iPad、Kindleで一気に火が付いた電子出版熱。
Amazonでも本を検索すると、先にKindle版をお薦めしてくれますし、Yahoo!コミック、ビューン、パピレス、各新聞社オリジナル電子版etc コンテンツも充実しつつあります。
出版社の売り上げの中でも電子書籍の占める割合が少しずつ上がってきていると言います。
メディアが充実し、インフラが整ってくると、究極的には読書力、情報処理能力で大きな格差が生まれます。デジタルデバイド以上に大きな格差を生むと考えた方がいいかも。
だとすると、時として話題に上る「活字離れ」。実はこれ、相当ヤバイ問題なんですよ。
「いや、iPhoneでブログ読んでますよ」とか「情報はネットで十分です」とか、あなたはうそぶくかも知れません。でも、それは社会人としてはヤバイ。ヤバ過ぎます。
ブログやウェブ情報とビジネスマンの読書とでは、ファンクションもフォーカスも違うんだから。「活字」を抽象的に「活字なるもの」ととらえて、そこに込められた情報、意図、哲学、あるいは読み手のフォーカスと切り離すのは無意味。
インフォメーションは取れるけど、インテリジェンスはスルー・・・なんて話、シャレにもなんないでしょ?
さて、あなた。ちゃんと活字を摂取できてます? 活字離れしていません?
ビジネスマンが問題にすべき、本当の「活字離れ」
若者は本当に活字離れしているのか? 真実は分かりません。分かったからといって「だから何?」って話。
問題は社会人のあなた自身がどうなのか?ということ。
一般論としての活字離れ論争なんてどうでもいいんですよ。
相手の意図を素早く、正しく汲み取れる読解力や、相手に正しく効果的に意図を伝える発信力を磨く読書から離れてしまっていないか?ということを自分の胸に手を当てて考えてみてください。
情報化社会を勝ち抜く情報処理力を磨けているか? クリエイティブな仕事を生む思考力を耕せているか? 大人にとっての活字離れで問題にすべきは、ずばり、そんな話なんです。
社会人の基本的な情報処理力・発信力は読書で作られる
すべての学力の基本は国語だってな話はよく聞かされますよね。
そのことについては、おそらく誰も疑わないでしょう。そして同様に社会人のビジネス力の基本も国語力です。
- 相手が語った意図を的確に、素早くつかむ力。
- 相手が語った1の情報から10でも100でも汲み取る力。
- 相手に意図を確実に伝える力。
- 相手の心を動かし、こちらの意図するように行動してもらう力。
情報も連絡も、あらゆるコミュニケーションが文字情報でやりとりされる時代ですよ。
そして、こういう力は間違いなく読書によって作られます。
じゃ、そういうビジネスの武器になるような言葉は、どれくらいの本を読めば手に入るのか?
これは残念ながら分かりません。
ですが、私がこれまでに交流してきた、ビジネス界で活躍している人、文章の上手な人たちの例から考えると、、、最低ラインが1000冊ぐらい、理想は2000冊以上でしょうか。
その1000冊にはビジネス書の新刊書や雑誌類は含みません。あくまで言葉や思考が耕されるような本。そして、社会、宗教、文学、哲学、経済、文化、古典などなど、幅広いジャンルから読んでいることも重要ですね。
本の質、量も「ざっくり」ですが、目指す「言葉力」も曖昧ですので、あくまで「1つの考え方」として気軽にとらえていただければ幸いです。
軽く読める本をいくら読んでも成長しません。言葉も磨かれません。それは、今の自分の力量の範囲内で読んでいるからです。歯を食いしばって読まなければならないような本を読んでこそ言葉が磨かれるものなのです。
小学生のデータでは、本を読めば読むほど読解力が落ちていくということが分かっています。
なぜそうなのか、どういう本を読んでいるとそうなるのか、読書量と読解力が比例する子はどういう読書をしているのか・・・そういうことは分かりません。
でも、確かなこととして言えるのは、あなたががんばらないで読める程度の本を、気ままに読んでいるとしたら、それは間違いなく、あなたの何かしらの力にプラスになっていることはないだろうということ。
社会人の活字離れは「名著からの距離」で計る!
いかがですか? 1000冊は無理でも300冊ぐらいは読んでいるでしょうか?
ま、過去のことはどうしようもありません。これから積み上げていけばいいわけなので気にしないことにしましょう。
ただ、だからこそ活字離れが大問題なんです。
もしあなたが読むのに骨の折れる良書を遠ざけているとしたら、それは活字離れです。
1.1冊をクールに読み切る集中力はあるか?
2.ヘビーな本を避けずに、必要に応じて気楽に手に取れているか?
3.言葉が豊かになるような名著を「たしなんで」いるか?
4.必要に応じて量・広さをこなせているか?
5.ダイジェスト記事やお薦め記事で満足せず、自分自身のフォーカスで情報を取捨選択できているか?
これらのポイントで自分の読書のスタンスを点検してみましょう。
「社会人としての活字とのつきあいレベル」、「社会人的活字との距離」を計ることができます。
あなたにとって価値のある本を、価値の生まれる読み方で!
読みやすい本を100冊読むのは簡単ですが、それには自己満足以上の「読書としての価値」はありません。
別に情報の価値、行動のための教科書としての価値を否定するものではありません。
ただもし、あなたが本をたくさん読んでいたとしても、その中に文学作品も古典もヘビー級の名著も含まれていないとしたら、かなりヤバイと危機感を持った方がいいですよ、と。
成長期の子どもが本当におなかを空かせている時に親として作ってやるべきは、手早く作れておいしく食べられるインスタントラーメンか、それとも、歯ごたえあり、野菜臭さたっぷりの栄養価の高い手料理か。
考えるまでもありません。
インスタント食品を食べ続ければ、満足感、満腹感があっても、間違いなく栄養失調、餓死にまっしぐらです。
まずは読みやすい本を読む時間を削って、名著を読む時間を確保してみましょう。100冊のジャンク本を読むのに比べて、1冊の名著こそ学びが濃く、深いことを実感できるはず。
おまけ:活字との距離を縮めるために!
情報洪水時代に求められる3つの要素
自分を鍛えるための読書は、ある程度、鉄の意志でがんばって読むしかない側面もあります。ま、だからこそ価値があるんだって考えましょう。
ですが、それと別次元で、以下の3つの要素を意識して作ることで、読書は快適で質の高いものになります。
1.情報・知識を受けとめる受け皿の深さを作ろう
「並行して」というか、ここまで散々書いてきた言葉を受け取る力ですね。知識、情報の受け皿、キャパシティの深さと言い換えてもいいでしょう。
これは本論で書いたような、価値のある読書によってしか作ることができません。そして、こういう読書を積み上げれば積み上げるほど、読書は楽に、快適になっていきます!
2.情報を絞り込む「フォーカス」を明確にしよう
これだけ情報があふれる時代です。まず考えなければならないのは、情報の量をこなすことよりも、フォーカスを明確にして情報を絞り込むこと。
あなたのアンテナの鋭さ、フォーカスの明確さが問われます。
フォーカスが定まると、読書スピードも上がりますし、スピードを上げても必要な情報がしっかりと入ってくるようになりますよ。
3.情報の残し方を工夫しよう
電子書籍の問題は、読む段階でも理解度やスピードが落ち気味になる可能性が高いことと同時に、読んだ内容が記憶から簡単に消失してしまうこと。
ですから、紙のノートやEvernoteなどのアプリに概要以上の内容、自分のフォーカスしたポイントを記録する必要があります。
後で使うことを前提に、自分なりに効果的なノート作りを工夫してみましょう。
こちらの記事も参考にしていただけるでしょうか。
これら3要素をしっかりと作った上で、名著の熟読【農耕型読書】と情報の高速な摂取【狩猟採取型読書】の両面から、読書を積み上げていきましょう。
あなたと活字との距離がもっともっと近くなって、情報化社会の大洪水を軽やかに泳いでいけるようになることをお祈りしています!
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