速読術関連コラム
[26]天才は生まれ?育ち?
右脳・左脳ってよく言われますけど、実際、右脳ってそんなに偉いんですかね~って、ちょっとクールな目を持ちながら脳力開発業界とつきあっていきたいものですね。サヴァン症候群の患者さんの天才的な能力も、アインシュタインの天才的な頭脳も、彼ら特有の事情があったようですよ。
天才は生まれるのか、育つのか、これは教育界でも何百年も議論されてきた問題です。そして、脳力開発業界でも議論が分かれるところです。まぁ、業界は当然「育つ!」と主張しているわけですが・・・ね。
脳力開発業界で頻繁に使われる宣伝手法として、おどろくような脳力を発揮した(する)人の実在を上げ、それによって「人間の脳の可能性」を説き、さらに人間の脳が数%さえ使われていないということを主張しつつ、「あなたも眠れる脳力を開発して、天才になりましょう!」と口説きにかかります。
しかし、驚くような脳力を発揮した人が実在するとしても、それが教育によって培われたものであるかどうかは、はなはだ疑問です。
例えば、サヴァン症候群の患者の例があります。彼らは驚くほどの才能を発揮します。一度聞いただけで音楽を完璧に覚える、一度見ただけで風景や絵を再現できる・・・などなど。しかし、その能力が左脳の欠損を補うべく右脳が通常よりも著しく発達したためであることは、よく知られた事実です。そして、病状が改善し、右脳が左脳を補う必要性が薄れたとたんに、それまでもっていた能力が失われるということもまたよく知られた事実ですね。
実は、天才と名高いアインシュタインの脳もサヴァン症候群の患者と同様、脳が通常の人と違ったからこそ「天才」的な才能を発揮したということが最近の分析で分かっています。彼は幼少期の言葉の発達が遅く、失語症の兆候があったと言われています。そして、そのような脳の障害をおぎなうべく、彼の場合は頭頂葉下部が通常の人と比べて15%以上発達していたそうです。
そういえば、発明王エジソンも、幼少期には落第生のレッテルを貼られて、お母さんが一生懸命に教育したという話でしたね。
それから、脳ではなく筋肉の話になりますが、かつて一世を風靡(?)したカール・ルイスも「生まれつきの特異な筋肉」を持ち合わせていることが科学的に解明されていましたね。
天才を引き合いに出すことで語ることができるのは「人間の可能性」といえばそうですが、実際には個々の特殊な事情が非常に大きかった可能性があります。私たちが「ロマン」として、そのような未知の世界にあこがれ、違う自分に出会う旅にでかけたくなるのは、しごく当然というか、あっていいことだと思います。
しかし、それが「だれでもできる」なんて簡単なことでないことも、しっかりと頭に置いておきたいですね。熱い闘志を燃やしながらも、クールな理性で取り組んでいきたいものです。そうでないと、「脳の可能性」だとか「右脳」だとか煽りまくる速読商法のカッコウのカモにされてしまうことになりますよ!
そういえば私が教師時代に資料請求をしたばっかりに、某天才博士率いる速読流派の営業マンからしつこい電話勧誘を受けたことがあります。その時、さんざん脳の可能性と、それによって「あなたの人生がいかに変わるか」ということを聞かされました。(--; でも、私が「キム式をやってますから」と言ったときに言われた、「キム式は、象形文字であるハングルだから可能な速読術です・・・」という、得体の知れない口説き文句だけで、十分に信頼できないな~と思ったものです。やれやれ。
あと1つ。「右脳」という言葉が、煽り系脳力開発業者の殺し文句のようになっていますね。
「右脳」と「左脳」の役割分担はRoger Sperry氏の研究によって明らかにされました。右脳がイメージで、左脳が論理・・・というあれです。氏はその研究によってノーベル賞を受賞したそうです。
しかし!大事なのはその後です。
その後、確かに右脳、左脳の役割分担はあるが、基本的にあらゆる活動は「全脳」でおこなわれるものであって、「右脳」「左脳」という偏った働きではないということも判明しました。そして、その役割分担を過度に強調しすぎ、そのような教育をすることは脳機能(の発達)を考えたときにマイナスであるということで、軌道修正されています。トニー・ブザン氏の著作などを見ても「左右の脳をバランスよく使う」ことが大事と書いてありますよね?あれが非常にバランスのとれた考え方です。川島先生の研究を見ても、どのような活動であれ、左右の脳が働いていることがはっきりと示されているでしょう?
つまり、右脳右脳右脳と言っているのは、右脳神話に乗っかって煽り系の商売をしようとたくらむ人々だけなんです。そういう事情もきちんと理解しておきましょうね~。
もちろん、私たちの能力は、遺伝(生まれ)と教育・環境(育ち)の両方に影響されながら育っていくものですから、生まれだけで自分の能力に限界を作ってしまう必要はないと思います。無限の可能性を信じて、日々努力することは非常にいいことです。大事なのは、冷静な目とバランス感覚というところでしょうか。
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コメント
はじめまして、速読鉄人です。
エジソンのことが書かれていたので、
ちょっとコメントさせていただきます。
エジソンは子どものころ、
町のの図書館の本を全部読んでしまったそうです。
その読み方のコツは、見開きの2ページをイメージとして
理解してしまうというもの。
これって、速読ですね。
人から教わることもなく、自然と速読ができたのは、
さすがに天才といわれるだけありますね。
投稿者 速読鉄人 : 2007年05月09日 23:05
ども。
ほほー。やはり天才っていうのは、ちょっと違う読書を自然にやってしまうものなのでしょうかね。(エジソンのエピソードは知りませんでした!)
またいろいろ教えてくださいませ。(^^)
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投稿者 てら : 2007年05月10日 15:47




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