速読術関連コラム
[10]速読における「速さ」考(1)
速読とは「速い読書」ですが、基本は「読書」です。ということは「速さ」というのは目的ではないし、絶対的なものではありません。もちろん「速いことは善いこと」なんてことはありません。ちょっと逆説的ですが「速さ」について考えてみましょう。
速読というと「速いほどいい」と考える人も多いようです。これは速読という商品を売るために煽る業者がいるからそうなってしまう、という側面が強いのかもしれません。「速く読めたらかっこいい」とか「速く読めたらたくさん本が読めるだろうな」という幻想を抱いてしまうような人が存在するのも確かでしょう。
速読というのは「速い読書」です。実に当たり前のことですね。
「読書」というものを考えるとき、「速さ」というのはどれくらい重要なことでしょうか?あるいは「速さ」が求められる場面というのは、どのような場面なのでしょうか。
「速さ」というのは、あくまで読書という「行為」の一要素であって、読書にとって本質的な要素ではありません。読書には必ず「目的」があります。その目的を達成するために、本の内容についての「理解」、「記憶」を求めます。このときに、その理解や記憶を側面から支えるために「速さ」があると考えた方がいいのではないでしょうか。
「理解」に「深さ」と「広さ」があるとして、深さは立ち止まって得るもの、広さは、文字通り広げていくことで得るものと考えたとき、速読の「速さ」の価値が見えてきます。
ミクロの視点で問題を掘り下げていくことでしか得られない理解もあるでしょう。小説の味わい、哲学的な本の思索などがこれに当たります。サンの「星の王子様」は、さらっと読んでも楽しめますが、言葉の奥に隠されたものを思索しながら読むと、また違った楽しさがあります。これは速読していては絶対に得られない楽しさであり理解です。
しかし、自分のよく知らない領域を学ぶ、全体像がよく見えていないものを学ぶという場合には、まずマクロの視点で概略をとらえ、そこからねらいを定めて掘り下げていく方が理解を深めやすい場合も多いものです。また、同じジャンルのものを多読することで、違う視点を得たり、それまで細切れだった情報がつながりあい、新しい理解を得たり、そのような理解の広げ方も可能になります。
旅を楽しむときに、自分の足で歩き、風を感じ、足下に咲く名もない草花を愛で、旅先の人とのちょっとした会話を楽しむ。そういう「旅の味わい」「その土地の理解」もあるでしょうね。しかし、これでは本当に限定された場所を知るだけになります。
その一方で、自転車やバイク、あるいはバスで楽しむ旅もあるでしょう。気になるスポットだけを足で廻る旅です。あるいはもっと大胆にヘリコプターで楽しむ旅(?)もあるかもしれません。
それぞれに旅の楽しみ加減というか、質の違いがあるわけで、どれがいいかというのは、その人の「旅の目的」次第でしょう。
読書も同じように考えるといいのではないでしょうか。目的に応じて、場面に応じて、自分のアンテナの反応するのに任せてスピードと深さを自在にコントロールしながら楽しむ。それこそが速読の本当の価値だと考えましょう。
だからこそ、SRRの速読術は「仕事や学習に活かせる確かな技術」としての2000文字レベルの速読術にこだわります。これがあるからこそ、スムーズな、幅の広いスピード切り替え(ギアチェンジ)が可能なのです。1ページを12秒かけて丁寧に読み、5秒程度で快適に読み進める。1ページのスピードを2秒ペースから15秒ペースまで、自在に切り替えながらの読書が可能になると、読書が驚くほど身近に、そして質の高いものになります。
夢のような速読を追いかけるのも結構ですが、まずは質を高めるための速読技法の修得を目指して、トレーニングに取り組んでみてはいかがでしょうか。
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