残念なツブヤキをまき散らさないための5つの防御策


震災で、twitterを中心にデマが拡散したり、国のニュースが信頼おけなかったり、本当に「情報リテラシー」が問われています。
── 東京に住んでいて、被爆の心配はないの?
── 東京の水道水、飲んでいいの?
── 福島産のほうれん草、食べていいの?

誰か教えてっ!とか思ってみても、その「誰か」を、どう見つけていいのか分からない。。。orz
現実問題として、原発問題なんてのは専門家ですら意見が分かれている状態。
素人の私たちに「正しい判断」ができるかと言われれば、それは無理!
ありうるのは正しい判断ではなく、賢明な判断だけ
それを理解した上で、
1.少なくとも激しく飛び交う情報に右往左往しないような軸を持つ
2.少なくとも自分はデマ情報、ガセ情報の媒介者にならない

という2つを死守できるようにしたいもの。
その鍵は思考の3秒ルールです。
ひとことでいうと、

1.安易に情報に飛びつくな
2.安易に判断するな
3.安易に発信するな

というお話。
これができると、twitterがまた一段とスマートで頼りがいのあるツールになるのではないかと。

twitterは「軽薄さ」と「無責任」が蔓延するメディア?

地震直後も、ブログが相当クールでロジカルな発信の場になっていたのに、twitterでは安易かつ安直かつ感情的な発信が多くなっていた印象です。
twitterというメディアの特性上、タイムラインに急き立てられながら、旬な情報を新鮮なままに伝達したいという心理が働いも無理はありません。
しかも、「これは私の単なるつぶやきだから」という非常に安易で無責任な発信意識
たとえば、こんなつぶやきが、世間的に権威とみなされる人からもこぼれてしまうわけです。

「確認してから言え」とかいうバカが多いが、読みたくなければ読むな。災害のときは、不確かな速報も必要なんだよ。放射能あびてから確認とってもしょうがないだろ。
──池田信夫大先生のツイート


ブログは記事を書くのに少なからず時間がかかります。ここにクールダウンの余地があり(一部の例外を除く)、必ず編集と推敲の作業が入ります。
twitterにはそれが欠落し、反応レベルで情報を発信してしまいます。そこにこそ、感情的だったり、短絡的だったりという残念な必敗パターンが入り込むスキが生まれてしまうのです。
だから、みんな、反応する前に、3秒の冷却期間を置こうよ、と。

ちょっと待て。その直感は根拠レス…。

私たちが反応レベルで判断する時、たいていの場合、間違った結論を導いてしまいます。「直感を信じろ!」というのは、データで判断しようがない問題とか、人生経験で判断できるような話に限定した格言に過ぎません。
ある【意見】が正しいかどうかを判断する時、その【根拠】を検討しなければならないのです。
 

例えば「傘を持っていくべきです」という情報が流れてきたとします。
この場合、「降水確率30%」という具体的な【証拠(事実)】と、「前線の動きがどーのこーの」という【説明】を踏まえて判断しますよね?(右図)
でも、よほどロジカルな思考トレーニングをしていない限り、【自分の経験】でもって、この【証拠】をすり替えてしまったり、証拠の足りない要素を補ったりするものなんです。

ま、傘を持っていくかどうかだって、テレビの天気予報を信じるとかいう時点で経験から判断しているわけなんですけどね。でも、少なくとも「このソースは信頼できる」という部分が担保されているわけですよ。
そういう何を信頼し、何を信じないかという判断は無意識で行われることが多いもの。「自分の思考の方向を、みえないところで規定するもの」ということで、私はこれを思考の地磁気と呼んでいます。

そして、急いでいたり、感情的になっていたりすると、根拠をちゃんと検討する作業がおろそかになりがちです。

 
思考の地磁気なんていうと、ちょいと安定して頼りがいがありそうな印象ですが、実際には近くに大きな磁場があれば、方位磁石の針はぐるんぐるん揺れまくります。そして、私たちの判断も、同じくらいいろいろな情報に影響されまくるものなんです。それに、いろんなバイアスが絡んでくるので「直感はあてにならない!」が基本と肝に銘じましょう。
例えば、政府の説明は信じてないけど、チェーンメールには惑わされる。これは、「おかみ」への不信感という問題と、私たちは感情を揺さぶられると弱い(理性が鈍る)という証拠。これを端的に言い表したのが冒頭の言葉です。

想像力と論理とが対立している場合は、
必ずといっていいほど想像力のほうが勝ちをおさめる。

──マーク・フィッシャー『成功の掟』(P.91)

だからこそ、みんな、3秒クールダウンして「その根拠は確かなの?」と問い直そうよ、と。

3秒クールダウンしたら・・・5つのポイントをチェックしよう!

3秒クールダウンして、よし冷静な判断を…と思った時、だまされない、煽られない、そして残念な発信者にならないためにチェックすべきポイントが5つあります。

1.相手のプロフィールをよく見よう!

とりあえず、流れてくる情報を判断する上で一番重要なのは、発信者のプロフィール
自分が普段信頼している発信者(ブロガーなど)であっても、その情報に対してどれだけの知識を持っているかを確認しなければなりません。特に、その発信に対して、その人がどれだけ責任を持てるのかは重要です。
そういう意味で公的な機関、研究機関の発信は安心感があります。

ただ、原発問題で言えば「資料情報室」を名乗る反原発団体があったり、「学会」を名乗る電力会社の御用組織があったり、「某帝国大学病院」を名乗る電力会社からの献金ズブズブの大学病院があったりと、もう何を信じていいか判断が付かない今日この頃なのも確か。ここから先は、また別問題ってことになります。

2.客観表現で語られているかチェックしよう!

感情は常に揺さぶられると、理性的な判断が難しくなります。そして、発信者は常に感情を揺さぶろうと必死です。
例えば(あくまで例としてでっち上げた数字です)こんな情報があったとします。

××県で法定許容値の1000倍の放射能が検出されました

いやー、1000倍ですよ。ドキドキしてしまいますね。でも、この「1000倍」がポイント。
本当に大切なことは「その1000倍という数値がどんな意味を持っているのか」なんですよね。それが書かれていない。「1000倍も!」という「なんかスゴイ感」を醸し出しています。
でも例えば、同じ情報がこんな形で伝えられたらドキドキするでしょうか?

××県で放射能が検出されました。
○○温泉の源泉の値の1.3倍、
中国が核実験をした3日後の最高値の8割程度の値です。
ただし、法定許容値の1000倍に相当します。

 

※くどいようですが、数字は全て適当です。
たぶん、印象ってずいぶん違いますよね。
このような数値の操作、特に落差・ギャップを見せることは相手の心を揺さぶるための常套手段だ理解しておく必要があります。
※読み手の感情を揺さぶる情報発信の裏技を学びたい方は、名著『プロパガンダ』をどうぞ。

単位のすり替え、「毎時(/h)」のあるなし、「直ちには…ない」といった部分否定なども…
基準値として、妙に恐怖心を煽るものを持ち出した時も気をつけましょう。「チェルノブイリ原発事故と比べて…」とかね。「比べた結果」よりも「だからどうなの?」が大事。

基本は「あいまいな証拠、あやふやで感情だけに訴えかける説明」は疑いましょうってこと。ロジックではなく、ストーリーや比喩だけで説明しようとしていたら要注意!

#中には「あなた」を主人公にしたストーリー(仮定の話)を語る人もいます。「もしあなたが妊婦で、・・・だとしたら」とか「・・・だと仮定すると」というような相手に妄想を促す話があれば、これまた要注意です!

3.ソースを確認しよう!

もし、相手が証拠を挙げて説明していたとしても、その証拠が「本当にそうなのか?」と疑ってかかる姿勢は重要です。
ネットの情報は2次情報、3次情報だらけです。ちゃんとソースに当たる癖は付けておきたいところ。そして、ソースに行き着き、もっともらしい情報と出会い「信じて良さそうだ」と思っても、そこでもうちょっとツッコミを入れる習慣を持っておきましょう。
例えば学者さんがもっともらしく証拠資料を並べ立てて主張している場合でも、クールに引いて眺める気持ちは重要です。
原発問題、食糧自給率問題、従軍慰安婦問題、地球温暖化問題など、国家・世界レベルの問題ですら、さまざまな利害、主義(宗教、セクト、信条)がからんでいます。
その情報が間違っていなかったとしても、「どの情報を見せ、どの情報を隠すか」とか「情報をどういう順番で見せるか」を操作するだけでも、受け手の印象はがらりと変わります。

4.その情報の評価をネットで検索してみよう!

自分の判断力を過信せず、その情報に対して世間の人がどう判断しているのかを眺める余裕が欲しいものです。特に自分がまだ「判断力が弱い」と感じているなら。
情報を発信している人には、それぞれの信条があり、主義があり、見ている世界(現場)があり、想定している読み手があります。だから、同じことを、同じ情報を元に論じていてすら、最終的な主張が変わることがあります。

昔、日経アソシエで「甲論乙駁」という特集がありました。
その中で、私は「速読は必須」という主張をし、別の方が「ゆっくり読め」と主張をするという対比がありました。
読者に「いろいろな視点を手に入れて、冷静に判断しよう」という提案をする記事で、非常にいい特集だなと思いました。
しかし、読者の側に「その読書で手に入る【力】は何か?」、「論者が活躍している世界は自分と共通か?」、「論者が想定している読者層に自分は入っているか?」、「論者が語る【読むべき本】とは何か?」というような問いかけをする能力がなければ混乱するだけですね。
もし自分が信じたことと違う意見があれば、ぜひそれを丁寧に分析して、採用した証拠はどう違うのか、論理はどう食い違っているのかなどを確認してみましょう。

5.最低ラインを死守しよう!

そこまでやってすら最終的に判断しかねる問題もゴロゴロしています。
そういう場合は「最悪、最低でも被害を受けないために何をすべきか」を考えて行動することを心がけましょう。それで多少の割を食ったとしても人生の経験と思えば済むことです。
最後に、自分が「間違いなし!」と判断できない情報を安易に他人に伝えないという姿勢も非常に重要であることは、今さら言うまでもありませんね!
twitterで、あなたが発信することで発生するメリットよりも、情報を混乱させ相手の判断を惑わせるデメリットの方が多いものです。もしリツイートするなら、ソースが明確になるように公式RTすることも1つの工夫ですかね。
ということで・・・簡単に書くつもりが、えらく長くなってしまいましたが(汗)、あなたの情報リテラシーを1mmでも高める一助になれば幸いです。

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