「本」の構造をつかむ難しさ 〜大学での読書講座から

速読&読解関連コラム

昨日は西南学院大学での読書講座。
 
今月の課題図書は『新平等社会』という、
格差を論じた本。
 
山田 昌弘著『新平等社会』
新平等社会

 
小泉改革から「格差」という問題が
たびたびクローズアップされるのですが、
本質的な議論になりきれていない印象があります。
 
そういう世間の格差論を点検しながら、
格差を乗り越えて、社会として、個人として
どういう生き方、あり方を目指すべきか
ということを論じています。

大学生も「本の読み方」を分かっていない!

大学生というのは
「本を読む」ことが仕事のようなものです。
 
でも、読書の方法を
全然分かっていません。
 
というか、社会人でもそう。
 
だって、生まれてこの方、
「本の読み方」なんて教わりませんもん。
 
いきおい、
高校生までの国語の授業でやる
「文章の読み方」の延長で読む。
 
その結果、著者の主張もうまくつかめない。
 
何か違うんじゃないかという違和感を
覚えたとしても、
反論(反駁)の仕方も分からない。
 
そんな残念な事態に陥ります。
 
そして、「読んだ」とはいえ、
理解も記憶も「断片」以上にならず、
体系的な知識として残らない…
 
一部の読書慣れしている読書家を除けば、
だいたいそんな状態です。
 
大学生であれば、
そりゃしゃーない、というお話なんです。

「本を読む」というのは、一種の総合芸術

本を読むという作業は、
ただ文字を追えばいいという
単純なものではありません。
 
言葉を適切に処理しながら、
同時に論理構造をつかみ、
それを検証しながら読む。
 
著者の投げかける問題を
自分の持っている知識と情報を
総動員しながら考える。
 
著者の提供する情報と、
自分の持っている情報とを
連携させながら、
自分なりの主張を組み立てる。
 
そんな総合的な技術なんですね。
 
大仰に言えば「総合芸術」。
 
そのくらいのものだと思っていいんです。

ちなみにPISAでは、読書のプロセスを【情報の取り出し】【解釈】【熟考・評価】の3段階としてとらえています。
今、大学でおこなっているのは、まだまだ「情報の取り出し」の応用編というところなんですよね。
欧米では、論理思考を幼稚園レベルの年齢から叩き込まれますのでベースが違いますね。

論理構造をつかまえる!

今回の本のような学術論文に近い
論文的な書籍を読む場合には、
 
この本の「テーマ」は何か?
 
そのテーマについて、どんな論点で
主張を展開しているのか?
 
その主張はどういうロジックで
組み立てられているのか?
 
こういったことを、
まずつかまなければなりません。

どうしたら論理構造をつかめるか?

では、どうしたらそれがつかめるか?
 
ここが難しい。
いや、難しくないけど、
やらせるのが難しい。
 
まずもって
「論理構造」とはどういう構造なのか
学ばないといけない。
 
そして、できるだけ
「丁寧に読まない」ようにして、
可能な限り速読しなければならない。
 
テーマ、論点とは何で、
どこを読んだら書いてあるか、
そういうことも知っておく必要がある。
 
そんな本の読み方を、
したことがないわけですね。
誰も。

本の読み方が見えてくると…

こういう本の読み方、
「構造をつかむ読み方」を
ある程度できるようになるのに、
どうしても数ヶ月とか1年とか
時間を要します。
 
これがなかなか面倒くさい。
 
面倒くさいんだけど、
これがマスターできたら、
驚くほど、本を読むのがうまくなる。
 
情報を素早く正確に把握したり、
 
問題点を的確に把握したり、
 
それに適切に反論したり、
 
そんな、社会人として求められる
情報処理能力が手に入ります。
 
できることなら、
こういう読書力を学生のうちに
手に入れて欲しいものです。
 
そしたら、社会に出て
間違いなく大きなアドバンテージを
持つことになります!
 
 
 
西南学院大学の通年のこの授業。
 
残り2ヶ月、6回を残すのみとなりました。
 
まだまだ学生さん達は
消化不良感満載です。
(これは私の指導力不足の賜ですか…)
 
さらに、速読技術を駆使して、
数もこなしてもらいながら、
読書力アップに励んでもらおうと思います。

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