王様は裸かも知れない?...自問力を磨く3つの読書習慣


あなたは、「分かったつもり」の薄っぺらな読書をしていませんか? あなたは、ツッコミの入れ方が分からず、ただ「そうか、なるほど」を繰り返して、思考がこんがらがっていませんか?
未だ、解決の道筋も見通しも示されることなく「後始末」だけに追われている福島原発。
とかく感情論に陥りやすい原発問題ですが、大先生からこんなクールな意見が飛び出しました。
「あなたが原発を恐れるなら、まずタバコをやめたほうがいい。」
「原子力はクリーンなエネルギーである。それが危険にみえるのは、マスコミが原発事故が珍しいので大きく報道するからにすぎない。」
── 池田信夫大先生のブログ記事「自動車や石油火力は原発より危険である」より
あえて2カ所だけ引用してみましたが、読んだだけの初発の感想はいかがでしょう?
「確かに、そうだよね」と思ったでしょうか?
それとも、何か違和感を感じたでしょうか?
別にあなたの反応がどちらでも、全然問題はありません。
ただ、なんとなく分かったつもりにしてしまったり、感情的・感覚的に反応レベルで賛成・反対の態度を表明してしまったりしていないか、とだけ確認してみてください。
※そもそも、ここでは証拠も何も提示していませんし!
専門家ですら意見が割れている問題に、私たちに正しい判断ができるとは思えません。
それでも私たちは自分なりの賢明な判断を探る努力と、判断する力を養う努力をしていかなければなりません。
ということで、読書を通じて「ぶれない」「煽られない」、そんな思考力を磨けるような、そんな読み方、本との対話の仕方を提案します。
目指すゴール
「正しい判断(答え)」ではなく、いくつもの情報を吟味し、自分が求めるゴールに近づけるような「賢明な判断を下す力」を手に入れる。
「王様、素敵なお召し物ですね♪」も「王様は裸だ!」も、ちょっと待て!
権威や群衆の声に惑わされず、自分の理性と感性を信じて「王様は裸だ!」と声を上げる── そんな主体的な思考力と発信力は重要です。
しかし同時に「なんで他の人は、王様は裸ではないと言い張るのだろう?その真意は?」── そうロジカルに自問する力も、同じくらい重要です。
飛び交う情報を、クールさとロジカルさなしに、感覚的・反応レベルに判断してはいけません。
そんな状態で情報化社会の中に飛び込んでも、永遠に正しい答えはおろか、賢明な判断や"落としどころ"にすらたどり着けません。あふれる情報に右往左往し、煽られ、自分が何を考えているのかすら分からなくなるのが関の山。
まずは「ちゃんと読む」ところから始めよう♪
『フォーカス・リーディング』で辛口に書きましたが、人が主張したことの表面をなぞるだけで満足するような読書や情報摂取では、あなたの思考は間違いなく衰えていきます。
ちゃんと本、著者と対話しましょう。粘り強く本と対話し、ロジカルに思考する習慣なくしては、自問力も思考力も手に入りません。
ぜひぜひ、日常の読書の中で・・・
・自分の中に芽生える「違和感の芽」をとらえて、ロジックで育てる心がけ。
・さらりと流してしまいそうになる「分かったつもり」をつかまえて、ロジックで再確認する注意深さ。
これら大事にするような読書習慣を積み上げて行きましょう!
【習慣1】「王様は裸ではないのかも...」から始めよう
ビジネス書、自己啓発書を読んでもいっこうに成長もせず、啓発もされていない人の共通する特徴は【自分が知っていること】を確認し、嬉々として線を引いているということ。
誰でも陥りがちなんですが、迷っていたことに答えを出してもらった時とか、自分がなんとなく考えていたことが明確な言葉にされているのを見つけた時というのは「我が意を得たり!」と嬉しくなるもの。逆に問題意識になかった部分や、自分の思考のレベルを超えている部分は無意識にスルーしがち。
こんな本の読み方に心当たりがあれば、ぜひここで改めましょう。
思考力を養う第一歩は、自分が本当に分かっているか、きちんと確かめながら読むこと。
少しでも「?」と思ったら必ず立ち止まります。
二読してすら意味不明なら赤線を引いて、自分への調査・検討課題であることを明確にします。
理解はできるけど違和感が残る部分には緑線を引いて、違和感を浮かび上がらせます。
高校教師時代、1年生の最初の授業は分からないところに線を引く作業から始めていました。
生徒達は、教科書を表面的に読み、暗記するだけの対象としか思っていません。ですから、まったく線を引けないんですね。で、読んだ内容について質問をされると何も答えられず、黙り込んでしまうんです。
【習慣2】反論・異論を探そう
本や雑誌、ニュースの主張を読んだり聞いたりすると、たいていの場合「おー、なるほどー」と思ってしまいます。そこに「?」が付くのは、たいていの場合、自分の中に対立する見聞の体験がある場合に限られます。
そう。これは重要なポイント。
だから、何かの主張を読んだら、それに反論しているものがないか探してみましょう。自分では気づけなかった視点などを手に入れることが出来るかも知れません。(その前に、自分なりに見解を明確にしておく作業は必要です!)
・本を読んだ時に自分の感想とamazonの読者レビューを比較してみる。
・自分が気になるテーマについての本を10冊以上読み比べてみる。
・手に入れた情報・主張への異論・反論をネットで探す。
など、ひとまず複眼で1つのものを見る習慣を持つことは重要です。
【習慣3】ロジカルに点検しよう
異論・反論を読んでも、その比較検討の仕方が分からなければ混乱するだけです。
慣れるまでは丁寧に分析していくことをお薦めします。
これまた高校教師時代の例で恐縮ですが、高校3年生の政治経済の授業で、こんな文を提示し、ツッコミを入れさせるトレーニングをしていました。(例文は1997年12月の授業で使ったもの、そのままです。)
「超高齢社会を迎えた今、高齢者医療費の高騰、年金財源の不安に対処するために消費税の増税は避けられない。」
※これにどういうツッコミを入れるかは以下、説明をどうぞ。
◆言葉の定義を確認してみる
往々にして、使っている言葉の定義にずれがあるものです。「超高齢社会の定義とは?」とか「医療費で高騰しているのは何?」みたいな話。使われている言葉や概念を整理したり分解して分かりやすくしたりといった作業は必須ですね。
◆大きなテーマの中で、発信者がどこにフォーカスしているか考えてみる
テーマは共通でも、フォーカス、主張の論点が食い違っているが故にかみ合わない...なんてことも。
主張の論点は、発信者がどういう問いを立てているかを考えると分かりやすくなります。例えば「原発あるいは原発事故は他の発電施設や諸々の危険事象と比べて被害が深刻なのか?」という話と「原発は廃止すべきか否か?」では、重なる部分があったとしても違う話です。
これは2つの異論を比較する時だけでなく、自分の知りたいテーマ、持っている論点と、発信者の語るそれらと比較する時にもお忘れなく!
◆主張を支える証拠と論理をチェックする
ディベート(論争)のお約束として「相手の主張にツッコミを入れない(否定しない)」というものがあります。ツッコミは、拠って立つ証拠と論理に入れなければなりません。
「ママ、このおもちゃ買ってよ!みんな持ってるんだよ!」という子どもの主張を否定する場合は「みんな持っている」という根拠(事実)にツッコミをいれなければならないんです。
◆その人の現場、見ている読者・未来etcを妄想してみる
プロフィールを確認しようって話は,前に書いたとおりなんですが、その人の主張はその人の現場から生まれてきます。
例えば「どんな読書がビジネス力をアップするか?」という問いに対して、「速読で多読だ!」と主張する人と「ゆっくり熟読玩味だ!」と主張する人は、明らかに見ている人も、前提としている読書観も違います。
場合によっては、時代、文化、パラダイム等を俯瞰しなければ見えてこないことがあります。
◆その話を「比喩」で置き換えて、エッセンスを抽出してみる
何が問題かを分かりやすくするために、時として比喩が使われます。 問題の本質が似ている、分かりやすい問題に置き換えてみる、とか。
これまた私の授業の例で恐縮なのですが、「平和主義」という非常にナーバスな問題を教えるのに映画「ゴジラ」(1954年に封切られた初代ゴジラ)を見せていました。
最後のクライマックスシーンの直前で映画を消し、「さて、芹沢博士はこの後、どういう行動を取った?」と投げかけ、グループでディベートをさせました。(ゴジラを知らない人は意味不明ですね。。。)私の主義主張を押しつけず、生徒の主体的思考を引き出すためです。
あと「未成年はなぜタバコを吸ってはならないのか?」を考えさせるのに、「砂糖の採りすぎは糖尿病を引き起こし、病気や死亡につながる」、「登山はしばしば遭難事故、死亡事故につながる」という例を引き合いに出して、「ではなぜタバコだけ?」と考えさせるようにしていました。
T字モデルで読書を積み上げよう
情報社会を生き抜くには、幅広く有益な情報を集める力と、問題を深く掘り下げていく力の両面が求められます。
幅を作る速読・多読⇒Tの横棒
深さを作る熟読・吟味⇒Tの縦棒
ある特定の問題について議論を深める体験を持っていると、違う問題でも対処の仕方が分かるものです。自分なりの思考の軸ができるようなイメージです。
深めるための材料となる資料や論文を入手する段階では広さが必要。その意味では、速読力は必須。それ抜きにして膨大な情報の中から吟味に値する情報を選び出すこともできません。
でも「選ぶ」には吟味する眼が必要なわけでして、何を優先させるべきかといわれたら、やはり深さを作る体験です。
20代のうちに深さを作る熟読玩味+多読濫読を!
これはある部分、「心がけ」でもあり、ある部分「素養(蓄積)」でもあり、ある部分「テクニック」でもあります。そして、「心がける」ことで、読書を通じて「テクニック」を学びつつ、「素養」を育んでいくことが可能です。
本来ならこのような力は高校教育の段階で養っておくべきなのですが、学校教育はとっくの昔に大学受験予備校と化しています。
国語の授業は「文章の吟味」を学んでも、ロジックを鍛えるようなものはほとんどありません。
いい先生の元で小論文の指導を受けられた人は本当にラッキーですよね~。(--;
もし自分が学生時代にそういうトレーニングを積んでいないな~と思ったら、できるだけ早いうちに手を打ちましょう。自分を育てるために時間を使える20代が勝負だと思った方がいいですね。
30代以降の人は、少しずつ地道に、でも一刻も早く何とかしましょう。40代に到達した私もまだまだ修行中ですが、やればやっただけ視野が広がる感覚が得られるものですよ♪(^^*
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