速耳トレーニング

[10]BGMは効果的か?

 3年ほど前、初めて速耳トレを紹介したとき、BGMとして「自然音が効果的」ということを書いてきました。昔おつきあいさせていただいていたG社は、自然音こそリラックスをうながし、脳力開発効果を高めると主張していらっしゃいます。

 で、その後、川島隆太先生に技術相談を受けた時に「速耳トレーニングでBGMを流すのってどうなんですか?」というようなことをお聞きしたら「実験してないから分からない」というつれないお返事をいただきました。(^^;

 が、先生の著書を読むと、勉強中などのBGMは脳を使うことになるから気が散る、とりわけ歌詞の入ったものはダメだと書いてあります。

 ではクラシックならどうか?自然音(波の音、小鳥のさえずりなど)ならどうか?ということを考えていましたが、結論が出ないままになっていました。トレーニングガイドでも「あなたにとって、心地よく聴けると思う方法で聞いてください」ということで「BGM問題」を保留扱いにしています。

 ここでもう1度、BGMが「効果的か?」ということを考えてみることにします。

 まず脳の学習活動を妨げないことが何より重要です。あるいは学習活動の成果を高めるとなれば、さらにいいですね。

 「学習活動を妨げない」という点は後に譲るとして、「成果を高める」という部分に着目します。

 成果を高めてくれるかも知れない1つの考え方として、「BGMはリラックス効果をもたらす」というものがあります。そのG社さんからは「アルファ波効果があって・・・」という説明を受けていました。まぁ、今となっては、ただアルファ波効果といっても、それは学習には特にいい影響をもたらすものではないということが科学的に分かっていますので、微妙なところですがとりあえずリラックスできる、と。

 実際、速耳というややストレスをかけるトレーニングを行う上で、もしリラックス効果が得られる(要するにアルファ状態になるということですね)としたら、それは脳力開発効果を高めるのではないかと考えられます。

 しかし、これは「学習活動を妨げない」という部分とあわせて考えなければなりません。

 次に「単なるリラックス効果」ではなく、積極的な意味で効果を高めてくれる可能性はないのか?ということで、加速学習の世界で採り入れられるBGMから類推して考えてみます。

 加速学習では、学習に「体験」的な要素を加えたり(これまでと違う記憶の形を作るわけですね)、リズムを作ったりするということで、エラボレーション(予備学習的な段階)で用いられます。この場合、BGMというよりも、音楽の中に英文(習得しようとする言語)の朗読が流れるという趣向で、あたかもミュージカルか何かのようです。あと、呼吸のリズムをとりますので、ゆったりとしてテンポで、テンポが大きく揺れないものがいいということになります。

 つまりそもそも使う意図が違うわけですが、例えばパッヘルベルのカノンなどのバロック音楽をBGMにして、呼吸のリズムを整えながら聴くようにすれば効果的かも知れません。

 ただし、これも「どうだろう?」という疑問符が残ります。加速学習の場合には意識では学習情報をとらえず、無意識レベルに情報を流し込むことをねらっているのですが、速耳は意識の活動として高速な文章を処理することに価値があります。

 もともと「人の話を聞く」ことに意味があり、それが高速になっているから「集中して、がんばって聴かなければならない」ということで脳力開発になるわけです。ただ聴いていればいいという性質のものではないわけです。

 ですから、リラックスして潜在意識レベルに情報を受け渡して脳力開発になるのか?(これは「ならない」はずです。)また音楽とまったくリズムも流れも関係のない学習コンテンツが、スムーズに受け入れられるのか?という疑問が残るわけですね。

 ということで、やはり保留ですね・・・。

 それからもう1つ。

 自然音はどうなのか?ということですが、これはもろに脳の学習活動をじゃまする可能性があり、現段階の結論としては「自然音は流さない方がいい」と言えそうです。

 日本人の脳は、世界的にも珍しい音の処理をしているのだそうです。日本人は、基本的にあらゆる音を「言語中枢」で聴いてしまうのだそうです。

 これは遺伝子てきなものではなく、日本の文化、言語環境によるものだと考えられています。

 その例外(つまり無意識的に聞き流せる音)は機械音、雑音、西洋楽器による音楽です。

 日本人のご先祖様達は自然に風流を感じ、それを本当にたくさんの文学に表現してきたわけですが、これはまさに感性を磨く「言葉」で、自然の音を受け止めてきたからかも知れませんね。感性と理性の両方を自然に使って、自然を感じていた・・・と。

 ということは、です。自然音をBGMに流すと、まさにガヤガヤとした喧噪の中で速耳トレーニングをしているような状態に、脳がなってしまう可能性があるわけです。

 ということで、現段階での結論は「速耳トレーニングにおけるBGMの活用」については「バロック音楽を控えめな音で流す程度にしましょう」ということになりそうです。一番お薦めなのは、環境音としてステレオなどで小さくクラシックを流し、それとは別のヘッドフォンで速耳トレを行うというスタイルです。こうすれば、文の切れ目などのちょっとした「間」で脳を休めることができるでしょう。

 もし、みなさんの実感、実体験としてお感じのことがあれば是非お聞かせください!

【参考文献】
○角田 忠信著「脳の発見」(大修館書店)
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投稿者 てら : 2006年06月14日 16:30 

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