな感じ。

なにしろ、ノートを取るという行為は本当に素晴らしい行為ですし、投資としての読書に取り組む行為も、本当に素晴らしいと思うのです。
 
だからこそ、「やって終わり・満足」ではもったいない!と思いますし、「ちゃんと半年後、一年後にリターンが得られていることを確認できる」ような読み方、残し方をして欲しいと思うワケです。

読んだ内容を記憶に残りやすくする方法

本当に「ちょっとした」作業を加えることで、読んだ内容を記憶に留めるのが楽になります。
ぜひお試しを。

1.読み始める前に「タイトル」と問題意識をつなぐ

何らか問題意識があったからこそ手に取った本だとは思うのですが、読み始めるときはなんとなく読んでしまいがちです。
記憶は「関係性」の中で残るものなので、「自分の問題意識・課題意識との関係」を明確に、言葉で確認してみてください。
自分が何を知っていて、何を新たに学びたいと思っているのか ── これらを言葉にしておくだけで、学びが自分の中に強く位置づけられるものです。

2.章の始まりで「この章のキーワード」を確認する

その本のテーマと、今から読もうとしている章がどのような関係にあるのかを確認します。
そして、章のタイトルから「その章でユニークな言葉(キーワード)」を拾い出してメモしてみてください。
ここでキーワードを書きとめる作業は、意識・無意識のアンテナを立てる作業になります。これは紙にペン(鉛筆)で言葉を書く作業が、毛様体賦活系(RAS)と呼ばれる情報のアンテナにキーワードをセットする作業になるのです。
 
紙に書くこととRASとの関係については、こちらの記事をどうぞ。

3.章ごとにキーワードを書きとめる《Retrieval Practice》

章を読み終わったところで、その章のキーワードをメモしてみてください。
今、読んだばかりの内容とはいえ、その内容を思い出そうとすると、なかなか出てこないものです。そういう場合は、ざっと中身を振り返って、ポイントを再確認しましょう。
これは「軽い復習」(Retrieval Practice)としての効果が期待でき、全体の記憶をより強くしてくれます。

4.一冊読み終わったところでメモを追加する

一冊読み終わった段階で、今、読んだ内容で憶えていることや、特に気になったことなどを、先ほどメモした「章のキーワード」と関連させるつもりで書きとめてみてください。これも一種のRetrieval Practice(想起演習)の効果があります。

さらに記憶の効果を高めるための「次の一手」

さらに記憶への定着を期待するなら、もう少し脳みそに負荷をかけてみましょう。

5.重ね読みをしてメモを書き足す

重ね読み(理解読み、高い理解での読み重ね)をおこない、先ほどメモした用紙に「その章のポイント」と「元々自分が知っていたこと、実例」などを書き足してみてください。
記憶に残す効果が高いのは、①単語でのメモより、文や図・イラストでのメモ、②自分の言葉に置き換えて整理したメモ、③自分の知っていたことと関連付けたメモ、といったところ。これらは、メモを通じて自分の脳みそを使っており、自分の記憶(知識・体験)と書籍を関連付ける効果があります。
 
なお、メモするのは章ごとでも、一冊まるごと読んだ後でもどちらでも問題ありません。

6.読み終えた後、時間をおいて想起メモ

これもRetrieval Practiceの効果が大いに期待できます。
やるのは直後ではなく、かなり時間をおいてからが理想です。思い出すのが困難になった状況での想起作業(Retrieval Practice)が効果的なのです。
 
さらに、自分の言葉で一冊の内容を要約して文章化すると理想的です!
もう1つ付け加えるなら、その後でもう1回、読み重ねると記憶の効果が高まると考えられています。

7.さらに時間をおいて「メタ」なメモを取る

6までは「本」の内容のメモでしたが、それを越えて、その本の内容も参照しつつ、新たに「メタ」なテーマでブログを書いたり、アイディアメモを作ったりすると、一層、自分の知識の構造の中に新しい知識を配置し、ある意味で、自分の知識の構造の再構築が行われます。
 
こうなると、その知識はもう完全にあなたの知識の一部になってしまっており、なかなか忘れなくなります。とはいえ、それが日常的な思考や発信などの作業の中であまり使われないようなものであれば、やはり時間とともに薄れていくことは間違いありません。

読書のリターンを、時間が経過してからチェックする習慣を!

以上、読書で学んだ知識を、自分の知識の一部として定着させるためのコツというか作業について紹介してみました。
 
半年、一年経った頃に「この本から自分は何を学び、知識構造や思考回路がどう変化し、どう成長できたのか?」と問いかけるような習慣を作ってみてください。
そして、その時に「この本から、こういうことを学んだ」と明確なリターンを意識できるようになるためにも、この記事で紹介したような作業を、読書の一部として採り入れてみてください。


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