ビジネス速読術講座
[43]本を読む・本で読む
「速読」をどう定義するかというのは、それぞれの個人や団体の主義や主張がありますから一概に定義することはできません。しかし、全ての文字をとらえつつも、その全ての文字にとらわれず、その意味を受け止めて理解していくという側面は多少なりともあるのではないかと考えています。
メルマガで書いた「意識をフォーカスする」の内容が、まさにそのことです。
さて、速読云々以前に「読書」をどうとらえるかという点を、まずもってしっかりと押さえておかないと、とりとめのない読書になってしまいかねません。もちろん、私たちは無意識的に読書の方法を使い分けていることが予想されるのですが、それを明確に意識できるかどうかで、読書の生産性も効率もずいぶんと変わってくるはずです。
まず、「本」を手に取り、「本を読もう」とするとき、私たちが「本を読む」と考えるのか「本で読む」と考えるのかによって、読み方がかなり違ってきます。
○「本を読む」
本「を」読むというのは、具体的にはどのような場面をいうのか、ということなのですが、これはその作者の主張や心を、その細かな表現や論理構成を含めて読み取るという場合を想像していただければいいかと思います。
そのような読み方をする場合、その読書の目的は・・・
・著者の思想、哲学、感性を理解したい場合
・その本に書かれている内容について不案内、あるいは無知であり、とにかくその本をまるごと理解しようとする場合
・その本、あるいは著者を手本、教科書として、学びたい場合
などが挙げられるでしょうか。
※小中学生の場合、本を読む目的として「本を読む力を身につける」ということが大きな要素として含まれますから、「本を読む」という行為こそが「読書」そのものということにもなるでしょう。
いずれにせよ、本を丸ごと理解するということが前提となる読み方です。もちろん、完全にそのような読み方をするのは小学生の読書であったり、大人では小説の類を読む場合に限られるのであって、だいたい次に挙げる「本で読む」ようなスタイルと混ざってくるものだとは思いますが。
このような場合に「速読」が生きてくるとしたら、下読み段階、あるいは再読段階ぐらいでしょうか。もちろん、ビジネス速読術講座でおこなうトレーニングをしっかりとこなした人は1200文字/分~1500文字/分ぐらいはキープできるでしょうが、このぐらいのスピードまでは下がる余地があるとも言えます。
○「本で読む」
本を通じて欲しい情報を得たい場合、つまり本を読む目的がかなり明確になっている場合です。学びのために読書をするのであれば、「本で○○を読む」あるいは「本から○○を読む」という姿勢が重要になる、というわけです。
ですから、社会人の読書というのは「小説を楽しむ」というような読書でない限り、すべてがこのパターンであるべきです。
だって、いくらコヴィーやスキナーの本を読んでも、自分のビジネスや生活を、コヴィーの眼、スキナーの眼で見ることができなければ、いったい何のための読書?ということになってしまいますよね。
たとえば「この本の中のキーワードを3つ挙げてください」と言われたら、どうやってキーワードを探すでしょうか?
このとき「本を読む」という視点でいえば、その本の主張を代表するような重要な言葉を挙げることになりますよね?齋藤孝先生の3色ボールペンの発想でいう「赤」がこれになります。
しかし、キーワードって「あなたが、ある目的意識を持ってその本を読んだ中で、心に強く響いてきた言葉」であるべきではないでしょうか?齋藤孝先生流の「緑」の発想です。
もし3色ボールペンの本を読んで線を引きながら本を読む習慣があったとしても、緑色の線があまりないとしたら、それは単に「本を読む」行為であって、何かを学ぶ姿勢になっていない可能性があると考えられませんか?
また、目的が明確になっていれば、効果性・効率性を考えることが可能になります。(「本を丸ごと理解する」ことが目的であれば、目的達成のためにどれだけ時間がかかっても仕方がないってことですからね。)いつも書いていますが、目的(Purpse)、時間(Time)、状況(Occasion)に応じて、どこを読み、どこを捨てる(読まない)かということを明確にするということです。
○成果主義でいこう!
「本を読む」にせよ、「本で読む」にせよ、1冊の本を1回しか読まないとしたら、あなたの読書は「時間つぶし」と「自己満足」以上の成果を上げられていない可能性が非常に高いといえます。
読書というのは「暇つぶし」も含めて目的を持った営みです。その目的が「学び」であるとするならば、本を読むにせよ、本で読むにせよ、記憶に残すには重ね読みが必ず必要になります。薄っぺらな多読は、たとえそれが記憶に残ったとしても、薄っぺらな理解による著者の言葉のウケウリ以上のものはえられません。文字と格闘し、本と格闘し、何度も何度も挑戦することによって初めて、作者の言葉が自分の言葉になる可能性が出てきますし、そのような思索を経て初めて知識となり、知恵へと深化していくものです。
ぜひ、読書の目的に照らした「成果」を重視し、効果的な読書を実現しましょう。
「本を読む」のか「本で読む」のかということを明確にすることは、その第一歩ということになりそうですね。そしてもちろん、最終的にはどのような本であれ「本で読む」というスタイルに明確にシフトしていきたいものです!
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