[53]「静筋」を鍛える このエントリーを含むはてなブックマーク 

読書が集中力や思考力を鍛えるということは、今さら語るまでもありません。
 
ただし軽やかに楽しめる本ではなく、しっかりと思考力を働かせながら時間をかけて格闘するような本を読んだ時の話です。
 
難しい本を読むと、どうしても頭の中で言葉をもてあそび、あーでもない、こーでもないと思いを巡らせたり、イメージしたりする必要が出てきます。
 
そして、これが結構しんどい。
 
しんどいから、なかなか手が出ないんですね。古典ってやつは。
 
 
拙著『フォーカス・リーディング』にも書いたので、すでに読んでくださった方も多いかもしれませんが、この10年で、私たちが手に取る本は驚くほど変わってしまっています。
 
まず、1ページあたりの文字数が少ない。
 
昔は1行42文字なんてのが当たり前でしたが、今は39文字が標準になってしまっています。
 
そしてページ数が少ない。190ページぐらいの本はざらです。
 
こういう本は、読んで楽しいし、満足感がある上に、サクッと読めます。だから口コミしやすいんですよね。「これよかったよ!」って。
 
でも、たいていの場合、読んでも頭を悩ませることはありません。
 
頭を悩ませないということは、脳は働いていないってことです。そして思考力も何も育たない。
 
へたすると、本を読んでいるのにボケが進行するという恐ろしいことが起こります。(--;
 
せめて読みながら内容を振り返ったり、まとめたりすればいいのですが、これまた親切にも「章のまとめ」なんてついてるんですよね。
 
もう、確信犯として出版社が「本を読めない体質」を作っているとしか思えません。
 
だから、あえて古典に挑まないとだめなんです。
 
「分かる」と「楽しい」。でも「分からない」と「楽しくない」。これは真実。
 
でも、その「楽しくない」を乗り越えていってこそ、思考力もつくし、集中力もつくんですね。

 

読書でゴルフを鍛える?

読書や学習を通じて、集中する力、考える力をつけさせることは、仕事やスポーツなど、あらゆることにつながっていきます。
 
ゴルフの世界では、宮里(藍)選手と不動選手が読書好きで有名です。不動選手はプロフィールにも「趣味:読書」と書いてあります。
 
藍ちゃんについては、親父さんが意識的に本を読ませていたようです。パパ宮里優氏はゴルフでは状況判断できる知性と教養、そしてそれを活かす精神力が必要だと語っています。(「宮里流ゴルフ子育て法」より)
 
困難な状況に対して、ねばり強く考え、正しく状況判断できる力。これこそが、読書で身につけるべきものなのかも知れません。
 
確かに読書には「知る」ということも大きな要素としてありますよね。
 
でも、手に入れた知識を役に立てられるかどうかは、その人の知力に依存します。人から借りた「うけうり」の言葉は、ほとんど役に立たないまま、いつか朽ちていきます。
 
私たち日本人のご先祖様は「言」と言わず「言の葉」と言いました。
 
豊かに茂ってこその言葉。でも、その言葉は魂の豊かさが表に出てきたものなんですね。
 
他人からもらった「言の葉」で、表面を飾るのではなく、自分の肥料にして、根から吸収し、自分のものにしてしまう。そしてそれが自分の「葉」として豊かに茂っていく。これが理想なんです。
 
幹が大きくなればなるほど、枝も葉も豊かになります。
 
ねばり強く思考する読書というのは、そういう「幹」を育てる作業なんです。
 
先に紹介した宮里優氏は著書「宮里流ゴルフ子育て法」の中で、「静かにできる筋肉」という表現で、この精神力、思考力のことを言い表しています。曰く「ゴルフには『動筋』と『静筋』の2つの筋肉が不可欠」と。
 
これって、私たちの生活や仕事についても言えることではないでしょうか。
 
本を読んで誰かから借りてきた言葉で、何となくこなしていくというのでは、本当に追い込まれた時、「まさか」の時に対処できません。
 
結局、頼れるのは自分の知性と感性です。
 
他人の現場で生まれた知恵は、誰でもこなせる楽な状況でしか使えません。それをいかにして、自分の現場に落とし込むかが問題です。
 
結局のところ、他人の知恵は自分の現場では「1つのツール」に過ぎなくなります。自分の未来は、自分だって未経験です。まして他人の本の中に答えが書いてあるわけがない。
 
だからこそ、安易に言葉を借りてくるような読書ではなく、孤独に耐え、「分からない」という「おもしろくなさ」に耐え、ねばり強く思考する力、すなわち「静筋」を鍛えなければならないと思うのです。
 
ぜひ、まとまった時間が手に入ったら、これまで手が伸びなかった分厚い本や古典に手を伸ばしてみてください!
 

よかったらこちらもどうぞ

宮里優著「宮里流ゴルフ子育て法」
 
☆一流の子どもたちを育てた宮里家の、奇をてらわない、非常に厳しく、そして愛にあふれる子育て法がとつとつと語られています。「ゴルフばかになるな」と、本当に普通の子として育てられてきたんですね、藍ちゃんは。でも、その普通のことをまじめに、本当にまじめにやってきたから、あの強さがあるんですね。
 
(この記事は2008年2月2日に公開したものを加筆・修正したものです。)
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