かの名著『7つの習慣』が提唱して、今やビジネスパーソンの常識になったかに見える「重要・緊急」のマトリクス。
誰もが異口同音に「非緊急かつ重要な第2領域を優先!」と語ります。
でも、どうなんでしょう?
- 「メール着信の通知音が!-いつ読むの? 今でしょ!」
- 「クライアントが電話欲しいって!-いつかけるの? 今でしょ!」
- 「facebookにメッセージが!-いつ読むの? 今でしょ!」
- 「おもしろそうなニュースが!-いつ読むの? 今でしょ!」
そんなことになっていませんかね?
これって、もろに「重要性を問わず、緊急性だけで動いている」状態です。
「第2領域が大事」── そんなことは分かっている・・・はずなのですが、
実は、その重要性だけを理解していて、肝心なその具体的な実践方法を何も理解していないということはないでしょうか。
置き去りにされる人生の重大事を嘆くのは止めにして、その具体的な実現方法を学ぶ必要がありそうです。
実はあなたは、時間管理のことを何も知らないのかも…!
もしあなたが、【非重要・緊急】と【非重要・非緊急】のタスクに時間を奪われているとしたら、【重要・非緊急】に優先して取り組むことの重要性を本当は知らないってことなんです。
「知行合一(ちこうごういつ)」という観点からすると。
重要性を知っているだけでは、本当の知とは言えません。
私たちは子どもの頃からの習慣として「すぐやる」ことを善と考えがち。そうじゃなくても、すぐに注意がそれて、衝動的に興味の方向へ…。
── すぐやることと、そうでないこと。そこにどう線を引くのか。
どういう基準で判断し、どういう仕組みを用意したら、
その「緊急と重要のせめぎあい」をうまくコントロールできるのか?
重要性を理解した上で、そういう【原理】と【方法】を理解してこそ、本当に「知っている」と言えるし、知行合一が実現できるのです。
時間管理の原理と具体的方法について語る名著あり!
実は、その時間管理に関する原理と方法を、基本から丁寧に教えてくれる本があります。
その本を読むと、自分が時間管理、行動管理について自分がいかに適当で、曖昧で、場当たり的な判断しかしていなかったか・・・、そんな哀しい現実を思い知らされます。
それは、2007年の春に出版された、時間管理のベストセラー書『マニャーナの法則』。
時間を管理する【原理】とは?
この本では、ざっくり次のような3つの時間管理の原理を語っています。(著者が3つに明確に分けて解説しているわけではありません。あくまで私の主観的なまとめです。)
原理1:私たちには「衝動脳」と「理性脳」がある。
衝動脳とは、その場の判断で衝動的にやってしまう思考回路、理性脳とは冷静に現状を把握し、適切に判断する思考回路。
脳にそのようなパーツがあるわけではありませんが、2つの性質があり、自分の行動がどちらに支配されているか理解すべしと著者は語ります。
そして、私たちは多くの場合、衝動脳に判断をゆだねてしまっているが故に、ついつい「今でしょ!」という思考に陥っている、と指摘しています。
原理2:理性脳で処理するために「すぐやる」習慣を捨てる。
「今すぐ!」という、子どもの頃からの習慣を捨てることが何より大切です。衝動脳の前に、「重要性」「優先順位」なんてものは、本当に無力なんです。えぇ、あなたが身を以て体験済みのように!
原理3:「今すぐやる」・「今日中にやる」・「明日やる」に分けて取り組む。
「今でしょ!」という衝動脳の発動をぐっと抑えて、それはいつやるのが適当か?を考えます。
それができれば、そりゃうまくいくよねというお話。原理的には、ですが。
その原理に基づいた【方法】を学ぼう!
この本の秀逸なところは、ポイントをいくつかに分けて丁寧に解説しながら、1つのポイントごとに「テスト」や「エクササイズ」を用意してくれているところです。
恐らく多くの方は、このテストを丁寧にこなしているうちに、「時間を管理するコツ」をつかんでしまうはずです。また、上に書いた「今すぐ」なのか「今日中」なのか、という明確な判断基準を手に入れられることでしょう。
すべてが終わる頃には、時間管理の悩みと問題は解決していますよ!d(^^*
(とは言いながら、やっぱり時間を置いて何度か読みなおして、記憶に深くすり込みたいところです!)
そうやって、読者に「時間を管理するコツ」を頭で十分に理解させた上で、著者は、具体的な時間管理のノウハウを語ります。
具体的には、次のような方法なのですが、詳しくは書籍を読んでご確認ください!
- 方法1:「今すぐ」なのか「今日中」でいいのか迷ったら、やるべきことを紙に書く。
⇒バッファー・ゾーンを作り、そこにストックするだけで理性脳でクールに処理できるようになります。 - 方法2:To doリストをやめて、クローズドリストである「Will doリスト」を作る。
⇒何もかもTo doリストに入れていたら永遠に仕事が終わりませんね。 - 方法3:たまった「明日やる」は、まとめて一気に処理する。
⇒メール、留守電などの処理については、システム化しておきましょう。 - 方法4:手間のかかるタスクは分割して少しずつ頻繁に取り組む。
⇒どでかい案件はモチベーションが下がりがち。細分化して少しずつ達成感を。
また、このような個人のタスク管理によっては解決できない「チームの問題」を解決する必要性や、作業自体の効率を上げるためのシステム化の必要性などについても、言及されています。
なるほど、自分の思考回路と行動原理を変えることが第一だけど、それで解決できない問題は、システムの変更、チーム(場合によっては上司)の問題としてとらえ直して解決を、と。
これで、時間管理、行動管理の問題はほぼ解決してしまうはずです!
時間管理の達人になるための3冊
そういうわけで、『マニャーナの法則』は、あなたの「人生の重大事を先送りしない」ための行動の教科書として、ぜひ手もとに置いてください。
さらに、それを補完する強力な2冊をセットにして、「時間&行動管理の黄金の教科書トリオ」としてご活用ください!
マーク・フォースター著『マニャーナの法則』
時間管理、行動管理の基本原理と、その簡単な実践方法の教科書。
絶対に読んでおきたい1冊です。
※2016年に改訂版が出ましたので、そちらのリンクを用意しました。
佐々木正悟著『残業ゼロの「1日1箱」仕事術』
『マニャーナの法則』の実践編的な書としてとらえていいでしょう。
メールへの対応にどのようなルールを作るべきかといった方法論、疲れで作業効率もモチベーションも上がらない時の対処法など、具体的な方法が紹介されています。
心理ジャーナリストの著者だからこそ語れる「心理学を活かした、効果抜群のノウハウ」満載の良書。こちらも実は2009年のベストセラー書です。d(^^*
☆『残業ゼロの「1日1箱」仕事術』
村中 剛志著『「先読み力」で人を動かす』
『マニャーナの法則』で問題視されている「ほうっておいたので緊急になった」という、先送りしようのない緊急案件の対処法にも触れています。
本書では、そもそも緊急事態を招くようなほったらかしの習慣を解消するためのスケジュール帳活用のノウハウが語られています。
タスク管理、スケジュール管理の次元をワンランクアップさせるお勧め書です!
☆『「先読み力」で人を動かす』
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