メモ代わりにスマホでパシャッはダメなのか?

「メモを、スマホのカメラで済ませること」の是非が、ネット界隈で語られています。

それが「いい」ことなのか「よくない」ことなのかを考える上で、参考にしてもらいたいことを少々。

メモのTPOで考える

メモをする場合、必ずTPOを意識しなければなりません。
TPOとは「Time(時間的余裕) / Purpose(メモの目的) / Occasion(その時の状況)」という3つの条件です。
 
今回のことも、これを抜きにして、外野がいいの悪いのと語ってみても、あまり生産的ではありません。

Time(時間)条件

カメラ機能をメモに使うメリットの1つは「時間がかからない」ことです。
 
手書きにせよ、キーボードにせよ、「メモを取る作業」をすれば、そこには必ず「時間」がかかります。
そして、書いている(入力している)間は、注意力がそちらに奪われてしまうため、何かを聞き落としてしまう可能性も生まれます。
 
それを回避することができるという意味では、「とりあえず撮影記録」という選択肢は間違っていません。
 
ただ、Time条件を考える上で、もう1つ考えて置かなければならない要素があります。
 
それは「メモを活かす際にかかる時間」です。
 
カメラに入っているメモは、当然、再生(表示)することによって確認することになりますし、そこからまた改めて重要なことをピックアップしたりする作業が発生するとしたら、ちょっとした手間になります。
また、話を来ている現場の文脈から離れた状態で、何が重要で何をピックアップするかを判断する時に、写真に写っていない重要な条件を落としてしまう可能性もあります。
 
このようにTimeは「メモを取る時」と「メモを活かす時」の2つを視野に入れて考慮しなければならないのです。

Purpose(目的)条件

次に「メモの目的」です。
メモの目的はザックリ言うと、次の4つの方向性(指向性)があります。

  • 1.知らなかった情報をインストールする(特に講演や指導のメモ)
  • 2.(自分以外の誰か、もしくは未来の自分など)他者に伝える(ブログなど発信作業のメモを含む)
  • 3.行動に活かす
  • 4.参照資料として保存する

4の「参照資料として保存する」場合には、写真としての記録に勝るものはありません。
これは、最終的な目的が1~3「資料(とりわけ数値・固有人名などの情報)」の場合も同じです。
なにしろ完全なるコピーとして残せるわけですから。
 
しかし、完全なるコピーは単なる情報であって、そこに書き手の意図も思考も含まれません。
上司の話を聞いたり、講演を聴いたりする場合には、それをどう活かすかという指向性を持った頭で受け止め、整理・編集しながらメモを残すことに意味があります。
何が重要で、今の仕事にどう活かすべきなのかといったことを頭で考えながら即興の編集作業をすることになるわけです。
(同じ本でも、自分の置かれている状況によって感想も気づきも、まったく変わりますよね。それが重要だと思うわけですよ。)
 
もちろん、書いている間に大事な話を聞き落とすリスクや、間違った記録を残すリスク、問題意識のズレから生じるピンぼけ状態の編集をしてしまうリスクはあります。
 
ですが、その経験を繰り返す中でしか情報処理の能力は磨かれません。
とりわけ若い方はこの情報処理、編集作業としてのメモを、意識してやっていく必要があります。
それをやらずに、判断能力も判断スピードも低く、情報処理能力も磨かれない状態で年を食ってしまうことこそ、避けるべき大きなリスクなのです。

Occasion(状況)条件

もう1つ考えなければならないのが「状況」です。
 
今、自分が置かれている状況というと、「そもそもスマホでパシャリとしていい状況か」ということもありますし、「メモを参照する際にスマホを出せるのか」ということも考えなければならないでしょう。
 
あるいは、「余計な編集を差し挟まない完全なコピー」こそ重要なのか、上述のような「メモを取る能力自体も高める必要がある」のか。
 
空気を読むとか、場にふさわしい振る舞いを考えるとか、そういう話にもなりそうですね。

話題になった新入社員については…?

J-CASTニュースによれば、

ある会社の研修中だろうか。どうやら、先輩社員と思われる人が新入社員に、仕事に必要なことについてメモをとるよう促したところ、メモではなく、スマートフォンなどで写真を撮りはじめた、ということらしい。

この記事を読む限りは、その是非は判断しようがありません。
なにしろTPOが不明なわけですから。
 
部外者として1つ言いうることがあるとしたら、そういう新人を目の当たりにした先輩が取るべき行動のこと。
 
どういうふうにメモを取って欲しいのか、スマホを仕事中に持ち出すことがマナー的に(その会社の文化として)どうなのか、そういったこと含めて、「今、メモを取るということにどういう意味と価値があるのか」を諭してやることではないでしょうか。
 
せっかく「メモ」のことが話題になりましたので、便乗して書いてみました。
 
もし、この記事をお読みのあなたが、何となく学生時代の延長のように、「目の前に用意された情報を丸写しにする」ことをメモと思っていたり、何でもかんでもマインドマップに落とし込むことこそ至高!などと思っているようでしたら、この機会にメモのあり方を考えてみてください。
 
お時間があるようでしたら、こちらの記事もよろしければどうぞ。

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