あなたは、本を読んだら、ちゃんと何かしらの「力」が高まっていると実感できていますか?
その力は半年あるいは1年経った頃に、「この力が定着して、使いこなせているな」とか「あの本で学んだ知識が、活かせているな」と実感できるものですか?
試験を受けるなら、その前に徹底的に勉強をしますし、スポーツの試合があるなら、やっぱりその前に徹底的に練習しますよね?
でも、なぜか読書となると、事前のトレーニングもしないし、実戦の結果も確認しない…そんな雑で適当な実践では、恐らくあなたの読書は、いつまで経っても暇つぶしのレベルにとどまってしまいます。
そこがおろそかになっているあなたのために、読書力をアップするためのワークとお薦め書籍をご用意しました…
読書を通じて手に入れるべきもの
読書を通じて手に入れたいのは、きっと「仕事の成果」とか「日常を快適に(思ったように)過ごすための知恵」だと思います。
では、事前(基礎)トレーニングのための読書ではどうかというと、それは、「新しい言葉」と「新しい概念」です。
言葉が変わると、世界の見え方が変わります。
概念が変わると、世界の見方が変わります。
漫然と読んで「なるほど!」と思って読書が終わっているとしたら、それはもったいない話。
だって「分かった」というのは、読書を通じた学びの「最初の一歩」であって、それは、あなたの人生には、ほぼ何の影響も与えていないのですから。
これは1回、授業で聞いただけの話が、ほぼあなたの人生に影響を与えていないのと同じレベルで。
でも、「よし、じゃぁしっかり身につくように読もう!」と思ったとしても、「学び方」とか「本の読み方」とか、それが分かっていないと、やっぱり「読んだつもり」「分かったつもり」で終わってしまいます。
せっかくだから、「読んだ分だけ成長した」っていう手応えを感じたいものですよね。(^^)
学び方が変わると、成長のスピードも、情報の吸収力も、何もかもが変化していきます。
本来、高校時代までに身につけておくべき読書法です。身につけさえすれば、そこから成長のスピードが変わりますから、一日でも早く身につけておきたいものです。
身につけるべき要素1:読書ストラテジー
読書ストラテジーは本の読み方の技術であり、効果的な学習法としての読書法です。
前にも書いたとおり、「読書ストラテジーとはどういう技術なのか?」ということを知っているだけで、読書が変わります。

なぜ、あなたは読書ストラテジーを学ぶべきなのか?
こんにちは。読書と学習法のナビゲーター、寺田です。 日本の学校教育には決定的に読書指導/教育が欠けています。 それで私たちは、これといった戦略もテクニックもなく、 感覚的に読んでしまいがちです。 もちろん、「何も考えずに読んでいる」ことは 少ないでしょうし、実際、アンケー...
ですので、まずは何より「読み方」を学びましょう!
ただし、誰かビジネス書の著者や著名な経営者などが書いた「私流の本の読み方」というのは要注意です。
そのやり方が本当に効果的な方法かどうか分からないからです。「一つの成功例」として学び、吸収できるようなら吸収するというスタンスがいいですね。(^^)
基本的な要素として学んでいただきたいのは、次の5つ。
- その本の論点・主張、各章の論点・主張を確認する
- 接続詞・指示語にチェックを入れながら分析的に読む(ミクロの読解)
- 章立て、全体の主張の構造を把握するためにメモを作る(マクロの読解)
- 自分のもともと知っていた事例、知識と対比しながら、その相似点・相違点を確認する
- 自分の知らなかった概念や知識・情報を把握し、解消する
3番目のマクロの読解には、「効果的なノートのとり方」が必須です。読書法講座をご利用の方は、ノート法についての動画を提供していますので、ぜひそちらを視聴してみてくださいね。(^^)
こちらのブログ記事も、ぜひご一読を。
身につけるべき要素:読書力そのもの
読書力を高めるために読書力を高めましょうという主張をするのは、完全におかしな話ですので、読書力を3つに分解します。
- 1.語彙・文法的センスなど言語分析力
- 2.汎用性の高い思考力、社会的な知識
- 3.学びたいと思うジャンルの知識
これらは今の自分の読書力・読解力や、語彙力を超えた本を丁寧に読むことで身につけることが可能です。
(1)言語分析トレーニング
数年前に出版した『子どもの速読トレーニング』という本で紹介しましたが、言葉の係りと受けを丁寧に分析する練習をしてみてください。
「なんでこんな面倒くさいワークを?」と感じる人も多いようですが、こういう分析的な読み方を丁寧にしておかないと、結局、難しい本の込み入った文と出会ったときに「よく分からないし、読み解き方も分からない」という事態に陥ります。
この言語的な分析力は、ストレートに読書力、読書スピードに影響することが様々な心理学的な研究から明らかにされています。難しめの本に取り組んで、「ん?」と思ったら、書籍で紹介されている分析トレーニングの題材として取り組んでみてください。
簡単にやり方を紹介しますと、
- 一読して意味が伝わりづらいと感じる文と出会ったら、まず主語と述語を丸で囲む。
- 残りの要素を主部(主語のグループ)と述部(述語のグループ)に分け、主部に波線、述部に傍線を引く。
- 対等に置かれている要素(接続詞や読点で結ばれている要素)を確認する。
- その他の文については、接続詞や指示語に緑のフリクションペンで傍線を引きながら読み、文章のつながりを意識的に把握するように努める。
といった手順を踏むといいでしょう。こちらの「ことのば」のブログも参考になるでしょうか。(ことのばのブログ記事の中で一番検索されて読まれた回数が多い記事です。)
(2)ちょっとハードル高めの本へのチャレンジ
「どんな本を読んだらいいの?」というご質問をよくいただくのですが、何はともあれ新書。その中でのお勧めはと申しますと…講談社現代新書(ただし、2004年以前のもの)です。
例えば、『タテ社会の人間関係』
あるいは『生物と無生物のあいだ』もお勧めです。(^^)
(これは2007年刊ですが良書!)
この2冊に代表されるシリーズです。このシリーズは、知的好奇心を刺激してくれる内容に加えて、学術的な内容でありながら、非常に読みやすく編集されているのが特徴です。面白くないと読む気がしませんし、ちょっと学術的、論理的に書かれていないと鍛えられませんし。その両方を兼ね備えているということで、ぜひチャレンジしていただきたな、と。
その次に進むとしたら中公新書、岩波新書です。
例えば、『安心社会から信頼社会へ』。
この本などは、内容も「社会のとらえ方を学ぶ」という点で学ぶべきことも多く、しかも文章がほどよく硬派。出版から50年が経過してなお読まれており、通算100万部を突破している…と聞けば、その価値は分かるかと。
『ゾウの時間、ネズミの時間』も、超お薦めです。こちらは理系の本で、非常にロジカルに書かれていながら内容が非常に刺激的で、ぐいぐいと引き込まれます。(内容的に面白く、絵本バージョンまで出版されています!)
こういう本を、何度も読むことが重要です。マクロの構造とミクロの分析とを、バランスが取れるまで読み込むこと。
可能ならノートを取りながら読むこと。漫然と読んでいては、何度読み重ねても、何冊読んでも、レベルが上がることはありませんので、読み方から変えましょう。
※ノート法については、こちらを参考にしてください。
こういう本を丁寧に読む作業と、それと別に速読で量をこなすこと、あるいは速読をフル活用して高速学習メソッドとして読書をおこなうこと。(^^)
両輪で読書を積み上げていくことで、上に書いた3つの要素を高めていくことが可能です。
速読については、先週、東京でおこなったフォローアップ講座の内容をまとめましたので、こちらを参考にしてみてください。
昨日、#速読 技術のフォローアップ講座を開催したら、皆さん、思いのほか基本的な儀式的なことなど忘れていたのでリマインド。 pic.twitter.com/cVsVt0m3yp
— 寺田昌嗣@読書教育研究 (@srr_terada) 2019年6月9日
ということで、ぜひ読書を変えて、人生を変える第一歩にしましょう!(*・ω・)ノ
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