書くにせよ、話すにせよ、相手の頭の中に「要するに○○だね!」とか「ポイントは××なんだね!」とストレートに伝えることが大切です。
その真逆が、散々悩ませた挙げ句に「要するに、どういうこと?」と質問させてしまうこと。
リアルなコミュニケーションであれば、「要するに、何?」と質問してもらえるので、まだマシ。ネットのように一対多のコミュニケーションだと、伝わっていないことに自分で気づけません。
そんな残念なコミュニケーションにならないように、「ポイントの整理」と「シンプルに伝える表現方法」は、しっかり身につけておきたいものです。
カオスな頭を整理して「伝わるメッセージ」を手に入れよう!
だいたい、分かりにくい話をしている人に「要するに何?」と聞くと、たいていの場合「えーっと、え-っと」と自分で悩み始めます。整理されていないんですよ、最初から。(苦笑)
そういう「思考が整理できない人」にお薦めなのが【図解】。
図解を通じて、自分の思考を整理する方程式というかフォーマットを手に入れることができます。
そして、相手に伝わる発信技術が手に入ります。
私自身、「図」で整理することが多くなりました。1年ほど前に、今回ご紹介する本の著者、村井瑞枝さんのワークショップに参加したからなんですが。(^^;
ちなみに、そのワークショップで村井さんが使ったパワポの冒頭がこちらの図。
この2段階で、手に入れた情報を「どう活かすか」「どう伝えるか」が明確になるわけです。
思考がすっきりまとまれば、人にも伝わりやすくなって当然ですよね。
図に表そうとすることで、自分の「意図」が明確になります。
例えば「この考え方をマトリクスで表すとどうなる?」なんて考えると、座標軸を一生懸命考え始めます。
時には、それまで思ってもみなかった新しい意味が見えてくることがあります。
この前、ブログを書く時に「あ、軸は2本じゃなくて、数直線で表現した方がシンプルになるな!」と気づいて考えを整理し直したことがありました。
ただ、その数直線をブログに載せてはおらず、あくまで頭が整理されたので、内容がシンプルになったって話なんですが!
時には、軸にしようと思っていた2つの要素が対極にある概念じゃなかったことに気づいたり。
最近では「狩猟採取型読書と農耕型読書の意味」を考えていました。
最初は横軸に「狩猟採取型<---->農耕型」という軸を用意していたのですが、そういう概念じゃないなってことに気づいて、ツリー型で整理してみたらうまくいきました。
「図」で表現する力がつくと、発信力も高まります。
最近のビジネス書って、妙に図解が多いと思いませんか?
文字で表現して、読者の頭の中に図・絵を描かせるのが筋なんでしょうけど、それを最初から編集者が翻訳&図案化して、イラストレーターさんに依頼してしまうわけです。
言葉だけだと、理解の「ゆれ」と「ぶれ」を生み、読者にストレスと悩みを与えがち。でも、イラストと図解なら「おー、すっきりガッテン!」となりやすいんですね。(その分、読者は頭を使わなくなるっていうオチですが!)
相手が聞きたい「要するに何?」を、先取りして「要するにこうです!」と言っちゃうわけです。
1枚の図で、全体像と視点、コンセプトをすっきりコンパクトに見渡せる── そりゃメリットはでかいってもんです。
まずは教科書を手に入れて、読んだ本について描いてみよう!
図解ってのは、別に「絵」を描くわけではありません。
シンプルな図形を使って表現しますので、誰にでもすぐに描けます。実際、福岡の講座では、集まった30人全員が、持参した本の内容について、1~2枚の図を描き上げてしまいました。
もちろん、すぐに相手が「おっ!」と感激するような図が描けるってわけではありません。念のため!
この「読んだ本を図でまとめる」ワークは、図解を体で覚える上でお薦めです。
自問が始まります。「読んだ本、一番「きわだった部分」ってどこなんだろう?」
本を読んで「なんとなくよかった」で終わらせると、類書との差も見えず、時間の経過とともに印象だけが残って本棚の肥やしになってしまいます。
かといって、読んだ内容をまとめようとすると、よほど文章になれた人でなければ頭が混沌としてきます。そして、まとまらない文章が出来・・・(ry
しかし、図解でまとめようとすることで、自分に刺さったことは、そもそも何がポイントだったんだろう?なんで類書よりもよかったんだろう?という問いかけが自動的に始まります。
さらに自問が具体的になります。「この場合、紹介すべきパーツはどれだろう?」
「図を選ぶ」という作業は「内容の整理のポイント(視点)」を見つける作業そのもの。
視点を探すという一番やっかいな作業が、「どのフォーマットを使う?」、「何をパーツとして配置する?」という「問いへの答え」を探す作業に置き換わるんです。
ちなみに、村井さんが提案する基本フォーマット7つ
一人で悩んでいたら全然出てこない答えが、他人から質問されたらおどろくほど滑らかに口から出てきたっていう体験ありませんか?
いい思考というのは「いい質問」から生まれるもの。うんうんうなって悩んでも出てきません。
この「いい質問」が、フォーマットを選び、さらに図中のパーツに埋める要素を考える過程で自動的に生まれてくるってわけですね!
テキストで一通り確認したら、まず1枚描いてみましょう!
図解の教科書を片手に、読んだ本の内容をまとめてみましょう。
最初におこなうべきは、軽く(ちょっと雑ぐらいでいいので)フォーマットの種類とその使い方について理解しておくこと。セミナーを受けた実感でいうと、それほどしっかり読み込まなくてもOkです。というのは、実際に描こうと思ったら、明確にアンテナを立てて(この本はどの図かな?というように)ちゃんと読むことになるからです。
あとは、週に1冊でいいので「本を読んだら、図にまとめる」という作業をしてみてください。
気をつけたいのは、だらだら時間をかけないってこと。福岡のワークショップであれば、本を読み直して、図にまとめる作業までで1時間弱だったと思います。そのぐらい時間で切った方が、フォーカスを明確にして不要なものを捨てる練習としていいかと。
寺田お薦め、村井瑞枝著『図で考えるとすべてまとまる』
図解は一時期話題になりましたし、図解に関する本が何冊も出ています。
その中で、村井さんの本が一番「基本」を教えてくれています。(その価値が認められて、最初の出版から数年経過して、新装版が出されたわけですよ。すごい!)
図解のメリット、何がどう整理されるのか、図解する上で押さえておきたい基本フォーマットetc。
基本的過ぎて、図解が分かっている人には退屈かも知れません。そういう方は、書店で内容を確認してから手にとることをお薦めします。
おまけ的お話
それにしても、村井さんって方は、まぁ、なんとも異色な方なんです。(笑)
村井さんプロフィール(2010年段階のもの)
世界トップクラスのアートスクールで学び、JPモルガン、ボストンコンサルティンググループにてキャリアを積んだ移植のコンサルタント。
高校卒業後、辻調理師専門学校で調理師免許取得後、米国ブラウン大学に入学、アートを専攻する。
在学中、イタリアボローニャ大学、「美大のハーバード」と呼ばれるRhode Island School of Designに姉妹校留学し、アートを学ぶ。
大学卒業後は、そのユニークな経験を買われ、JPモルガンへ入社。その後、ボストンコンサルティンググループにアソシエイトとして入社し、1年9ヶ月というスピードでコンサルタントに昇進。約10,000枚以上のプレゼン資料を作成し、ビジネスで使えるアートのテクニックとして図解技術を習得。
現在はミシュラン3つ星レストランを運営するレストラングループにて、戦略プロデューサーとして活躍する一方、アートの手法を活かした生産性向上術について研究。
著書に、ベストセラー書『図で考えるとすべてまとまる』がある。
さらに今はマドレーヌのショップを自由が丘にオープンさせ、そのプロデューサーとしてご活躍中です。(^^*
才能をフル活用して人生を謳歌していらっしゃる印象です!
☆『図で考えるとすべてまとまる』