ビジネス速読術講座
[06]速読術の再定義
「速読術」という名前で本当に多くの本や教材が代に出回っています。そして、それらは実に様々な主張を持って展開しています。たいていの場合、それは非常に夢見心地で魔法のような技術のように見えます。
そんな中で、SRR速読教室のビジネス速読術講座は、速読術を「読書」という基本に立ち返って考えています。
速読術は、欧米では当たり前に受け入れられている技法です。速読に関する本を読むとケネディ大統領が速読の達人だったということが書かれています。
しかし、欧米でおこなわれている速読術は、日本に見られる速読教室の教える速読術とは似てもにつかないしろものです。日本の速読教室は、自分たちのやっている非科学的・非現実的なものをごまかすために、欧米式の速読術を引き合いに出し、正当性を主張します。ひどいところは、欧米式を研究して…などとうたいながら、やっていることは韓国原産のインチキ速読術だったりします。
☆欧米式の速読術とは…
欧米式の速読術とは、段落のスタイルを分析し、作者の主張を上手に拾い読みしていくという情報処理型あるいは取捨選択式の読書術です。また、速く読むためのテクニックとして「複数の単語を同時に読むようにする」ことを主張します。しかし、複数の単語といっても、「He wants」、「to have dinner」などのような、センスグループ、あるいはもっと小さな句(冠詞+名詞など)ぐらいです。日本語で言えば「文節をまとまりとして読みましょう」という程度です。また、それを実現するために「音声化をなくすように努力しましょう」と提案します。
欧米の文章を読んだことがある方なら分かることですが、欧米の文章は主張が非常にはっきりしています。段落の先頭に中心的な主張が来ますし、段落(日本語の段落とはニュアンスが違います)によって主張が明確です。そして、段落の切れ目には、かならず1行分ぐらいのスペースが入ります。つまり、欧米の文章は拾い読みがしやすいのです。
※欧米式の速読術についてよく知りたいという方は、斉藤英治著「ホワイトハウスの記憶速読術」(ふたばらいふ新書)、または同じく斉藤氏の「かんたんすらすら便利速読術」(日本実業出版社)をご覧ください。日本で唯一、欧米の速読技法を正しく伝え、解説した本です。
☆日本における速読術は…
日本でおこなわれている速読術の主要なものは、基本的にキム式・パク式といわれる韓国原産の速読術です(斉藤英治氏、RCC、ポール・R・シーリィ氏などを除く)。看板で「欧米式」とうたっている場合でも、欧米式とは無縁の目のトレーニングなどをさせていることが多いものです。
日本でも、昔から「とばし読み」や「拾い読み」、「斜め読み」といったような速読法があったわけですが、これらの読み方は、韓国原産のメソッドを採用する速読教室が自分のところの速読術の特殊性・優位性を主張するために、否定的に扱われてきました。
もう1つ、「本は、最初から最後まで丁寧に読むべきである」という、私たちの読書への思いこみも、拾い読みなどの速読技法を否定的に感じさせる大きな要因になっています。さらに、とばし読みや拾い読みは、よほど読書に熟達した人でなければ実践不可能な技術であり、そうでない人がやろうとすると、どうしても、ほとんど理解できず、雑でいい加減な読書になってしまうという現実もあります。
☆ラディカルな速読術
世間で「速読術」についての情報を得ようとすると、どうしても各種速読教室が出版する本に頼らざるを得ないため、羊頭狗肉・誇大広告であり、かつ非科学的で夢見心地なものばかりになってしまいます。ここで一度冷静になって、速読術というものを考えてみてください。以下、よく聞くフレーズを検証してみましょう。
1.1冊の本を、一字一句漏らさず完璧に理解して、超高速に読み、理解することができるのか?
ゆっくり読んでも、完璧な理解なんてありえないでしょ?それを書いた著者が、どれだけのエネルギーと時間を注いだと思いますか?しかも超高速・短時間にですよ。しかも、それを記憶できるとか言われたら、それはもう超能力としか言いようがないですね。
2.イメージで理解するため、超高速・大量の情報を処理できるというのは本当か?
そもそも「イメージにする」ことがどれだけ難しいことか・・・。経済学書はどうやってイメージにするのか…?かなりナゾですね。そしてイメージで処理できたとして、それを言葉として理解し直すことは可能なのでしょうか?
3.高速道路を降りた後の一般道走行で体験できる「意識の高速化」で速読できるのか?
確かに、高速道路を走行した後、一般道を走るとスピードがゆっくりと感じますね。これは事実です。が、それもせいぜい数分間しか持続しませんよね?それに何十倍ものスピード感にはならないでしょう?そんなもので速読ができるようになると考える方がどうかしていますよね。
4.脳の可能性は無限大・・・なのか?
そもそも脳の大部分が使われていないという主張自体に疑問を投げかける脳科学者もいます。事実、脳についてのそのような研究は行われていないのだそうです。そして、もしそれが真実だったとしても、使われていない脳を、どうやったら使えるようになるのか、それは誰にも分かりません。「アインシュタインですら脳の○%しか使っていなかったと言われています」などと平気で書いている教室もありますが、アインシュタインですら使えなかった脳を、私たちが使えるようになるという根拠はどこにあるのでしょうか?そもそも、脳がそんなに優秀なら、分数の計算ができない大学生って・・・。
5.誰でも確実に修得できるのか?
日本にはたくさんの速読教室があります。驚くような速読術が本当に誰にでも、簡単に修得できるのであれば、日本のそこら中で速読修得者をみかけてもいいはずです。日本に速読教室がうまれてから、早20数年。いまだに速読術がマイナーな存在であるのが、なによりもそれを否定する、いい証拠でしょう。
時々「私たちの教室がつぶれずにやってこれたことこそ、速読が本物である証明」などとうそぶく教室がありますが、それはウソですね。そんな理論がまかり通るなら、詐欺師や高利貸しや、霊感商法がつぶれずに存在することが、それらのインチキ商売が本物である証明になってしまいます。
速読教室の出している本は、しょせん自分の教室のコマーシャルでしかありません。「本の体裁をした、分厚いチラシの束」と考えた方がいいでしょう。それを認めた上で、もし今すでに速読に対して幻想をいただいてしまっているのであれば、幻想を捨ててください。
その上で、速読術というものをとらえ直してください。「読書」という根本に立ち返る、つまりラディカルなとらえ方です。
1.速読術とは、単に本を速く読む技術である。それ以上でも以下でもない。
2.速さは目的ではない。速いことは善でもない。一字一句読むことすら絶対ではない。読書の目的に応じて、適切な速さ、深さで読むことこそ重要であり、本がもっと身近に、もっと楽しくなることが重要である。
3.「一字一句、細部まで味わう」ことが目的でない限り、とばし読みや拾い読みの技術は有益な技術である。さらに言えば「今すぐに読むべき本」でなければ、ざっと目を通して確認をした上での積ん読すら、非常に有効な方法である。
いかがでしょうか?
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