速読術関連コラム
[19]科学的速読の微妙さ…(1)
「右脳」とか「科学的」とか、「ウェルニッケ中枢」だとか、脳力開発業界というのは、やたらと科学的な香りのする言葉を濫用したがります。右脳が活性化するなどということを、何の実験もせず、検証をとることもなく本に書いてしまう詐欺同然のところもありますよね。やれやれ・・・。
脳、そして人間の可能性を否定する必要はありませんが、そういう科学的な雰囲気を醸し出す言葉を読むときには、眉につばしておいた方がいいですよ・・・。
大手の速読教室は、どこも「科学的な」という言葉を使いたがります。また「右脳」とか「左脳」とかいう言葉もよく目にしますね。前にも書きましたが、この「右脳」をやたらと出したがる教室は要注意です。感覚と思い込みと「煽り」効果だけで使っている可能性が高いです。(それが「波動」とか「オーラ」とかなると、もう科学すら超越した世界で、コメントのしようがないですね…(--; )
一部の業者の戦略とマスコミの力で「右脳」というものの幻想が作られ、それによって「右脳」を語ることで、妙な説得力が生まれました。速読教室はまさに、それに上手に乗っかって商売をやっているわけです。
今のマイナスイオンブームに乗った各種の電化製品や車と同じですね。(ご存じかと思いますが、今騒がれているマイナスイオン関連グッズというのは、メディアと業者によって作られた幻想の産物というのが、健全な科学者からみた健全な見方というものなんですね。)
一番たちが悪いのが「耳で聴き取れないと感じても、右脳が処理している」などという、まったく非科学的なことを平気で広告や本に書いている業者です。そういう業者は、本当に「右脳」が働いているか確認したことがないのです。というよりも、科学的な検証は、お金さえ払えばすぐにできるのですが、それをやってしまうと自分の書いていることが非科学的であることがばれてしまうために、永久にやらない覚悟なのでしょう。
しかし、科学的なアプローチをしていたとしても、それが正しいかどうか分からないこともあります。そしてこれもまた、重大問題だと私は思うんですよ。
例えば、「脳が活性化している」ことを科学的なアプローチによって証明できたとしても、それが「本を理解している」というような現実の行為とは結びつかない可能性があるんです。
これは、東北大学川島隆太先生の著作に紹介されている例を見ると非常に分かりやすいでしょう。「本を音読する」ことと「意味のないでたらめな文字列を音読する」ことのどちらでも、「脳が活性化された状態」という結果を得られるということが、複数の著作で示されています。
逆に見れば「脳が活性化している」からといって「理解度が高い」ということには結びつかないということです。ただ言えるのは「脳を活性化させることができる」ということだけです。
同じように「速読の熟達者」が本を読んでいる時に「右脳が活性化している」ことが示されたとしても、それが「本をきちんと理解している」こととは関係がない可能性があるわけですね。ひょっとすると、文字を単に図(イメージ)のように見ているだけかも知れない。ただ、事実として「熟達者は、速読初心者とは脳の使い方が違う」ということが分かるだけです。
そして、上の例とこの例が大きく違うのは、この例の場合「速読熟達者」にしか見られない事象であって、どうしたらそのような状態が得られるのかということすら分からないということです。
ちょっと難しいですか?私の書き方も悪いかな?なにしろ、脳の研究って難しいものなんですよ。そして、読む方もウソを言われても判断できないんですね。だから科学的っぽく見せた速読教室の宣伝にだまされてしまいがちなんです。近い将来「脳力商法」とかいって「悪徳商法一覧」に並べられているかもしれませんね。(もろに「速読商法」だったりして…。)
●●
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.office-srr.com/mt/mt-tb.cgi/283




![[02]煽られない脳力開発を!](http://www.office-srr.com/image/con_back.gif)


![[20]科学的速読の微妙さ…(2)](http://www.office-srr.com/image/con_next.gif)





