ビジネス速読術講座
[16]これまでの自分を越える
いくらトレーニングをしても1200文字を越えられない・・・という方がおられます。しかしこれは単に「覚悟」が不足しているだけです。速読を阻害する「壁」に、もろに激突しているんです。まずは覚悟を決めてリラックス!
速読術にもっとも必要なのは「今までの自分(習慣、壁)を超えていく覚悟」です。
速読術というのは、ある意味で今までの読書を加速させる試みでもあり、その一方でこれまでとは違う読書を手に入れる試みでもあります。
ただ、今の読書を加速するといっても、今の読み方のまま加速することはできません。目を一生懸命に動かしてみても、たとえスピードが上がったとしても、それから差し引いてあまりある質の低下が起こります。
ですから、やはり速読を修得するということは「これまでと違う読書を手に入れる」という考え方が必要なんですね。
その基本となるのは「リラックスして本を読む」というものです。本を一生懸命に読む時、私たちはリラックスとはほど遠い精神状態である場合がほとんどです。その内容が難しければ難しいほどに。
でも視野を広げないと、前後のつながりが悪くなりスピードが上がりませんし、結果として理解度も下がってしまいます。ですから、逆説的なようですが、内容が難しくなればなるほどリラックスを心がけるようにしないといけないわけです。
そのときに必要なのは「覚悟」です。目の機能でも、頭の良さでもないんですね。「覚悟」です。
○視野を広げて、すなわちリラックスして読んだって大丈夫
○多少、理解が薄くなっても大丈夫
○細部に誤解があっても大丈夫
○ポイントを見落とさなければ大丈夫
と、自分に言い聞かせて、「えいや!」と視野を広げる覚悟です。
たとえば将棋をするときに、1つ1つの歩のことを気にしていては、大局的なゲーム作りができなくなりますよね。相手の歩などの駒を全部とっていこうという人もいないはずです。大切なのは、効率的に、的確に相手の王を攻め落とすことです。そして、そういう大局的な視点でゲームを眺められたときに初めて、1つ1つの歩も生きてくるものではないでしょうか。
読書もそういうふうに考えて、まずはリラックスするところから初めてみましょう。それを支えるのは「覚悟」。これに尽きます。
○リラックスして視野を広げる覚悟
○細部に注意を向けすぎず、リラックスして内容を受け止める覚悟
○分からない、分かりづらい部分でも、あえて流し、全体の理解を優先する覚悟
そういう覚悟ができれば、それだけで本を処理する効率は何倍にもなるはずです。逆に、この覚悟がなければどれだけ視覚系のトレーニングを積んでも、まったくスピードは上がりません。
速読教室の宣伝にある「とばし読みや拾い読みではなく、一字一句を理解し、記憶する速読術」などという夢のような言葉に踊らされると、読書というものの目的や意味を忘れてしまいそうになります。
まぁこれは速読教室の宣伝にはまっているというよりは、私たちの、そういう無い物ねだり的なあこがれを、速読教室がうまく刺激しているということなのでしょう。
まずは、開き直ってリラックスし、軽く内容を受け止めながら読む。今の自分(の目的意識)には不要だなと思ったら、ばんばんページをめくっていく。深く内容に入り込まず、ひたすら言葉を受け止めていく。こういう読み方は、おそらくあまりしたことがないでしょう。だからこそ、覚悟がいるんです。
速読本には、かならず「返り読みしない」「音声化しない」と書いてあります。私の書いた速読入門にも書いています。そして「音声化しない」ということの難しさ、その意味するところを弁解がましく書きましたね。実は「返り読みしない」ということも、本当はもっとしっかりと解説すべきことなのかもしれません。
言葉通りだったら、単に「分からないことがあっても、理解が悪くても前にどんどん進んでいく」ということになります。そして、そのような読み方が意味のないものであることは、誰にでも想像がつきます。
これはその背景に、覚悟を決めて全体を俯瞰するような理解の仕方に、気持ちを切り替える必要がありますよ、という考え方があるんですよね。いやもちろん、他の著者さんがどういうつもりで書いているかはしりませんが。
まぁごちゃごちゃ説明すると、かえって混乱すると思うから、「まぁ、とりあえず返り読みせずに、スピード上げて読んでみろよ」と勧めているわけです。そして「スピードを上げる」ということは「リラックスして、言葉を受け止めながら読んでみろよ」というニュアンスを読み取らなければならないんです。(すみません。私の本も明らかに言葉足らずでしたね。というか、私自身がそこまで明確に意識できていなかったんです。)
ただし、実際に仕事や学習で本・資料を読むとき、あるいは小説を楽しむときなど、内容をしっかりと理解しようと思ったら、立ち止まったり、返り読みしたりすることは当然あり得ますよ。(4000文字以上のスピードで流すときは基本的にあり得ません。私の場合、1冊の本を最初から最後まで4000文字ペースで読み終えることはあまりありません。1回の読書でケリをつけたい本は1500~10000文字の間でスピードを切り替えながら読みます。そういうときは返り読みをすることもあります。)
ですが、速読トレーニングをする上では、まずは「返り読みをしたい」という気持ちが生じるような「今までと変わりない読み方」を捨てなければいけません。そういう覚悟が必要なんですね。そういう覚悟でトレーニングをして、速読が身に付いたら、あらためてスピードや質を上手に切り替えながら、自分が納得できる読み方をしたらいいわけです。
速読トレーニングを開始して、2週間以上たっても、ステップ1の目標である読書スピード1200文字/分を越えられない人がいたら、それは「脳力」不足ではなく「覚悟」不足です。いくらトレーニングをしても伸びる見込みはありません。逆に、覚悟さえ決めればトレーニングをしなくても何倍ものスピードを手に入れることができます。
その上で、そのスピードに見合う質を高めるために、視覚系のトレーニングを積み上げていくわけですね。「覚悟」があって、その後にトレーニングがある。それを忘れないようにしましょう!
ちなみに、トレーニングに裏打ちされた集中力と効率的な視野の移動ができていれば、リラックスして「読まない」という気持ちを持って活字に向き合えたとき、おもしろいほど内容が飛び込んでくるものです。「読むことをやめたと~き~、読めちゃうこともよくある話で~。」というわけです。ちゃんちゃん。
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