ビジネス速読術講座

[27]読書の棚卸し作業(1)

 棚卸しって何?って感じですが、「自分の読書」を冷静にとらえなおして、これからすべきこと、目指すべきゴールを明確にしましょうっていうふうにとらえてください。

○読書における理解


 SRR流の速読術は「理解度とスピードをコントロールする技術」と表現しています。


 みなさんは通常の読書で「理解度をコントロールする」という意識を持っているでしょうか?「まぁ、ざっと理解できればいいや」とか「じっくり読んでみよう」というレベルでかまいません。
 この理解度をコントロールするという意識を持つだけで、読書の効率は非常に高くなります。


 自分がどのような理解度で読んでいるか意識したことがない人は、ぜひここで理解度のレベルを明確に意識するようにしてみてください。


 SRRでは通常の読書における読書を以下の5段階でとらえています。


理解度A:「しっかり理解」。精読。充実感・安心感を持った質の高い理解。
理解度B:「ほぼしっかり理解」。やや丁寧な読書における理解。小説を楽しめる。
理解度C:「お気楽な理解」。雑誌、新聞、メールなどを気軽に、楽しんで読む「普通の読書」
理解度D:「やや粗い理解」。雑誌などを急いで読み飛ばす感覚。筋は分かるが細かな描写は微妙。
理解度E:「かなり粗い理解」。全体の印象や、断片的な理解にとどまる。


 トレーニングでは、さらに「理解度F:ぼんやりとした理解」、「理解度G:言語明瞭意味不明」という2段階を付け加えて、現状を把握していただくようにしています。


 また逆に3色ボールペンで線を引いたり、付箋を貼ったりする読書は「理解度S」扱いになります。


 まぁ、いずれにせよ主観的なものですし、通常は意識しないものですので、はっきりと「今の読書は理解度…です」というようなことは言いにくいものです。また、文によって、部分によって、同じ読み方をしていても理解度が変わってくるのは当然の話です。


 逆に、だからこそ読書の質を転換し、これまでと違う読書スタイルを手に入れようと思ったら、対象(この場合、読書における理解度)を言葉で表現することによって明確に意識し、コントロールする対象にしてしまう必要があるわけですね。「あなたの読書をシフトする」っていうのが、最近の私のお気に入りの言葉です。(^^*


 さてまず理解度を明確に意識するってことを確認していただいたところで、これに付随する2つの問題を見てみましょう。


 まず、ここで言う理解度は、あくまで「細部(ミクロレベル)の理解」、「読んでいる時の実感」の話であって、理解度Aの読書が「本全体の高い理解」を保証するわけではないということです。


 じっくり読んでいたら時間がかかってしまって、全体として何を言っているのか分からなくなってということもあるでしょう。英語を考えると、いっそうはっきりすると思います。文法を解析し、単語の意味を確認しながら読むと、文章の流れが全然見えてきませんよね?「細部にこだわらず速読しなさい」と英語の授業で言われたことはありませんか?日本語も同じなんですよね。(^^;


 だから、あくまで理解度をコントロールするというのは、まず読書の目的ありきということになります。読書の目的を考えて、「本1冊」の理解度を最大限に高めるために、攻略法を考えなければなりません。本1冊の理解度を高めるためには、細部を無視してエネルギー浪費を最小限に抑えて全体像を確認しなければならないかも知れません。


 これは小説だって同じコトです。細部に魂が宿るというのは真実ですが、結局この話って何が言いたかったの~(--? っていう状態ではもったいないですよね。


 だから、理解度を考えるときはマクロとミクロの両方の視点が必要なんです。だからこそ「理解度とスピードをコントロールする」という発想になるわけですね。


 さて、あと2つ。


 理解度と別の軸で考えなければならないにもかかわらず、私たちが理解度とごっちゃにして考えがちな要素があります。


 それは「安心感・充実感」と「記憶」です。


 私たちは頭の中で音声化し、言葉をしっかりと意識に持ち上げることで安心感・充実感のある読書をすることができます。だから「音声化しないことが速読の第一歩だ」と言われても「それは読めない」と思って挫折してしまう人が多いわけです。実際のところ、頭の中で音声化しない読書を実用レベルで使いこなせる人は、相当に実践を積んだ人だと思っていいでしょう。


 ただ、過度に安心感、充実感を求めるために、まったくスピードが上がらずマクロの理解を損なってしまうのはもったいない!しかも安心感・充実感は理解度とはあまり関係がありません。むしろ音声化するために視野がせまくなり、また脳によけいな作業をさせてしまうために通常は理解が落ちます。理解が落ちるのを何とかしようとして、さらにスピードを落とすという結果になってしまいます。


 これもマクロの理解という視点を持ち込んで、本当に効率のよい、理解度の高い読書のために何が必要か考えなければなりませんね。


 もう1つ「記憶」という要素を挙げましたが、これは非常にやっかいです。


 私たちは読んだ内容を覚えているわけではありません。前にも書いたんですが「この本よかったよ~」って人に勧めるとき「どんな本なん?」って聞かれて「(--; …まぁ、読んでよ」としか言えないことってありますよね。他の本とごっちゃになることもあるし、ともかく細部まで覚えている本っていうのは、よほど印象深かったか、注意深く読んだか、繰り返し読んだかっていうものに限られます。


 自分の読後の記憶がどくくらいのレベルなのか、一度測定してみるといいですよ。普段通りに3分間くらい読んで、読み終わったら読書スピードを計算します。数字が出たら、読んだ内容を書き出してみます。(必ず先に計算をすること。)


 私が指導した方の中で最高レベルの人は「読んだ内容がほとんど書き出せる」状態でした。(ちなみにその人=高校1年生は30分間で5000文字ぐらいに到達して、しかも内容を書き出していました。本が大好きで、1日に1~3冊読んでいるということでした!)


 最低レベルの人は「ほぼゼロ」ということも…。まぁ通常は4~10語くらいになるはずです。(あくまで普通に読んだときの話ですよ。)


 速読するとなおさら記憶に残らないんじゃないかって思ってしまいます。しかしそれは読み方の問題だったり、別の問題なのです。通常は変わらないか、全体像をとらえられるおかげで、印象が残りやすくなり記憶から芋づる式に取り出せるようになります。


 ということで、「本を読むときの理解」ということだけを考えても、いろいろ見えてくるものなんですね。こうやって自分の読書を棚卸ししていくことで、問題が発見できたり、課題が見えてきたり、あるいは冷静になれたりするものです。
●●

投稿者 てら : 2006年06月14日 19:20 

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