「本という二次元の表現が、
「時」という要素が加わることで
三次元に立ち上がってくる。」
── 赤川次郎著「三次元の読書へ」(岩波文庫『読書のとびら』より)
紙の書籍というのは、そのすべてが
二次元平面上に印刷されています。
もちろん、それが束になって三次元空間に
存在しているわけではありますが…
でも、その本質は二次元の平面上の世界。
だからこそ、空間の中を行ったり来たりできるという
メリットがあるわけです。
あなたも、本はともかくとして、事典や辞書を
あっちに行ったり、こっちに戻ったりして参照しながら
書籍の中を探索した経験をお持ちでは?
しかし、それがひとたびストーリーという文字から
立ち上がる空想の世界に入っていくと、ページの進行が
時間の進行となり、それまで空間軸の中にすべて同時に
存在していた文字情報が、時間の中にプロットされてしまいます。
その瞬間から、言葉は空間軸から時間軸へと
劇的な転換を果たすのです。
本を開くと、今生きているのと、まったく違う世界、時間が
そこに動き出すわけですよね!
それこそが、本を読む醍醐味かと!