もう、随分昔のことですが、速読講座を受講するか迷っているのでアドバイスが欲しいとのお電話をいただきました。
曰く、「読書が苦手で、あまりにも読むスピードが遅いから、なんとかそれを克服したい。」と。
確かに、速読技術を身につければ、本をぱぱぱっ!と読んでしまえそうですよね。
実際、それまで3時間かかっていた本が、30分とか1時間で読めるようになったら、読書のハードルは一気に下がります。
これまでにも、速読をマスターすることで読書の苦手意識を克服した方は大勢いらっしゃいます。
初期の頃の受講者の方で「1ページ読むのに5分かかる」という方がおられました。
その方は最終的に1ページを6秒程度で読めるようになり、「こんなに読書が楽しいなんて思わなかった!」と語ってくださいました。
ほとんど本を読まない生活から一転、1年間に50冊以上読むようになったそうです。
速読技術は読書の問題の万能薬か?
- 読むのが遅く、時間がかかりすぎて本を読み終えられない。(それで本に手が出ない。)
- じっくり丁寧に読んでいるのに頭に残っていない。
- いちいち眠気が襲ってきたり、気が散ったりして読書に集中できない。
- 時間をかけて読んだ、お気に入りの本の内容を人に語れない。
非常に多くの方から、こんな読書の悩みに関する相談をお受けします。
そして、ここに挙げたような読書の問題は、基本的に正しい速読技術をマスターすることで解決出来ます。
しかし、速読をマスターしただけで読書の問題がすべて解消するわけではありませんし、逆に速読をマスターしなくても解消できる問題も多いものです。
例えば「読むのが遅い」という問題を抱えていたとします。
これには、いろいろな原因が考えられます。
- 1.のどの奥で声に出しているなど、読み方に癖がある。
- 2.本を読んだ経験が少なく、読書力が低い。
- 3.無駄に難しい本を手に挑んでしまっている。
- 4.集中力が低い。
- 5.座り方が悪い、背筋が伸びていない、本の保持の仕方が悪いなど体の使い方が間違っている。
1なら速読をマスターする過程で自然と解消します。
2だと、速読修得云々の前に、本をたくさん読むとか、同じ本を何度も繰り返して読むなどの作業が必要です。もちろん、速読をマスターして多読することで経験値を上げていくことは可能です。
3は本の攻略法(複数回の重ね読みで攻略するとか、まずは入門書をひもとくなど)を変えることで解決しそうです。
4や5は速読トレーニングの中に含まれる集中力アップトレーニングで有効です。
速読が万能の特効薬なのではなく、読書を変える1つのオプションとして、速読技術やトレーニングが有効なのです。
フォーカスすべきは「何のために、何を選ぶのか」という発想
ですから問題とその解決の方向性を見出すこと、それについて適切な戦略を立てることこそ重要なのです。
自分の抱えている問題はどこから来るのかという分析。
その問題を解決する上で「キモ」は何かという見極め。
それを実行する上でどんな(別の)問題がありうるか、
問題が大きいとしたら、他に選択肢として何が考えられるかという俯瞰。
そんなふうにして問題に向かい合う姿勢こそが速読技術を価値あるオプションにしてるれます。
件の「本を読むのが遅い」という問題は…?
冒頭に紹介した「本を読むのが遅くて…」という相談の場合はどうでしょう。
解消したい問題は、単に「速く読みたい」ではなさそうでした。
「読書が苦手」がメインであれば、楽しく読める本から気軽に読んでいけばいいだけかも知れません。
「読むのが遅い」原因が、難しいことにいちいちひっかっかってしまうことなら、「分からないことを分かろうとせず、とりあえず流す」という気楽さで解消できそうです。
これは「1回で完読する」という発想を捨てて「5回読み重ねて完読すればいい」というスタイルを採用することで可能になります。
「読み終わるのに時間がかかる」ことに問題を感じているのであれば、タイムマネジメントで「読書時間を捻出する」だけでいいかも知れませんね。
集中力が上がらないのであれば、集中力が上がる環境に身を置けばいいだけですし。。。
だいたいにおいて、速読で解消できることは、速読をマスターしていなくても解消できるものです。
それを理解した上で、速読をマスターすることが決定打になりそうと思えば取り組めばいいんです。
そして、そういう「そもそも」の部分を考えないで、安易に「速読をマスターしたら解消しそう!」という他力本願発想でとびついても、多分、技術を使いこなせず撃沈してしまうことになります。
速読も「何のために、どう読むか」こそが重要
攻略法を練った上で、それにふさわしい読み方をコントロールして読む──それがフォーカス・リーディングの考える正しい速読のあり方です。
いたずらに速く読むのではなく、スピードと質のバランスをコントロールして、「その時のTPOにふさわしく読む」技術です。
「この本を、こういう目的で読むには、どういうスピード・理解度が適切だろうか?」
本と向かい合う時は常に、そんな考え方をして欲しいところです。
さらに読書を俯瞰するとデザインが見えて来る!
1冊の本と向き合う時に「何のために、どう読むか」を明確にする── それと同じように「学び」を構築する上でも「何を目指して、どんな本を、どう読み進めていくか」を明確にする必要があります。
「本を読む」という入力作業だけでなく、「読んだ内容についての思考・思索を深める」という処理作業や、「現場で活かす」という出力作業まで視野に入れて。
そこまで学びのプロセス、読書のプロセスを俯瞰して初めて、1冊1冊の読み方も、ある本の中の要素の処理の仕方も明確になります。
最初にどんなジャンルの本を何冊くらい読んで、それについてはどういう出力作業を用意して、その次に…。
これを「読書デザイン」あるいは「成長デザイン」と言います。(というか、私は読んでいます。)
別の言い方をすれば成長戦略であり、ライフデザインの一部でもありますね。
冒頭の相談者はその後…
ちなみに冒頭の相談者の方にも、しばらくお薦めする本を丁寧に読んでいただくことにして、速読受講については「当面、延期」ということになりました。
そして、その後も受講にはいらっしゃってません。
速読なしでも解決できたのか、問題意識が薄れてフェードアウトしてしまったのかは定かではありませんが…。
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