ビジネス速読術講座

[09]速読を科学する #1/5

 科学するといっても、脳の仕組みは今持ってはっきりと分かっていませんし、理解の仕組みに至っては未だにブラックボックスです。
 「速読の科学」をうたう本は2冊ありますが、こちらでお薦めの本として紹介してありますので、興味をお持ちの方はご一読下さい。

☆読書とは・・・

 速読とは速い読書のことです。これが速読を科学する上での出発点です。ですから、まずは読書って何?というところから考えてみましょう。

 読書とは、本を通じて著者の意見や思想、あるいは創り出した世界を知り、味わい、体験する作業です。その「読みとる」という側面について大ざっぱに言えば、書物に書かれている文字情報を眼という感覚器官で知覚し、それを脳という器官で理解する過程と考えることができます。
 しかも、その作業は単に文字に書かれている情報を一方的に受け取るだけのものではありません。作者が生み出した世界に主体的に関与し、独自の世界を創り上げる共同作業でもあるのです。別の言い方をすれば、自分の記憶を読む作業という側面を持っています。文字として表現されている言葉を鏡として、自分の持つ情報や体験を映し出し、つなぎ合わせていくわけです。時にはそこに想像力を働かせるという行為も必要になるわけですが、もちろんこれもその人の持つ世界が映し出されているわけです。

○読書を構成する4つの作業

 さらにもう少し分析的な考察を試みましょう。読書に関わる眼と脳の作業を4つのステップに区分し、定義してみました。心理学の専門家でもなんでもない人間が、「読書」という行為をもっともらしく定義することに対する危惧はあるのですが、これがないと始まりませんのであえて挑みます。

[1]認識 記号としての文字を眼という感覚器官で知覚し、その形から文字であることを認知する作用。これは、単に「目・視野に入る」という問題ではなく、脳の作用が大きく関わる問題である。

[2]把握 次の3つの側面がある。
 2-1.認識された複数の文字を相互に結びつける作業。
 2-2.文字情報の持つ多様な意味・イメージの中から、文脈に適合する意味を浮かび上がらせる作業。
 2-3.その情報と、自分の持つ直接・間接的な経験、知識と結びつける作業。

もちろん、これらは個別に、あるいは段階を追って行われる作業ではなく、ほとんど同時に、しかも無意識に行われる。ただし、その際の脳の働きは、ほとんどブラックボックスである。脳の機能とともに、その人の読書や思索などの言語活動の経験が大きく関わる作用でもある。

[3]思索 上記[2]の作業とも関連があるが、読みとった内容について評価したり、思考を巡らせたりする作業。通常は読みながら同時進行で行うか、いちいち読書作業を中断しておこなうことになる。脳の持つブラックボックスの作用であることは間違いないが、それ以上に意識と心という表舞台の作用も大きく関わる作用である。

[4]記憶 [1]-[3]までを「理解」の過程と考えるなら、この「記憶」は読書の本来的な作業(過程)ではないともいえる。しかし、長い文章を読み進めていく際に、前後のつながりが理解できるのはこの記憶のおかげであり、やはり無視するわけにはいかない。また、学習や仕事に活かすという点では、理解とともに大きな目的の一つとなりうる。ちなみに、記憶には「短期記憶」と「長期記憶」があり、文章を読む過程において、認知、統合された文(あるいは文字群)は、まず短期記憶にとどめられる。その後、それが意味のある情報と判断されれば長期記憶として定着することになる。定着しなかった文は潜在意識の深いところに沈んでしまい、思い出すことは困難になる。(これを「忘れた」という。)

 これら4つの側面から読書という行為を理解することで、速読をどうしたら修得できるか、あるいは速読でどの程度のことができるのか、できないのかといったことがはっきりするはずです。
(つづく)
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投稿者 てら : 2006年06月14日 16:32 

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