ビジネス速読術講座
[55]アンテナと受け皿
速読のトレーニングとしては「眼」と「意識」のチューニングが基本です。
これは「情報を受け止めやすくする」ための準備作業です。まぁ、たとえて言うなら、野球をするのに柔軟体操をしたり、筋トレをしたり、あるいは素振りをしたり・・・そんな地道な下積みの部分ですね。
この眼作り、意識作りが完成すると読書のスピードと質がコントロール可能になります。
よそがどうだか別として、うちのスタンスは「速読とは、TPOに応じてスピードと理解の質、この両者のバランスをコントロールする読み方」というものです。スピード狂に意味はないよ、と。
#TPOってのは、Time(時間),Purpose(目的),Occasion(状況)の ことですね。
今(2008年1月)、福岡での集中レッスンの集中サポートが続行中なのですが、ほとんどの方が、概要を取りながら読むと、1冊220ページが20~30分。やや丁寧に読んで1分あたり3~5ページというところです。
つまり1分あたり3~10ページという幅でスピードをコントロールしながら読んでいるわけです。
そのスピードでどういう質の理解が得られるかは、その人次第。
1つは、その人の目的意識に依存します。
当たり前ですが、漫然と読むのと、「こういう情報が欲しい」って思って読むのとでは、入ってくる情報量が全然違います。
例えて言うなら、アンテナの指向性の強さ。
なんで衛星放送のパラボラアンテナで受信した放送は映像がきれいなのかって言えば、この指向性が強いから。ただ、正しい方向を向けないと、全然入ってきません。
いろいろ情報が欲しい~なんていうどん欲な無指向性のアンテナでは、よほど強力な情報が飛んでこない限り受信できません。トランシーバーのアンテナなんかは、どういう方位からの電波でも受信できるかわりに、本当に至近距離の電波しかキャッチできないでしょ?
そしてもう1つは、その人の経験値、データベースのボリュームですね。
キャッチした情報から、どれだけ深いニュアンス、イメージを受け止められるかは、その人の持っている情報にかかっています。
私たちは基本的に自分が体験したことのあるものしか理解できませんからね。それは行動の体験かも知れないし、読書という擬似体験かも知れません。いずれにしても、情報を受け止める「受け皿」があって初めて意味があるもの。
アンテナっていう表現でいえば、感度の強さっていってもいいかも知れません。
ですから、最終的に速読のレベルを決めるのは、このアンテナと受け皿の2つのレベルということになります。
指向性が強ければ、超高速な流れの中でも、自分の欲しい情報をキャッチすることが可能になります。そして、同じスピードなら受け皿が深いほど、理解の質も高くなるんです。
眼を同じように作っても、得られる成果がまったく違うのはそのため。
そして、同じ人でも本によって全然成果が違うのもそのため。
私が速読を活かして「重ね読みをしましょう!」って言い続けているのも、この受け皿を育てるためです。これをしっかりと続けていくことで、スピードは時間の経過とともに、勝手に上がっていくものです。
ということで、今、速読トレーニングに取り組んでいる人も、そうでない人も、まずは自分のアンテナの指向性を鋭くする作業と、受け皿を深く大きくする作業をしっかりとこなしておきましょうね。
それは読書の目的意識、つまり自分の成長のイメージを明確に描いておくことであり、その成長にふさわしい本をしっかりと吟味しながら読んでいくことです。
体育会系の泥臭い取り組みが、時間を経て、軽やかな身のこなしを作るってことは、読書でも仕事でもスポーツでもまったく同じことですからね。
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